茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第565回「英語について大切なことを、改めて確認する」

脳科学者・茂木健一郎さんの4月15日の連続ツイート。 本日は、アメリカに滞在中に、改めて思ったことについて。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

都心に向かう成田エクスプレスの車内から、連続ツイート第565回をお届けします。本日は、アメリカ滞在中に、改めて思ったことについて。

2012-04-15 18:36:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

えあ(1)英語は必須であるという判断に代わりはない。しかし、そのことの意味をきちんと明確にしないといけないと改めて感じた。まず、英語という言語自体に価値があるということでは必ずしもない。英語と日本語は、言語としては、対等である。後者は母語だから、英語よりも大切なのは当然だ。

2012-04-15 18:37:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

えあ(2)英語をしゃべっている人たちが、それだけで偉いというわけでもない。英語主義者には、ときおり、英米の人たちの「クラブ」メンバーになること自体を目標にしたり誇りにしたりする人がいるが、ナンセンスである。日本人もアメリカ人もイギリス人もみな対等であることは言うまでもない。

2012-04-15 18:39:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

えあ(3)英語を、文法的に正確に、あるいは流ちょうにしゃべること自体に価値があるのではない。日本人には、時折、英語を正確にしゃべっているか、書いているか、神経症的に気にする人たちがいるが、これぞ植民地根性というものである。大切なのは中身で、英語表現は手段に過ぎない。

2012-04-15 18:40:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

えあ(4)いわゆる「ネイティブ」が偉いわけでも、一枚岩でもあるわけではない。英語は急速にグローバル化している。いわゆる「グロービッシュ」はナンセンスだと思うが、それぞれが微妙に違う表現で英語をしゃべっている。英語と米語はすでにボキャブラリーなど、かなり異なる言語になっている。

2012-04-15 18:41:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

えあ(5)では、なぜ英語をやらなくてはならないのか? まずは地球文明を推進している最良の「コンテンツ」への「アクセス」の手段としてである。科学や、技術、文明をめぐる知の集積が英語を中心に行われており、英語ができないと最良の内容に接することができない。日本語だけでは井の中の蛙だ。

2012-04-15 18:42:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

えあ(6)別の言い方をすれば、ビジネス英語だとか、旅行会話とかは、できるには超したことはないが「オプショナル」な内容だということになる。英語の主戦場は、人類の知の最先端としての現場であって、TOEICで試験されているような実用的な内容は、はっきり言ってどうでもいいのである。

2012-04-15 18:43:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

えあ(7)英語ができることのもう一つの意味は、日本人の感性、思想、主張を外に向かって表現する時がきたということである。レストランにおける「おまかせ」や、里山における自然と人間の共生など、世界中の人にプレゼントとして差し出すべき良質のコンテンツを、私たちは持っている。

2012-04-15 18:45:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

えあ(8)京都大学の入試が「和文英訳」「英文和訳」に終始していることに象徴されるように、日本人の英語学習は、いまだに「日本語」というはしごをかけた翻訳言語になっている。これでは、英語というボールを直接やりとりしてピッチを走り回る現代の要請に全く適応できない。

2012-04-15 18:46:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

えあ(9)結論。緊急の課題は、科学、技術、文明の最先端の思想内容を英語で直接吸収すること。これが、英語学習の意義9割くらいだと私は考える。残りの1割は自己表現。国家建設という意味においては、ビジネス英語などの実用は、まあできればいいという程度のこと。そんなに難しくないし。

2012-04-15 18:48:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第565回「英語について大切なことを、改めて確認する」でした。

2012-04-15 18:48:40