するよ? シンフォギアの響のクラスメイトの板場弓美ちゃんの話をするよ?

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今井哲也 @imaitetsuya

アニメの中でアニメの話をするオタクキャラって好きになれないことが多いんだけど、シンフォギアにでてきたクラスメイトの子は最高によかった。(この人またシンフォギアの話 してる・・・)

2012-04-18 11:07:05
今井哲也 @imaitetsuya

彼女の「アニメを真に受けてなにが悪い!!」はシンフォギア全編通じて最大の名台詞の一つです ネタでもなんでもなく

2012-04-18 11:09:49
今井哲也 @imaitetsuya

するよ? シンフォギアの響のクラスメイトの板場弓美ちゃんの話をするよ?

2012-04-18 11:23:27
今井哲也 @imaitetsuya

弓美ちゃんは「これってアニメだったら○○だよ」「アニメじゃないんだからさ~」「分かりやすくアニメで説明してよ」みたいな感じで、つねにアニメになぞらえて物事を認識している女の子。この設定自体は、アニメのクラスメイトキャラだったらまあ、よくある。

2012-04-18 11:27:09
今井哲也 @imaitetsuya

ただちょっと面白いところは、彼女は学校生活のなかで「アニメだとこういうのが王道なのだからこの子とこの子は現実でもこういう展開をすべきだ」みたいなことを普段ほとんど言わなかった。単に出番が少ないうえにモブキャラ3人娘の1人というポジションだったからかもしれない。

2012-04-18 11:31:08
今井哲也 @imaitetsuya

説明しづらいけど、たとえば「お前、あんな可愛い娘と一つ屋根の下で暮らしておいて何もなかったっていうのか!? しかも見ろ、あの完璧なスタイル! 流れるような金髪ツインテール!! お前そこは普通はもっとこう・・・」みたいな事を主人公に言う役割のキャラっていますよね。あれ。

2012-04-18 11:36:03
今井哲也 @imaitetsuya

そういう友人のいう「普通はもっとこうだろ」というのは大抵、「美少女アニメやギャルゲー的ラブコメならこうだ」っていうメタな視点が紛れ込んでいて、そこも含めて弓美ちゃんはそういう友人キャラのポジションにピッタリはまりそうな「アニメオタクの友人」なんだけど、この子別にそうじゃないの。

2012-04-18 11:40:50
今井哲也 @imaitetsuya

ただ自分は口癖になるくらいアニメが好きだっていうことを淡々と表明し続けるだけの友人A。というか、作中での描かれ方でいうと友人C。まあ、アニメ好きっていっても普通はそうですよねっていう。シンフォギアはこういう変なとこを変に地味に堅く作ってある。

2012-04-18 11:44:55
今井哲也 @imaitetsuya

で、この友人Cは出番も少なくて、たまに出てきて主人公に絡んではアニメがどうこうって言うだけの脇役なんですけど、この子が最終盤劇的に成長するんですよ!!!

2012-04-18 11:48:00
今井哲也 @imaitetsuya

弓美ちゃんのなかでアニメはたぶん一貫して、現実よりも楽しくて上位にあるものだった。目の前で起こっていることを、すべて自分の観たことのあるアニメになぞらえて思考する彼女は、つまり「アニメ」を現実を単純化して認識するためのツールとして使っている。

2012-04-18 11:51:08
今井哲也 @imaitetsuya

逆にいえば、弓美ちゃんは現実でどんなイベントに遭遇しても、それをアニメ的に最解釈する発想しかできない。主人公の響と親友の未来がケンカをしているのを見て、どうしたらいいかみんなで困っている時も「こんな時アニメならどうするんだっけ・・・」と考えてる彼女は正直ちょっとアレな子。

2012-04-18 11:58:13
今井哲也 @imaitetsuya

で、物語のクライマックスで学校がノイズに襲撃され、目の前で人が死んだり校舎がめちゃくちゃに破壊されると、彼女のこの思考法はすごく悪い方向に行きます。友人の響が自分たちを守るために命がけで戦っているんだけど敗色濃厚なのを見て、弓美ちゃんはまっ先に心が折れてしまう。

2012-04-18 12:03:37
今井哲也 @imaitetsuya

ようするに彼女は「こういうことはアニメのなかでだけ起こることだ」と思っていて、いざ自分の身に降りかかったハードな現実を受け止めきれない。「もう嫌だよ! 死にたくないよ! 誰か助けてよ!」「おかしいよ、みんなどうして戦うの!? 痛い思いして、怖い思いして、死ぬために戦ってるの!?」

