丸山眞男『日本政治思想史研究』読書メモ by @yagian さん

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yagian @yagian

「日本政治思想史研究」第一章「近世儒教の発展における徂徠学の特質並びにその国学との関連」第一節「まへがきー近世儒教の成立」要約:徳川時代の日本において儒教は二つの理由で飛躍的な発展を遂げた。一つは、徳川時代の社会体制が、儒教が前提としていたシナと類型上対比できたという客観的理由。

2010-06-14 06:07:55
yagian @yagian

続き:二つ目は、近世初期において儒教が思想的に革新されたという主観的理由。この朱子学派・陽明学派から古学派への近世儒教の発展過程は、儒教思想自体が分解し、全く異質的な要素を生み出した。これを徂徠学に遡り、これを継承しながら転換した宣長学の成立をいかに準備したかをたどる。

2010-06-14 06:13:05
yagian @yagian

「日本思想史研究」が難解だという人がいるけれど、論理的で、明晰で、とてもわかりやすい本だと思う。特にフーコーを読んだ後だと、特にわかりやすいと感じる。丸山眞男と相性がいいのかも。

2010-06-14 06:15:42
icchan @icchan0000

論理展開は明晰ですよね。文献資料の引用が読みにくい印象をあたえるのかな? RT @yagian: 「日本思想史研究」が難解だという人がいるけれど、論理的で、明晰で、とてもわかりやすい本だと思う。特にフーコーを読んだ後だと、特にわかりやすいと感じる。丸山眞男と相性がいいのかも。

2010-06-14 08:38:12
yagian @yagian

それはあるかもしれないですね。私自身は、最近では、江戸時代の文章を読むのはずいぶん慣れてきたので、あまり抵抗はなくなってきました。慣れの問題という感じがします。 RT @icchan0000 論理展開は明晰ですよね。文献資料の引用が読みにくい印象をあたえるのかな?

2010-06-15 19:45:27
yagian @yagian

それにしても、丸山眞男は頭がいいと思う。「日本政治思想史研究」で、これだけ理路整然として、コンパクトで、わかりやすいのなかの朱子学の解説を読んだことがない。

2010-06-14 21:23:16
yagian @yagian

「日本政治思想史研究」第一章第二節「朱子学的思惟様式とその解体」要約:徳川時代初期においては朱子学が受容されたが、徂徠学に向けてその解体が進んだ。朱子学の特徴は、体系性、連続性にある。朱子学の根本観念である理は、自然の法則であり、道徳的規範でもあり、自然と人間を連続的に把握する。

2010-06-15 07:23:33
yagian @yagian

続き:社会に対しても、個人の徳が天下の太平の基礎となるというように連続的に把握される。また、朱子学には静的な性格がある。このような特質は、戦国時代から固定した秩序の上に成立した近世封建社会の安定の実現に対して機能した。

2010-06-15 07:27:56
yagian @yagian

続き:しかし、元禄時代において、山鹿素行、伊藤仁斎、貝原益軒を経て荻生徂徠の古学に向けて、朱子学の体系性、連続性が解体し、自然の法則と道徳的規範、個人の徳と政治の区分、静的な性格から動的な性格への移行が進んだ。

2010-06-15 07:31:02
yagian @yagian

「日本政治思想史研究」の丸山眞男の議論は、非常にすっきりとした図式になっている。その意味で、理解しやすく、読んでいて気持ちがいい。しかし、本当にこんなにすっきりとした図式で思想が変遷しているのか、もっと曲折がないのか、やや疑問に感じる。

2010-06-15 07:32:53
yagian @yagian

「日本政治思想史研究」は、さすがに戦時中に書かれたものだから、いろいろ批判されているようだけれども、読んでいると非常に説得力がある。丸山眞男は地頭がいいと感心する。こんな人がうちの会社に一人ほしい。

2010-06-17 20:22:49
@akakageseven

@yagian 日本政治思想史という新しい分野をきりひらいた人ですからね。また表現力レトリックのちからが読ませますね

2010-06-17 20:26:18
yagian @yagian

読んでいて気持ちいいんですよねぇ。 RT @akakageseven 日本政治思想史という新しい分野をきりひらいた人ですからね。また表現力レトリックのちからが読ませますね

2010-06-17 22:30:07
yagian @yagian

「日本政治思想史研究」第一章第三節「徂徠学の特質」要約:朱子学は、自然の法則と人間の規範、個人の道徳と社会の秩序を「理」という概念で統一的に把握していた。荻生徂徠は、それを分解し、「道」の目的を「治天下」という政治的な側面に限定した。

2010-06-18 05:28:05
yagian @yagian

続き:このことにより、独立した領域として政治を検討することができるようになり、これに対して、私的な領域は朱子学的なリゴリズムから解放され、文芸が繁栄することとなった。このような思想の背景には、商品経済の浸透による封建社会の変動がある。

2010-06-18 05:30:10
yagian @yagian

続き:社会的変動が起こりつつある状況において政治的思惟が現れる。徂徠学ではそのような状況に置かれることにより儒教を「政治化」した。荻生徂徠は、徳川封建時代が生んだ最初の偉大なる「危機の思想家」であった。

2010-06-18 05:33:45
yagian @yagian

「江戸後期の思想空間」を書いた前田勉は、商品経済の浸透によって、勧善懲悪の観点からは不条理に見える社会変動を理解し、受け入れるため、本居宣長は「神」を信仰していたという。江戸時代の社会変動が荻生徂徠の思想の背景になっているという丸山眞男の所説の影響を感じる。

2010-06-18 05:42:56
yagian @yagian

小林秀雄「本居宣長」を読むのは難儀したけれど、「日本思想史研究」はさくさく読めている。東京大学出版会から出版されているから版権の問題があるのかもしれないけれど、どこかの学芸文庫に収録されてもよいと思う。

2010-06-18 05:59:50
yagian @yagian

荻生徂徠と本居宣長の類似点を原典にあたって比較してみました。引用が少々読みにくいかもしれませんが。 http://bit.ly/bKXv7x

2010-06-18 06:59:06