SF作家、山田正紀の映画評

SF作家山田正紀さんによる映画評です。
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小林虹介 @ya1212

「リンダリンダリンダ」が素晴らしかったのは、あれが「達成する物語」じゃないからだ。「ウォーターボーイズ」を皮きりに量産された部活ものの多くが「歯を食いしばり努力して達成する=感動」を描いていたのに、あれはなにかまったく別のものを描いていた。曖昧にいえば「空気」だとおもうけど

2011-06-09 12:49:48
山田正紀 @anaryusisu

「Xメン ファースト。ジェレネーション」僕たちにはなじみの深い物語、「エスパイ」があるし「サイボーグ009」もある。そのマイノリティの視点といい、実に既視感が強い。何の能力も持ってないアホの「×(ペケ)メン」の戦後史を思いついたのだが長いつぶやきは「おひさま」で懲りたからなあ

2011-06-15 09:54:45
山田正紀 @anaryusisu

@takukaji  「Xメン ファースト・ジェレネーション」、見ようによってはミュータントへの恐怖が冷戦の核戦争をきわどく回避せしめたともいえるかもしれない。その意味では人類にとってはミュータントの存在は一種の「僥倖」だったのかもしれませんね。 

2011-06-15 13:02:01
山田正紀 @anaryusisu

「処刑剣」見てきた。中央アジアの荒野を馬で疾走する「ラーメン・ウエスタン」、主人公が持つ箱には十四種類の剣が入っていてそれが機械仕掛けで飛び出す趣向、望遠鏡の使い方等、明らかに「夕日のガンマン」を意識している。ただドニー・イェンはやはりソード・アクションよりカンフーのほうが似あう

2011-06-17 06:47:53
山田正紀 @anaryusisu

@muramasa_256 「ダークナイト」オープニングの美しさは映画で見たときには気づきませんでした。けれどもブルーレイで見たときにはあまりの美しさにほとんど目眩さえ覚えました。たしかにジョーカーの創造という点においてノーラン監督はティム・バートンを抜いたと思います。素晴らしい

2011-06-20 06:34:38
山田正紀 @anaryusisu

@muramasa_256 「インセプション」の雪山でのアクションはあからさまに「女王陛下の007」へのオマージュでした。僕は「女王陛下の007」と「わたしを愛したスパイ」の2作を何か「違うもの」ととらえています。どう違うのか言語化できずにいるのですが。もしかしたら「愛」の映画?

2011-06-20 06:42:17
山田正紀 @anaryusisu

青山真治さんが「東京公園」で、黒沢清さんが「トウキョウソナタ」、どちらがより「東京物語」かというと青山さんのほう、会話のシーンはそれが徹底してその潔さに感動するよ。海が素晴らしい。狙って撮れるシーンじゃないから偶然なんだろうけど「映画の神様」がついてたんだね。音楽も青山さん

2011-06-22 21:20:41
山田正紀 @anaryusisu

「愛の勝利を」、明日また観てくる。すごい映画。これほどの映画がほとんどスルーされてあまり話題にのぼらない。他のどんな映画も吹っ飛んでしまうほどの映画なのに。もう1度観てから、つぶやくね

2011-06-22 21:25:02
山田正紀 @anaryusisu

「タクシードライバー」の撃ち合いのシーン、「サムライ」でアラン・ドロンが襲撃されるシーン、どちらも生っぽかったよね。「愛の勝利」は全編それなんだよ、生っぽい、ドキュメンタリー・タッチなんてことを言ってるんじゃないよ、すべてがいまそこで起こっている感じ、舞台を観てるように生々しい

2011-06-22 21:45:32
山田正紀 @anaryusisu

「愛の勝利を」ハッとさせられるシーンが多いがそれはつねに登場人物の眼差しを意識して撮られているからだ。これほど強い眼差しの映画はドライヤーの「ジャンヌダルクー」以外見たことがない。映画とは本来「相互に見る」関係性のうえに成り立つメディアなのだということにあらためて気づかされる。

2011-06-25 05:53:21
山田正紀 @anaryusisu

(続き2)この映画は「見て」「見られる」ことに果敢に挑んで決して目をそらそうとはしない。女性のヘアが大写しになるシーンがある。最初に見たときには無意識のうちにスタントかと思った。しかし二度目に見たときな主役のジョヴァンナ(知らない女優さんだが目力が凄い)だということがわかった

2011-06-25 05:59:24
山田正紀 @anaryusisu

(続き3)「愛の勝利を」で忘れられないシーンがある。雪が激しく降る夜にヒロインが精神病院の檻をよじ登る。雪の下降と鉄格子をよじ登る彼女の見事な対置、その鮮烈な象徴性! あるいはどこか駅のようなところで爆発が起こり白煙がひろがる。人々が逃げまどう。そのなかをヒロインだけが決然と歩む

2011-06-25 06:09:04
山田正紀 @anaryusisu

(続き4)「愛の勝利を」は20世紀前半の「映像論」としても優れている。映画館で、病院で、あるいは野外で、記録映画や「キッド」などが上映される。ムッソリーニは現実の人間からしだいに記録映画の滑稽なイコンになっていく。映像論であるのと同時に「ファシズム批判」でもある。素晴らしい

