脱法のススメ?『年収3000万円のパイロットの賃金も下げられず、 痴漢をした車掌にも退職金を支払う !』に、貧困・格差問題に取り組むNPOが猛批判。

ダイヤモンド社のウェブサイトでの連載「社長は労働法をこう使え!」4回目記事『[向井 蘭]年収3000万円のパイロットの賃金も下げられず、痴漢をした車掌にも退職金を支払う』http://diamond.jp/articles/-/16936 に対する労働相談のNPO「POSSE」の川村遼平事務局長による、痛烈な批判のまとめです。 関連: 『これ、弁護士が書いてるの?「正社員の解雇には2千万円かかる!-社長は労働法をこう使え!」の怪しいミスと脱法行為』 http://togetter.com/li/280564
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NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

【年収3000万円のパイロットの賃金も下げられず、 痴漢をした車掌にも退職金を支払う|社長は労働法をこう使え!】 (ダイヤモンド・オンライン) http://t.co/IsrFDkTP 気鋭の経営法曹の連載第四回。今回もタイトルと本文が矛盾するという残念な仕上がりに…。

2012-04-05 00:58:20
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(1)ダイヤモンドの連載・「社長は労働法をこう使え!」第四回。坂倉さんが編集してくれることを期待しつつ、連続16ツイートで批判します。今回の見所は、「労働者を保護する」労働法だけでなく対等当事者間の契約の敵視まで踏み込んだところです。 http://t.co/IsrFDkTP

2012-04-05 01:57:36
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(2)タイトルでは「年収3000万円のパイロットの賃金も下げられず」と非常にセンセーショナルに書かれていますが、本文を読んでみると、赤字でもないのに137万円の減額は大きいという判決。どうまとめてもタイトルの表現にならないと思います。

2012-04-05 01:58:21
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(3)〈赤字ではなかったけどコスト削減の必要があったのに管理職が率先してリストラに協力しない→末端の労働者がリストラに協力しない→日本航空破綻〉というあまりに単純な整理にも注目。日航にとどまらず、この理解が一般化されておりますので。

2012-04-05 01:59:13
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(4)「赤字経営に陥ってから賃金を下げても間に合いません。会社が倒産してしまっては元も子もありません」。メンバーシップ型労働者にとっての最強の殺し文句でもある「倒産したら」論を梃子に、経営が悪くなる前の賃下げを認めよと主張します。(これにどう対抗するかが運動側の課題かと。)

2012-04-05 02:01:43
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(5)「基本給や手当は聖域であり、……会社の経営状態が多少悪くても、労働者の同意がない限り切り下げることはできないのです」。ここが今回の見所で、労働法だけでなく契約も足枷と見ていることがわかります。経営状態が多少良くても経営者の同意が無い限り切り上げることはできないでしょうに。

2012-04-05 02:03:18
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(5)「基本給や手当は聖域であり、……会社の経営状態が多少悪くても、労働者の同意がない限り切り下げることはできないのです」。ここが今回の見所で、労働法だけでなく契約も足枷と見ていることがわかります。経営状態が多少良くても経営者の同意が無い限り切り上げることはできないでしょうに。

2012-04-05 02:03:18
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(6)「賞与を定額で支払うなどの就業規則の記載がない限り、賞与ならばどんなに切り下げても訴えられることはありません」。就業規則作成義務の無い事業所や就業規則を不当に作成していない会社の賞与切り下げは全く問題が無くなってしまいました。記載がない方が責任を逃れやすいのは事実ですが…。

2012-04-05 02:06:33
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(7)「労働者との間に労務トラブルが生じて訴訟になったとたん、状況は変わります。社内できちんと通用していたにもかかわらず、裁判官は就業規則を合理的でないと判断し、内容を読みかえてしまうのです」。こんな機械的な裁判官がいるなら就業規則関連のトラブルがあったときに指名したいです。

2012-04-05 02:07:48
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(8)(7)の「社内できちんと通用していたにもかかわらず」ですが、裁判所に合理的でないと判断されるなら今まで通用していたのが問題であり、労務トラブルが生じたのなら社内で通用していなかったはずで、これはよくわかりませんでした。恐らく、「きちんと」という印象付けが大事なのでしょう。

2012-04-05 02:09:03
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(9)「「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」という規定はどこの会社にもあるでしょう。経営者とすれば……退職金を支払わないのは当たり前です。ところが裁判所はそうは考えません。そのルールは合理的でないと判断し、会社側に退職金の支払いを命じるのです」。こんな機械的な裁判所が(以下略)

