丸山天寿先生の「野球をしない野球漫画」

2
丸山天寿 @tenjumaruyama

さて日曜日のお遊び。プロ野球が開幕した。最近のプロはめぼしい選手が海の向こうに行ってしまうので少し寂しい。野球は私達年代の男にとっては「国技」である。漫画誌に「野球漫画」が掲載されない時代は無かったと言っても良い。そこで本日のお題。「野球をしない野球漫画」。全ての異論を認めます→

2012-04-08 08:03:01
丸山天寿 @tenjumaruyama

「アストロ球団」-中島徳博―70年代少年ジャンプを代表する怪作。「野球しているじゃないか」と言うなかれ。あれは野球ではなく格闘技である。しかもルールのない。「読者が予想し期待する以上の展開」をえんえんと続ける漫画美学の基本形が凝縮されている。野球をしない野球漫画の代表であろう。→

2012-04-08 08:05:05
丸山天寿 @tenjumaruyama

「硬派!埼玉レグルス」-山本コーシロー。-アストロ球団を宮下あきら氏風に味付けした怪作。監督は伝説の投手沢村の化身で現役ヤクザという設定が凄い。ヤクザが絶海の孤島で謎の集団と殺し合う野球漫画。何人生き残るか分からないという凄まじい内容。掲載した月刊ジャンプは凄い。頭が下がる。→

2012-04-08 08:06:37
丸山天寿 @tenjumaruyama

「愛星団徒」-松田一輝―「地球を滅ぼしに来た極悪宇宙球団ネプレ」と戦う沢村の血を引く野球選手達。(沢村は当時の野球少年の憧れ)。地球を滅ぼしに来た相手と何故か野球で勝負する。後半には主人公が宇宙空間に移動してタイマン勝負をする。この展開を考え付いた作者こそが宇宙人かも知れない。→

2012-04-08 08:08:23
丸山天寿 @tenjumaruyama

「処刑球場」-峰岸とおるー囚人VS看守の野球対決。主人公は試合に勝てば釈放される、という設定からしてもはや尋常ではなく野球漫画ではない。囚人や看守達が入り乱れて戦う。グラウンドに飛び散る血。殺し合う選手達。成功すると暖かい笑顔で迎えるチームメイト。こんな刑務所が何処かにあるのか→

2012-04-08 08:13:39
丸山天寿 @tenjumaruyama

「カムバック ゴリ!」-水島新司―野球漫画の大御所である水島先生は、女性、女形、超能力者と何でも漫画に登場させたが、ついに種族の壁を越えてゴリラをマウンドに送る。ゴリラに野球が出来るのか、と思う人は読んで下さい。このゴリちゃん、試合途中で野球をやめてマラソンを始めてしまう。珍作→

2012-04-08 08:15:13
丸山天寿 @tenjumaruyama

「野望球団」-影丸穣也―野球漫画だが、試合は添え物。80年代初頭の西部グループVS読売グループの球団バトルをモチーフにした企業内部暴露漫画。球団経営者達の凄まじい仁義なき戦い。保守の悪・ナベツ○と正義の改革者堤氏が戦うという大怪作。ワルを描いた影丸先生の劇画タッチが何故か似合う→

2012-04-08 08:16:45
丸山天寿 @tenjumaruyama

「野球賭博」-村岡栄一―プロ野球のダークサイド部分に目を付けたオムニバス野球漫画。八百長試合は日常茶飯事、金のためなら何でもする選手。覚醒剤中毒の危ない投手、殺人の前科のある審判等など凄い経歴を持つ登場人物達。掲載時「人間やめますか、野球やめますか」のコピーがついていたような→

2012-04-08 08:18:23
丸山天寿 @tenjumaruyama

「ダフ屋舞次郎」-正岡としやー長嶋引退を機に(長嶋選手は野球少年の永遠の憧れ)ダフ屋の世界に入った主人公。敵対する暴力団とシノギを削り合う日々だったが、球場を縄張りとする女スリに恋をする。野球を主催する側が全く望んでいない者達の織りなす裏ストーリー。これも野球漫画と言えると思う→

2012-04-08 08:20:07
丸山天寿 @tenjumaruyama

野球の面白さはルールの複雑さにある、と私は思っている。あんな厚いルールブックが必要なスポーツは他にないのではあるまいか。ルールの範囲内で技術を磨いて戦う選手達は素晴らしい。けれど才能薄き者はルールの隙間をついて戦うしかない。私は後者の類だから、外れ者に愛着を感じてしまう。 了

2012-04-08 08:22:41