『星新一さんがツイッターでショートショートを書いたら…』

事務員Gさんが「もしも今、星新一が生きていてTwitterでショートショートを書いたら?」と言うコンセプトで書いたショートショートです。とても良く出来ているのでまとめて読める様にしてみました。
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事務員G @ZimuinG

連投します~!すいません!『星新一さんがツイッターでショートショートを書いたら…』

2010-06-11 02:30:15
事務員G @ZimuinG

【1】エヌ氏は悩んでいた。 久しぶりの転職に張り切っていたのだが、 どうにも成績が上がらないのである。 妻の口利きで入れた会社だからこそ、すぐにまた職を変えるのも ばつが悪い。転職を応援してくれていた妻も、 いつの間にか口を聞いてくれなくなってしまった。 #hsshort

2010-06-11 02:31:44
事務員G @ZimuinG

【2】散歩から帰ったエヌ氏がパソコンを立ち上げるとツィッターのメッセージが有ることに気がついた。 「さて、誰からだろう。」 【…明日は家に居てじっとしていよう】 「さっぱり訳がわからん。どうしてこんなメッセージを送ってくるのだろう。」 #hsshort

2010-06-11 02:33:13
事務員G @ZimuinG

【3】大して気にも留めず次の日もいつも通り出社したが、 帰ってきて大層驚いた。 自宅の周りを消防車が囲んでいたからである。 「幸いボヤだったけれど、あなたの部屋の消し忘れたタバコが原因のようよ」妻があきれた声で言った。 #hsshort

2010-06-11 02:34:21
事務員G @ZimuinG

【4】確かに、いつも私はタバコを一服してから会社に行く習慣がある。「あのメッセージはこれを予言していたのだろうか。」 エヌ氏は震えながら、メッセージの送り主をフォローした。改めてパソコンを開いてみると、「新しいツイートが1件」。 #hsshort

2010-06-11 02:35:20
事務員G @ZimuinG

【5】唾を飲み込みながらエヌ氏はそれを読んだ。 【明日はエフ町に行く】 「明日は社内で会議の予定だが…しかし今日のこともある。 それではこのメッセージに従ってみようではないか。」 #hsshort

2010-06-11 02:36:48
事務員G @ZimuinG

【6】次の日、言われるままエフ町に営業に行くと、ふらりと入った会社で突然大きな契約が決まったのである。 「これはすごい!」 それからと言うもの、エヌ氏の人生は好転した。 毎日1通送られてくるメッセージに従うだけで仕事の時には友人関係の上で大いに役立つからである。 #hsshort

2010-06-11 02:38:01
事務員G @ZimuinG

【7】会社の評判も上がり、妻との関係も改善された。 エヌ氏は今日も、毎晩の日課であるツイートをチェックした。 【明日はエム村に行く】 「エム村は、過疎化が激しくて最後の住民が全員隣町へ 移住したと新聞で見たが…」 しかしエヌ氏は疑わなかった。 #hsshort

2010-06-11 02:38:54
事務員G @ZimuinG

【8】きっと明日ここに行けば、 自分に都合が良いのだろう。 次の日、家から出るエヌ氏を見送った妻はよそ行きの服に着替え、エヌ氏の会社へと向かい、社長室のソファに深く腰掛けた。 「君から、ご主人と別れたいと切り出されたときは驚いたよ」 #hsshort

2010-06-11 02:39:57
事務員G @ZimuinG

【9】「社長さんのお影で、すべて上手くいきそうですわ。 今日も主人は何も疑う事なくエム村へと向かいましたから」 「あのツイートは私が自分の予定を書いていただけで、 彼は私の行くところにただ付いてきただけだなんて気づくまい。」 「主人は勝手に勘違いしたのですわ」 #hsshort

2010-06-11 02:41:08
事務員G @ZimuinG

【10】「それでは私はそろそろ失礼するよ。急がねばならぬ。 今日はエム村をダムの底に沈めるプロジェクトの最終日なのだからね。」【終】 #hsshort

2010-06-11 02:41:55