他動性(transitivity)についてのメモ
@dlit すいません、ついでに質問させてください(答えはゆっくりでよいので)。他動性って直観的には理解できる(足を折るは受動的に見える)んですが、もう少しソリッドな形で、含意とか変形などの現象で、定義ないしテストを与えることはできるんでしょうか?
2010-06-08 08:38:00#gengo 【自他】 さて、@at_akada さん、ほったらかしですいませんでした。他動性(transitivity)のもう少し詳しい内容について先行研究を少し紹介しておきます。最近の研究をざっと探してみたのですが、あまりうまく見つからなかったので基本的なものを二つ。
2010-06-12 02:20:08#gengo 【自他】 さて、まずHopper, Paul J. & Sandra A. Thompson (1980) "Transitivity in grammar and Discourse," Language 56: 251-299. から。
2010-06-12 02:24:35#gengo 【自他】 H&Pでは10の軸が出てくる。Participants, Kinesis, Aspect, Punctuality, Volitionality, Affirmative, Mode, Agency, Affectedness, Individuation
2010-06-12 02:29:49#gengo 【自他】 長くなりますが一つずつ。A. Participantsについては他動性高:2 or more participants ⇔ 他動性低:1 participant
2010-06-12 02:32:22#gengo 【自他】 B. Kinesisについては他動性高:action ⇔ 他動性低:non-action、C. Aspectについては他動性高:telic ⇔ 他動性低:atelic、
2010-06-12 02:34:33#gengo 【自他】 D. Punctualityについては他動性高:punctual ⇔ 他動性低:non-punctual、E. Volitionalityについては他動性高:volitional ⇔ 他動性低:non-volitional、
2010-06-12 02:35:47#gengo 【自他】 F. Affirmationについては他動性高:affirmative ⇔ 他動性低:negative、G. Modeについては他動性高:realis ⇔ 他動性低:irrealis、
2010-06-12 02:37:33#gengo 【自他】 H. Agencyについては他動性高:Agent high in potency ⇔ 他動性低:Agent low in potency、
2010-06-12 02:38:53#gengo 【自他】 I. Affectedness of Objectについては他動性高:Object totally affected ⇔ 他動性低:Ovject not affected、
2010-06-12 02:40:02#gengo 【自他】 J. Individuation of Objectについては他動性高:Object highly individuated ⇔ 他動性低:Object non-individuated、となっており、それぞれのスケールに段階性を認めます。
2010-06-12 02:40:45#gengo 【自他】 さて、もう一つは日本語についての研究であるJacobsen, Wesley(1989)「他動性とプロトタイプ論」久野暲・柴谷方良編『日本語学の新展開』: 213-248、から。
2010-06-12 02:46:08#gengo 【自他】 すなわち、他動性が高い出来事とは、a. 関与している事物が二つある(agent & object)、b. 動作主に意図性がある、c. 対象物は変化を被る、d. 変化は現実の時間において生じる、ものである。aはH&PのA, bはE, cはI, dはGに対応。
2010-06-12 02:50:30#gengo 【自他】 ちなみにJacobsenには日本語の自他研究の基本文献でもあるJacobsen, Wesley(1992) The transitive structure of events in Japanese. Kuroshio. があり、形態の丁寧な記述もある。
2010-06-12 02:52:52#gengo 【自他】 ここまで挙げた他動性の基準については、具体的なテストが考えられるものもありますし、ほぼ意味的な直感(解釈)によって判断するものもあるかもしれません。あと、最近の研究では外されているものもあるかもしれません。
2010-06-12 02:57:05僕はtransitivity自体は全然研究を追っかけてないのでむしろ最近の研究の動向とか解説を聞いてみたいぐらいなのですが(^^; RT @koda_TO: @dlit いえいえ、俺ももっとTransitivityの議論にかみたいですが、ちょっと追いついてないです…
2010-06-09 22:03:50@dlit TransitivityってBowersのLIの論文以降聞かないですよね、正直なところ、俺も最近の動向をお聞きしてまわりたいw
2010-06-09 22:53:40typologyの方ではまだまだホットトピックかと思っていたのですが…最近だとlexical semanticsの方に流れちゃうのかな… RT @koda_TO: @dlit TransitivityってBowersのLIの論文以降聞かないですよね…
2010-06-09 23:46:22@dlit Typologyでは盛んなんですか… そっちは全然追えてないです。すごく興味があるんですけどねえ。今はアイルランド語と統語論おっていくだけで精一杯です
2010-06-10 03:46:55