2011-06-25 06:25:25
山田正紀 @anaryusisu

(続き5)原題は「勝利」なのだという。邦題の「愛の勝利を」から愛の映画だと思うむきもあるかもしれない。違う。これは愛も生存自体も権力者から剥奪されたヒロインが、子供を奪われ、精神病院に入れられ、しかし徹底的に「尊厳」のために戦う映画。権力者と徹底抗戦するパルチザン映画なのだよ

2011-06-25 06:30:13
山田正紀 @anaryusisu

(続き6)そして音楽、ああ。「愛の勝利を」全篇を流れる音楽、そのパッション、そのエロティシズム、悲劇性! まるで優れた古典劇を見せられるような興奮を覚えさせられる。フェリーニーの様式美をもって語られるヴィスコンティの悲劇性、とでもいえばいいだろうか。まさしくイタリア映画だ

2011-06-25 06:38:56
山田正紀 @anaryusisu

「カルフォルニア。ドールズ」はピーター・フォークの代表作だと思う。泥レスを強いられた女性プロレスラーが涙ながらに「みんなからバカにされたのよ」と訴える。するとピーター・フォークのマネージャーが彼女の肩を抱きながら「違う。楽しませたんだ」と言う。おれもこんな男になりたいと思ったよ

2011-06-25 06:52:24
山田正紀 @anaryusisu

「スーパー8」3Dじゃない2Dだよの心意気。それで8ミリがタイトルになった。全編新旧映画少年へのエールで元気一杯。ゾンビ原因の化学会社が「ロメロ・ケミカル」で、主人公カップルと3人だけ生き残った少年が「次は僕か」と嘆いたりの映画落ちが楽しい、ラストの自主映画はもう一工夫ほしかった

2011-06-25 19:14:12
山田正紀 @anaryusisu

おはようございます。「スカイライン 征服」ドラマ部分の凡庸さとCG特撮部分の弾けぶりの落差を楽しむ映画。CG特撮小僧版ぼくたちの主張……コンピュータはたんなる機械、それを使う人間のセンスが大切、などなど。エンディグに延々フィギュアを見せる確信犯ぶり。人生を楽しむにはこうでなくちゃ

2011-07-07 05:30:17
山田正紀 @anaryusisu

「ラスト・ターゲット」原題の「アメリカーナ」のほうがいいと思う。そうでないと「ウエスタン」のヘンリーフォンダがテレビに映されてるのがどうしてだかよく理解できない。監督は有名な写真家ということだけど意外にシネ・アディクト、確信ないけど「殺しの烙印」へのオマージュ入ってるかもしれない

2011-07-10 18:47:34
山田正紀 @anaryusisu

「ラスト・ターゲット」既視感のあるストーリーだけどスタイりッシュでカッコいい。この種の物語はストイックな主人公が女に惚れて破局を迎えるのがパターンなのでジョージクルーニーだけはそうならないでと願ったのにやっぱりそうなっちゃった。イタリアの女優さんはナチュラルにヌードになって素敵だ

2011-07-10 18:55:28
山田正紀 @anaryusisu

「テキサスの5人の仲間」てさ、あまりによく出来た題名なのでてっきり原題そのままかと思ってた。邦題なんだね、これ。邦題としてはベスト級じゃないかね。この題自体に仕掛けが隠されている。それにしてもこの映画が忘れ去られているのは残念。それはまあたしかに名作じゃないけどキュートな作品だよ

2011-07-24 10:36:19
山田正紀 @anaryusisu

ジャック&ベティに山本監督の「スリーポイント」を見に行く。町の「あんちゃん」たちとたちどころに仲良しになれるこの人ならではの映画で映像ゲリラの「遊撃日記」とでもいうべき体験を味あわせてくれる。誰とでもすぐに仲良くなれる、というのは偉大な一つの才能だ、「熊楠」再開できればいいのにな

2011-07-25 05:38:25
山田正紀 @anaryusisu

吉永小百合さんは十代「キューポラのある町」で北朝鮮への帰国を賛美する台詞を言わせられた。賢明な彼女がその愚に気づかないはずがない。だから同じ浦山監督が「夢千代日記」で左翼的で生硬な「反核」的な結末をつけようとしたのに最後まで抵抗した。彼女は筋金入りのリベラル、ヒューマニストだよ

2011-07-26 10:24:54
山田正紀 @anaryusisu

オリジナルの「13日の金曜日」何年かぶり何十年かぶりに見たがその冗長さに驚いた。編集がじつにザツでぷつんとシーンが切れるかと思えば意味のないシーンを延々と撮ったりしている。ここから始まってスプラッタ・ジェットコースター・ムービーに進化していったのだから学習能力抜群だったわけだ 。

2011-08-07 12:37:46
山田正紀 @anaryusisu

「用心棒」で卯之吉を演じた仲代達也は懐から拳銃を撃つので銃火が目のすぐ近くになる。それなのに発砲時に目を閉じると黒沢明に叱られたし砂埃が目に入っても開けていろと叱られた。町山氏がおっしゃるようにイーストウッドがいつも発砲時に目をつぶっているのだとしたら『荒野の用心棒』の資格はない

2011-09-02 11:40:56
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