2012年4月17日

高岡滋先生の連続ツイート「ミナマタから見た原発事故による健康影響調査」

原発事故による健康影響調査はどのように進めていくべきか?水俣病の認定訴訟で尽力された高岡先生の連続ツイートが非常に示唆に富むのでまとめてみました。
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高岡 滋 @st7q

(1)頼まれて書いた文章をもとに、「ミナマタからみた原発事故による健康影響調査」をまとめてみました。

2012-04-17 08:40:04
高岡 滋 @st7q

(2)【環境被害における健康調査の重要性】環境汚染物質をある企業が撒き散らした場合、そもそも論で考えるならば、健康被害の程度にかかわらず、その企業は環境、生物に対して引き起こした異変に対する復元措置を講じ、人体被害の回復と被害に対する補償をおこなうべきである。

2012-04-17 08:41:18
高岡 滋 @st7q

(3)しかしながら、法的に汚染の人間に対する被害責任しか問われないという理由で、企業と行政は、医学などの関連する科学分野を支配し、人体被害をなかったあるいは最小であったことにして、その責任を逃れようとするのが旧来から踏襲された原因企業と行政の思考・行動パターンである。

2012-04-17 08:41:34
高岡 滋 @st7q

(4)当然、健康被害が現れる前の段階において、予防策を講じるべきであるのだが、隠されようとする人体健康影響が示されることなしに、汚染企業の責任は追及されえないし、補償もないというのが、水俣病の歴史の示すところであった。そのことは科学的事実の隠蔽でもある。

2012-04-17 08:41:49
高岡 滋 @st7q

(5)【汚染地域健康調査のもつ2つの意味】水俣病が始まったとき、いつごろまでにどのような健康障害が起こり、将来どのような形で拡大あるいは終息していくか、という、メチル水銀による健康障害の全貌は分からなかった。

2012-04-17 08:42:07
高岡 滋 @st7q

(6)それと同様に、東日本一帯あるいは日本全体で健康障害がどのように出現してくるかについては、これまでのチェルノブイリなどの経験から想定できるところもあるが、拡散された核種や量、分布、被曝の様態などの違いもあり、未知の領域として心構えをしておくべきである。

2012-04-17 08:43:18
高岡 滋 @st7q

(7)病像が確立している疾患であれば、調査目標となる健康障害として何を選択するかは容易であるが、未知の分野が想定される場合には、病像そのものをも探っていかなければならない。このように、汚染地域の調査には、病像の探求と健康障害の診断という2つの目的が存在することになる。

2012-04-17 08:43:32
高岡 滋 @st7q

(8)汚染地域の調査は、未知の領域を想定した上で、病像の追求と診断を平行して進めなければならない。このことを理解せず、「まだ調査の段階ではない」、「そんなに影響を気にしなくて良いのでは」などと呑気なことを言っている医師が多いのは困ったことと思う。

2012-04-17 08:44:13
高岡 滋 @st7q

(9)こういう医師達は、自分たちが調査もせずに、「(調査するほどの影響もないという)結論を出して」しまっていることに気付いていない。影響がないことを確かめるためさえ調査しなければ分からない、ということも理解できていないことになる。

2012-04-17 08:44:25
高岡 滋 @st7q

(10)【「曝露-健康影響」関係の検討】汚染物質による健康障害の評価には、曝露(被曝)と健康影響の情報が必要。この「被曝-影響」関係をみていくのが、因果関係を追求していく基礎。とかく、被曝指標は、SvやBqなどの数値で表されることが多いが、これには盲点がある。

2012-04-17 08:44:51
高岡 滋 @st7q

(11)ホールボディカウンターや尿中放射性セシウムなどのデータも参考にはなるが完全ではない。線量計をつけてでもいない限り、実際の累積の外部被曝量を正確に現すことも困難である。ところが、原発放射線学者は、Sv単位で被曝を表現したがる。なぜか?

