
有期雇用改革と「多様な正社員」モデル実現のための、2つの課題(byNPO法人POSSE代表・今野晴貴)
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今朝の朝日新聞朝刊の生活欄「働く」に、「正社員でも使い捨て 若者搾取する企業見抜け」というタイトルの記事で、NPO法人POSSE代表の今野がインタビューを受けています。結構大きな記事です。 http://t.co/JOQSacre
2012-04-06 10:39:32
「最近、増えているのが、正社員で採用すると言われるが最初の半年や1年は契約社員というパターン。『今、自分が非正社員か正社員か分からない』『いつまでも非正社員のままで約束と違う』といった相談が多い。正社員と非正社員が融合するような状態」http://t.co/JOQSacre
2012-04-06 10:49:48
「かなり悲惨な形で会社を辞めさせられる例も多い。」「企業は正社員も景気の調整弁として扱うようになっている。たとえば、ある大手企業は本社の総合職で採用した新卒者を入社と同時に集団で子会社に出向させて、辞めるまでひたすら雑用をさせた。」http://t.co/JOQSacre
2012-04-06 10:52:23
「医療費や教育費の国民負担を減らして、最低賃金でもフルタイムで働けば、子供が育てられる社会にする必要がある。そして、若い人間の将来を奪うような働かせ方をする企業は、たとえ巨額の利益をあげていても非難される社会にしていくべきだ」http://t.co/JOQSacre
2012-04-06 10:57:16
今日の朝日新聞30面で大きく取り上げていただきました。非正規についてのインタビューです。非正規についてもかなり話したのですが、紙幅の関係で、むしろ若年正社員の変化の話が取り上げられました。また、最後の記者の解説がとてもよいです。「正社員加は万能の策ではないと感じずにはいられない」
2012-04-06 15:08:17
最近、勇気雇用法案の絡みで、非正規雇用関連の取材や原稿依頼が増えて来た中で、あらためて日本の雇用政策がどうあるべきかを考えさせられている。 特に有期雇用法案が、期間制限を越えた場合に、正社員化を義務付けていながら、既存の正社員と同じ待遇ではなくてよいとしている点が重要である。
2012-04-06 15:12:45誤字:勇気雇用法案→有期雇用法案

なぜなら、この条項は、非正規雇用だけではなく、正社員まで含めた問題を提起しているからである。つまり、非正規雇用並みの待遇の無期雇用、というカテゴリーの増大を意味する。この間政府の審議会でも、「正社員の多様性」は基本的なトピックの一つになり始めている。「正社員の多様化」には賛同する
2012-04-06 15:16:02
問題は「正社員の多様化」の中身である。政府の審議会では、現状の「多様化」が労使の選択肢を増やすものと手放しで評価しているが、これは間違いである。主に二つの弊害がある。一つは、選択肢が増えるのではなく、一方的に厳しい条件が押し付けられているということである。もう一つは、福祉の脆弱性
2012-04-06 15:18:55
正社員の変化が、80時間残業を含みこんでの「基本給」20万円や、若いうちにいくらサービス残業をしても給与はあがらず、使い捨てられるといった、ただ「低処遇」になったことを多様化ということはできない。禁選定名処遇が低くなることがまったく悪いわけではないが、同時に責任を低くすべきである
2012-04-06 15:20:24誤字:禁選定名処分→金銭的な処遇

長時間労働で、昇給もなく働き続ければ、途中に立ち行きなくなる。身体を壊してしまうこともある。つまり、「使い捨て」である。これが第一の問題。残念ながらこれが「正社員の多様化」の大きな部分を占めているだろう。
2012-04-06 15:21:36
第二に、仮に「多様な正社員」の内容が、日本型雇用の変形として、年功賃金を伴わず、低処遇のままに、且つ勤務地などが限定され、責任も低く、過労死の危険も少ない正社員の場合があるとしよう。この場合には、まさに「低処遇」故に、家族を構成し、世代を再生産できないという問題が生じる。
2012-04-06 15:23:01
実際、こうした低処遇の正社員、つまり「限定正社員」こそが、政府の審議会で念頭にある「多様な正社員」の像であろう。そして、今回の有期雇用法案で念頭におく、正社員転換は、まさにこうした「限定正社員化」であるものと考えられる。だが、この賃金では単身者はよくても、世帯の維持はできない
2012-04-06 15:24:49
したがって、「限定正社員」という新しい働き方、多様な正社員が可能になるためには、低処遇でも世帯を構成し、盛大を再生産するだけの基本的福祉政策が必要だということである。 この間つとに思っていることは、何でも雇用の「待遇」の問題ではないということ。福祉+雇用で再生産できればよいからだ
2012-04-06 15:35:58誤字:盛大を再生産→世代を再生産

以上をまとめると、非正規雇用改革と連動する「多様な正社員」という雇用モデルを現実的なものとするためには、二つの課題がある。第一に、低処遇の条件が、責任の緩和、言い換えると「指揮命令権の限定」と結合することである。第二に、低処遇でも世帯を構成するために、福祉政策が拡充されること。
2012-04-06 15:39:51
私のイメージでは、この二つの条件を満たす内容は次のようなものになる。労働に関しては、「いじめない」「簡単にはやめさせない」「過労死ラインの長時間労働はさせない」「違法行為はしない」、これだけ。極めて低いもの。そして福祉に関しては住居、医療、教育が現物・無料が十分生活できる。
2012-04-06 15:42:19
実際、私たちがうける労働相談は、殊遇の水準に関するものはほとんどない。若者が今、何に困っているか? と問われれば、一言で言って「この先どうなるかわからない」ことである。会社では「何をされても仕方ない」ことが、一番の恐怖なのだ。だから、「いじめない」「やめさせないだけでぜんぜん違う
2012-04-06 15:43:57
「いじめない」「やめさせない」その代わりに、低処遇で、何とか雇用をつなぐ。これで足りないところは国家が福祉で補う。このくらいのコンセンサスがとれないものだろうか? これだけで、若者は将来を見据えて生活を建設し、子供を育てることができるようになるはずである。
2012-04-06 15:44:54
このまま「先が見えない」中で一段と少子化が進めば、社会保障費と現役世代のバランスがさらに崩れ、財政もますます危機へと落ち込んでいく。ここで世代を再生産できるように思い切って転換した、「雇用と福祉のモデル」を構築するしかないのだ。それだって効果は20年後。すでに遅すぎるくらいである
2012-04-06 15:47:39
さらにいうと、このモデルが今、もっとも実現できる可能性があるのは被災地である。なぜなら、被災地では被災者限定ではあるが仮設住宅として住居が保障されている。だから、被災者の生活再建を低処遇かつ長期雇用、+住居保障で実現するならば新しいモデルのさきがけとなるだろう。
2012-04-06 15:49:02
被災地でのこうした雇用+福祉モデルの実現の鍵を握るのは、間違いなく地元企業である。特に、中小企業。彼らにとっても、低処遇で長く働いてもらって、かつ従業員がまともな暮らしができることは、望ましいことのはずだ。だから、いっしょになって政府に福祉政策を提言する側にまわってほしい。
2012-04-06 15:50:24