茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第552回「ひとはひとりで生きるにあらず、国家も一国で生きるにあらず」

脳科学者・茂木健一郎さんの4月2日の連続ツイート。 本日は、さっきニュースでやっていたからね。
2
茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-04-02 06:13:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」第552回をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています!  本日は、さっきニュースでやっていたからね。

2012-04-02 07:44:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひこ(1)北朝鮮が「人工衛星」を打ち上げると予告している。国際社会との先の「合意」に違反する重大な挑発行為だと韓国、日本、米国などの関係国が反発している。懸念される事態なのはもちろんだが、私は例によって少し違う視点から気になることがあったので、今朝はそのことを考えてみたい。

2012-04-02 07:46:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひこ(2)地球は小さな村になったが、未だに私たちはそれぞれの主権国家の中に住んでいる。ヨーロッパのように国家統合への試みを始めた先進的地域もあるが、世界のリアリティにおいては未だ「国家」が基本をなす。アメリカとカナダのようにほとんど同じじゃないかという場合も「国家」の壁がある。

2012-04-02 07:48:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひこ(3)「主権国家」は、英語のsovereigntyという単語のニュアンスからもわかるように、ある地域においては絶対的な権限を持つ。たとえば、北朝鮮の政府にどんなに大きな問題点があるとしても、その「領土」の中では、とりあえずは他国の干渉を許さぬ、不可侵の権利を持つことになる。

2012-04-02 07:50:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひこ(4)「主権国家」はどんな意志決定をしてもいいということになっている。実際、アメリカもロシアも中国も過去に核兵器を開発してきたし、それを地球上どこにでも「届ける」「運搬手段」たる長距離ミサイルも開発してきた。人類の平和を脅かす行為であるが、「主権国家」なのだから仕方がない。

2012-04-02 07:51:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひこ(5)もし、地球上の主権国家が規模の大小、経済力、統治機構の性質にかかわらず「平等」ならば、アメリカやロシアが核兵器やミサイルを開発、保持するのが「自由」なように、北朝鮮がミサイルを開発、保持するのも「自由」なはずである。しかし、それでは困ると私たちは思っている。なぜか。

2012-04-02 07:53:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひこ(6)関連する事情や、前提となる世界観は複雑で、中学校あたりでぜひ討論の材料にするべきだと思うが、ロシアやアメリカが核兵器やミサイルを保持することは許されるのに、北朝鮮がそうすることは許されない、という私たちの認識は、私たちの国際政治観を振り返る上で非常に興味深い。

2012-04-02 07:54:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひこ(7)本質は、主権国家といえども国際的な関係性にあるということ。その国土の中では何をしてもいい、という「主権」の概念自体が、もう時代遅れなのだろう。人権原則に基づく働きかけは「内政干渉」ではないし、非民主的な政府の存在は、その国だけでなく地球全体にとっての脅威である。

2012-04-02 07:57:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひこ(8)伝統的な意味での「主権」概念に基づく国内政治に比べて、国と国との関係を司る「国際政治」の比重が増している。この点から懸念されるのは、「回転ドア」と揶揄されるように、日本の首相の在任期間が短すぎること。官僚機構が継続性を支えるとは言っても、それは国内だけのことである。

2012-04-02 07:59:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

ひこ(9)主権国家といえども、他国と継続的で実務的な交渉ができない場合は地球的「禁治産者」と同様である。北朝鮮政府がその禁治産者に近い扱いを受けることは仕方がないとして、気をつけないと日本政府も危ない。国内で、コップの中の嵐に右往左往している場合ではないだろう。

2012-04-02 08:01:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「連続ツイート」第552回、「ひとはひとりで生きるにあらず、国家も一国で生きるにあらず」でした。

2012-04-02 08:06:04