2012-04-17 08:45:06
高岡 滋 @st7q

(12)実際には内部被曝や放射性微粒子(ホットパーティクル)などによる被曝線量をSv単位で表現しきることは極めて困難である。外部被曝と比較して内部被曝の生物学的影響を評価するかという点で、専門家の意見は大きく隔たっている。被曝を小さく見せるためにSvを用いる手法である。

2012-04-17 08:45:27
高岡 滋 @st7q

(13)というわけで、「Sv」にとらわれず、居住歴、生活歴、飲食物入手ルートなどのアナログ情報を得ておくことが非常に重要である。毛髪などのメチル水銀測定をされてこなかった水俣周辺地域住民の曝露条件として、居住歴や魚介類喫食歴が重要であるのと同様である。

2012-04-17 08:45:44
高岡 滋 @st7q

(14)【健康影響をはかる指標】被曝に対する健康影響のなかで「エビデンス」の指標として用いられてきたのは「癌死」である。しかし、これは健康影響の指標としては、鈍感すぎる考えるべきである。特に内部被曝が問題となる事例に関するこれまでの疫学調査が十分とはいえない。

2012-04-17 08:46:02
高岡 滋 @st7q

(15)福島第一原発事故に最も近似した被曝を引き起こしたチェルノブイリの影響について、少数の英文で書かれた研究結果のみを材料としたIAEA、ICRPと、スラブ系言語で書かれた論文もふくめた、ヤブロコフら編集のチェルノブイリ報告では、被害の実態が大きく異なってくる。

2012-04-17 08:46:31
高岡 滋 @st7q

(16)ヤブロコフら編集の報告では、発癌、癌死以外に、有病率、死亡率、加齢、良性腫瘍、循環器・内分泌・呼吸器・消化器・泌尿生殖器・骨格筋肉系・神経系・皮膚・感染症・遺伝子損傷・先天奇形・幼児死亡・出生率・知能指数低下などが記載されている。

2012-04-17 08:46:47
高岡 滋 @st7q

(17)このように、ターゲットとすべき健康障害の種類も本来は多岐に及ばなければならない。水俣病の場合は、自覚症状、神経所見、感覚定量検査などを指標として用いているが、このような事情から、放射線の場合にどの指標を用いるかは、検討課題である。

2012-04-17 08:47:11
高岡 滋 @st7q

(18)できれば感度も特異度も高い指標がよかろうが、収集の簡便さと基礎的な情報であるという意味で、自覚症状は必ず含まれるべきだし、標的臓器によっては臨床検査も有用である。また、検査対象者や倫理的問題をクリアした上で、染色体検査なども行われるべきである。

2012-04-17 08:47:33
高岡 滋 @st7q

(19)調査手法としては、一定の地域全体を対象とした横断研究が含まれることが望ましいが、行政では容易であるものの、民間では困難である。自覚症状を有する人々や希望者のデータも重要で、特異性などの点でデータに特徴があれば、より有用となる。

2012-04-17 08:52:26
高岡 滋 @st7q

(20)【行政の隠蔽姿勢】本来情報収集責任のある厚労省や学会などは、実態把握よりも、隠蔽に努力している。2011年3月18日、日本気象学会理事長の通達、同年5月16日、文科省と厚労省が被災地での調査・研究の留意事項にわざわざ言及、研究に対する圧力になる危険性を孕む。

2012-04-17 08:52:47
高岡 滋 @st7q

(21)2011年6月、政府は、全福島県民の健康調査を30年間実施すると発表。しかし、同年9月15日には総務省が、同年10月17日には厚生労働省が、ルーチン調査である患者調査を「宮城県の一部地域及び福島県の全域について調査を行わない旨決定し、当該県へ連絡済み」とした。

2012-04-17 08:53:01
高岡 滋 @st7q

(22)【現段階での個別症例検討の重要性】ということで、水俣病と同じく、政府に対して継続的で広範な被曝-健康調査を要求しつつも、民間の医師・専門家・住民で、独自の健康調査を組織していく必要がある

2012-04-17 08:53:19
高岡 滋 @st7q

(23)現段階では、長期的で広範な疫学調査を念頭に置きつつも、住民について個別の被曝情報を確保すること。健康被害については未知の領域が存在する。被曝との関連が疑われる情報については一例報告であっても重要なものが含まれうることを念頭に置くべきである。

2012-04-17 08:55:24
高岡 滋 @st7q

(24)真面目な臨床医の中にも、「他の原因も考えられ、因果関係が断定できない」と、個別症例報告を軽視、否定する意見があるが、これは間違い。「放射線と関連付けて考察する」ことは、仮説を検討することであり、医学的の基本であり当然のこと。次には倫理を持ち出して拒否したりする。これも逆。