2012-04-05 02:11:10
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(10)「就業規則……の内容が法律に違反していなくても、それが合理的かどうか明確に判断がつかない場合、裁判所は就業規則を読みかえてしまいます」。これは限定的に読みかえることで就業規則を生かすという話です。就業規則って経営者が一方的に作ってよい割に結構守られていると思うのですが。

2012-04-05 02:13:45
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(11)「質の悪い懲戒解雇の場合しかこの規定を適用することはできない、とするのです」。とは言うものの、実際には退職金は7割減額なわけで、完全でないとは言え“きちんと”適用しているわけです。横領ほどの背信性は無いので全額は過度だというのが高裁の判断でした。

2012-04-05 02:16:24
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(12)「就業規則はブラックボックスに近く、それが通用するかどうかは、裁判所に行ってみるまでわからないこともある」。訴えるまで合理的かどうかもわからないような規則が一方的に作られて、しかもそれに従わないといけないっていうなら、むしろ労働者にとって恐ろしい話なのでは。

2012-04-05 02:17:54
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(13)「裁判所は、労働者に不利となる就業規則については「別の解釈の余地もある」として限定解釈してくれますが、労働者に有利な規定については就業規則をそのまま適用します」。就業規則は経営者が一方的に作るルールだというのを忘れているのかな? と心配になります。

2012-04-05 02:19:04
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(14)「労働者に不利な規定に関しては限定的解釈をして労働者に甘い判断をするのに、労働者に有利な規定になったとたん就業規則は絶対だと言うわけですから、会社側としては不公平に感じる」。その感覚のおかしさを説明して無用なトラブルを起こさないようにすることが法律家の務めだと思います。

2012-04-05 02:20:49
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(15)「労働法が労働者を守るための法律である以上、それは仕方のないこととあきらめるしかありません」。就業規則は経営者が一方的に(→有利に)作れるものなので、労働者に下駄を履かせないとまずい。これは「対等」な当事者が雇用契約を交わした結果生じる不利益を是正することとは全く別の話。

2012-04-05 02:28:35
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

(終)今回は「契約や就業規則を使用者の恣に変えられないのはおかしい!」という話で、「対等な雇用契約なのに労働者に有利に是正するのはおかしい!」と言ってきたこれまでの回よりも深刻です。知ってか知らずか民法の原則とその労働法的修正をごちゃまぜにして、結論は「労働法がおかしい!」。

2012-04-05 02:32:45

その後のいくつかのやりとり

NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

.@outroad ご意見ありがとうございます。自分の見解では労働者側の意見としか映らないと思いますので、まとめ(http://t.co/r3ivk2Xw)にある野川忍さんや濱口桂一郎さんの意見をご参照ください。個人的に執着している原因としては添削欲求が強いように思っています。笑

2012-04-05 10:45:45
三木陵一 @ryouitimiki

@kwmr_posse @outroad 裁判所が退職強要に甘いのは事実。昨年末の東京地裁IBM退職強要事件判決をぜひ読んで。記事で述べているよう外資系では成果主義の低評価者への退職強要が吹き荒れています。毎年10%削減が相場(ボトム10)です。

2012-04-05 10:53:28
NPO法人POSSE事務局長/川村遼平 @kwmr_posse

@ryouitimiki そうなんですよね。むしろ退職強要問題にどう規制をかけるか、が喫緊の課題であろうと思っています。司法判断だけではなく、働きやすい職場を作る社内の取り組みとしても、「解雇規制を緩めれば退職強要問題は起こらない」という言説への対抗としても。

2012-04-05 10:59:57
三木陵一 @ryouitimiki

@kwmr_posse たしかに解雇とちがって本人同意を建前とする合意解約は規制づらいということはわかる。しかし、現実は社会的許容度をとっくにオーバー。攻撃から身をまもるには労働組合に加入するしかない。実際、IBMではJMIUに加入すると一応退職強要は止まる。

2012-04-05 11:05:34
松本 孝行|関西のWebマーケター @outroad

@kwmr_posse いえ、労働者側の意見でいいと思います。労働者の保護を最優先で考えてもらわないとと私も思います。が、さすがに今回の例のような極端なものまで擁護してしまうとキツイなと思うのです。やはりそこは真面目な労働者を最優先して擁護してほしいなと。

2012-04-05 11:10:27
松本 孝行|関西のWebマーケター @outroad

POSSEから直接返事もらったけど、基本的に俺は労働者保護に賛成だし擁護すべきだと思う。けども、それは真面目な労働者の話。仕事サボってパチンコしてたから解雇された、不当だっていう労働者まで擁護しないほうがいいんじゃないの?って思ってる。真面目な労働者のためにも

2012-04-05 11:12:37