2012-04-18 12:09:30
今井哲也 @imaitetsuya

このシーンで弓美ちゃんは、それまで口癖だった「アニメだったら」というセリフをまったく口にしなくなります。ただ取り乱して泣きわめく。彼女の中に蓄積されていたフィクションを現実が上回って、それまで自分がことあるごとになぞらえていた作り話の世界がまったく力を持たなくなってしまう。

2012-04-18 12:11:39
今井哲也 @imaitetsuya

こういう体験はたぶん、僕たちが普段暮らしている中でも起こる。「あんなことがあったらアニメも漫画も何も頭に入ってこない」とか、「それまで楽しんでたものがまったく楽しめなくなってしまった」っていうことはあるよね。弓美ちゃんはとりわけそこへの依存度が高かったのでまっ先に崩れてしまった。

2012-04-18 12:13:42
今井哲也 @imaitetsuya

なので、いつも仲良くつるんでいたモブキャラ3人娘の中で、いつもアニメの話ばかりしていちばんすっとぼけたキャラだった弓美ちゃんが激しく取り乱して、残り二人が呆然とした顔で彼女を見つめるっていうこのシーンはすごい絶望的な説得力があった。どうすんのよこれっていう。

2012-04-18 12:15:42
今井哲也 @imaitetsuya

一方、それでも響をまっすぐ信じ続ける未来ちゃんがすごくまぶしいんだけど、この状況の中で、次に最初に立ち直って行動に移るのが弓美ちゃんなんですよ!!!

2012-04-18 12:16:49
今井哲也 @imaitetsuya

弓美ちゃんたちが避難していた倉庫に、ほかにも見つかった生存者たちが次々集まってくる。中には今まさに地上で戦っている響にかつて命を助けられた子供もいた。で、そういう人達を目にした弓美ちゃんは、地上の響をバックアップするために、ちょっと危険な場所へ行く役目に自ら志願する。

2012-04-18 12:22:39
今井哲也 @imaitetsuya

半壊した通路内で、すごく狭い隙間をくぐり抜けて向こう側へ行かなきゃいけないって場面で、志願した弓美ちゃんがまたアニメの話をするんですよ。「アニメだったらさ、こういう時、身体のちっこいキャラの役回りだしね」「でもそれはアニメの話じゃない!」「アニメを真に受けてなにが悪い!!!」

2012-04-18 12:27:49
今井哲也 @imaitetsuya

ボカァこのセリフを聞いたとき涙が出るかと思いましたね。

2012-04-18 12:28:24
今井哲也 @imaitetsuya

弓美ちゃんのなかで一度はフィクションを現実が上回ってしまって、それまで観たアニメの記憶が彼女になにも力を与えてくれなくなった。で彼女は絶望して泣きわめくんだけど、それを響や友人たち、響が助けた人たちといったつながりを意識することで乗り越えて、勇気を出して現実に立ち向かおうとする。

2012-04-18 12:33:56
今井哲也 @imaitetsuya

ところが、そのとき弓美ちゃんに再び力を与えるのはやっぱりアニメなんですよ。「アニメばっかり観ていないで現実も見なくちゃ」じゃないんですよ。

2012-04-18 12:37:54
今井哲也 @imaitetsuya

彼女なりのやり方で現実と戦おうとするとき、やっぱりそこにあるのは「アニメが好き」「アニメに勇気をもらう」っていうことで、彼女はそれを大声で言って皆を驚かせるんですよ。もうね、あのね、最高ですよね

2012-04-18 12:39:02
今井哲也 @imaitetsuya

現実として考えると、ああいう局面でアニメ好きな人が「アニメのキャラはこうだったから自分もがんばろう」って思えるかっていうと、それはまあ、たぶん難しい。ていうか災害とか大事故としてとらえるなら、そこで「アニメではこうだったからできます」とか言い出す奴がいたら困るし止める。

2012-04-18 12:55:17
今井哲也 @imaitetsuya

けど、それはそれとして、弓美ちゃんというキャラクターへの伏線の回収のしかた、成長のしかたは物語として完璧だったし、そのうえでそこに込められた「アニメ」への姿勢というか、メッセージはすごく熱かった。シンフォギアすごく良いアニメですよほんと

2012-04-18 12:58:58