2012-04-17 08:56:53
高岡 滋 @st7q

(25)医学は演繹法と帰納法の組み合わせで進んでいくが、通常の診断が、症状は演繹法で把握するものの、診断を検討する時に既存知識に依存するという部分で、演繹法が重要である一方、未知の健康障害の把握は帰納法がより重要であるという違いを認識できないのである。

2012-04-17 08:58:16
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コメント

Dormeur @nemuribito 2012年4月17日
患者調査は行政の隠蔽姿勢の例としては不適切。あれは健康被害の有無が分かるような調査ではない。特定の疾患群のベッド数の増減とか平均在院日数の圧縮とか在宅医療推進とか生活習慣病予防推進みたいな政策判断に使うもの。
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Dormeur @nemuribito 2012年4月17日
計算してみた。もっとも過敏な成人群のメチル水銀の最少影響量は「血中濃度で」0.2mg/Lらしいが、この濃度はCs137で言うと64046Bq/L。人体の血液量は成人で約5L。ご参考まで。
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平井孝典 @takanori_hirai 2012年4月19日
1個目のコメントは事実を的確に指摘しておりナイスコメントだと思いました。でも、2個目のコメントは意図が理解できませんでした。セシウムの化学的毒性を問題視したいのでしょうか。しかし、放射性物質による被曝を心配している現状には当て嵌まらない指摘だと思いました。
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スカルライド @skull_ride 2012年4月19日
僕も詳細は分からないのですが、水俣病の病態解明や認定訴訟において、患者調査は重要な役割を果たしたという事ではないのでしょうか。放射線でも丹念な患者調査なしに病態解明は有り得ないと思うのですが••
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スカルライド @skull_ride 2012年4月19日
64046Bq/Lの算出根拠が不明ですが、ICRPの全身均一モデルで実効線量100mSVで線引きして、実効線量係数から逆算してBq換算し、平均体重で割ったものという感じでしょうか?
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平井孝典 @takanori_hirai 2012年4月19日
私も水俣の知見は非常に重要だと思っています。個別症例を詳細に調査することにも賛成です。ただ、過度に陰謀論のような話に傾くと一般の賛同を得られなくなるので、患者調査のような誤った認識は修正する必要があると思います。
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平井孝典 @takanori_hirai 2012年4月19日
64046Bq/Lの算出は、アボガドロ数と原子量(137)を使って0.2mgの原子核数を出して、log2を半減期(秒)で割ったものを掛けたのではないかと思います。ただ、自分で計算したらどこで間違えたのか桁が違ってしまいました。(-_-;ゞ  でも、濃度をメチル水銀と同等にすることに意味があるとは思えないのですが…。
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スカルライド @skull_ride 2012年4月19日
データに客観性を持たせる事は確かに大切ですね。同時に原子力産業を守る為に都合の悪いデータを切り捨てるような事もあってはならない訳です。高岡先生が仰るように政府や福島県立医大だけでなく、民間の専門家グループも交えて調査を進めて行くべきでしょう。
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Dormeur @nemuribito 2012年5月3日
水俣病におけるメチル水銀摂取量の感覚で現況の放射性セシウム摂取量をお望み通りベクレルで考えても、セシウムの方の摂取量が少なすぎて影響が出ないんじゃないのってことになってしまうので安易な比較・援用は避けた方がいいということです。調査すること自体は大事です。
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Dormeur @nemuribito 2012年5月3日
あと、skull_rideさんは高岡医師が言及している件の「患者調査」の調査項目と調査方法と過去の調査結果を一度ご覧になって、水俣病の病態解明につながるようなものではないことを確認してみてください。
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スカルライド @skull_ride 2012年5月7日
高岡先生らが行った調査結果を見てみましたが、水俣病の病態解明に見事につながってましたよ。決め手になったのは桂島研究や不知火沿岸住民調査といった、やはり丹念な患者調査でした。
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Dormeur @nemuribito 2012年5月7日
書き方が悪くて申し訳ない。高岡医師が言及している件というのは厚労省が今般福島県等を除外した、固有名詞の患者調査のことです。 http://j.mp/J91C1r
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スカルライド @skull_ride 2012年5月7日
そういう事でしたか!確かに厚労省のこの患者調査では病態解明は無理でしょうね。ただ調査項目最後の主傷病、副傷病だけはとても大切だと思います。これを調べないと福島でどの病気がどれだけ増えたか分からなくなりますからね。
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