2010年1月10日

双子のそれぞれの恋の行方 【clum】

岡本樹と岡本玲/並列独白 96.梅雨/ 21 tweets × 2 人分 「双子のそれぞれの恋の話」http://togetter.com/li/2946 の続編にあたる #twnovel 。 中3の梅雨。始まる恋と終わる恋。
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@clum_memo

上が、中2の夏の話。以降、玲と双子だと公言するようになったこと以外は、相変わらずの日々だった。オレと玲は仲のいい双子で、オレと折館は親友。折館と佐野立夏はただの幼馴染み。玲と折館は…なんと、未だ親しい友人という関係のままだった。そして迎えた中3のある日のこと。 #twnovel

2010-01-10 11:47:02
@clum_memo

学3年生になって、数ヶ月が経った頃。樹が大変なことになりました。夜遅く、胸が痛いと暴れ出し、救急車で運ばれたのです。樹は、兄は昔から身体が強くなくて病院にはよくお世話になってたけど、入院は確かこれが初めて。脂汗をかきながら苦しむ樹を見ているのはとても辛い…。 #twnovel

2010-01-10 11:48:12
@clum_memo

学生になってから胸が痛いと思うことはよくあったが、まさか本当に穴が空いていたとは。さしものオレも、驚いた。痛みが引くまでは驚く間もなかったけれど。ストレスで胃液の分泌が減少し、胃酸が胃壁を傷つけているんだそうだ。そりゃ痛いわけだ。胃潰瘍。病名を宣告された。 #twnovel

2010-01-10 13:08:30
@clum_memo

潰瘍になるのは、ストレスが原因だそうです。ストレス? 友人関係…は、樹は案外人見知りするから友達は少ない。でも仲がいい人は何人もいるし。いじめ…られてるようには見えないし。恋愛関係…は、関係無さそうだし。家族関係…は、全員仲よしだし。人間関係じゃないのかな。 #twnovel

2010-01-10 13:09:29
@clum_memo

トレスが原因。ストレス? ストレスとは、精神緊張・心労・苦痛・寒冷・感染などごく普通にみられる刺激(ストレッサー)が原因で引き起こされる生体機能の変化。身体が何かに対して必ず答えを出そうとして起こす反応、だったか。ストレッサーは、まぁ、明白だよなぁ。 #twnovel

2010-01-10 13:37:15
@clum_memo

習面…は、学年トップで不満があるなんて言ったら許しません。生活面…は、昔はともかく、今はお父さんの仕事も軌道に乗ってるし、自分の部屋ももらってるし、不自由はないはず。身体面…は、うーん、背が伸びないことと体重増えないこととか、本当は気にしてるのかな。 #twnovel

2010-01-10 13:39:07
@clum_memo

は、玲(と折館)のことだけではない。進路のことで担任と少しもめているのだ。まぁ、前者ほどの悩みじゃないんだけど。重なったからかな。重くのしかかってきたのかもしれない。オレの胃袋に。でも、入院も悪くない。玲が毎日心配そうな顔で身の周りのことをしに来てくれるから。 #twnovel

2010-01-10 17:05:36
@clum_memo

の近くの病院でよかった。こうして毎日会いに行けるから。下着やパジャマの着替え、本に雑誌。意外と持って行くものは多いし。両親は仕事があるから、わたしが何とかしなくっちゃ。折館くんも心配してくれて、今日は一緒に来てくれることになりました。心強いな。樹も喜ぶよね。 #twnovel

2010-01-10 17:07:32
@clum_memo

直、折館と一緒には来て欲しくない。一日一日、ゆっくりだけど確実に近付いていくふたりの距離、というのを間近で見ていることが、胃の痛みを加速させる。オレの入院は、ふたりのデートの口実なのか⁉ …ダメだ。オレ、弱ってるんだな。胸に空いた穴はしばらく塞がりそうにない。 #twnovel

2010-01-10 17:56:46
@clum_memo

のお見舞いに行ったあと、折館くんが沈んだ顔をしているのが、少し気になりました。沈んでるというか、考え事をしてるというか…。もしかして、わたしもそんな顔してるのかな。だって、心配だもの。樹は、大事なことは何も言わずに全部自分で抱えたまま生きてるところがあるから。 #twnovel

2010-01-10 17:57:09
@clum_memo

が朝から降ったその日、折館がひとりで訪ねて来た。「…樹」なんだ? そんな顔して。さては玲と何かあったな? それに答えるように「俺、ちゃんと玲に告白する」…え? あぁ、そうか。やっとその気になったのか。よかったな。「本当に、いいんだな? お前は、それで」…! #twnovel

2010-01-10 19:28:59
@clum_memo

日は朝から雨。折館くんは今日は一緒に行かないって言った。用事でもできたのかな? 雨が小雨になってからいこうと思ってたけど、今はどしゃ降り。雨は嫌いじゃないけど、こういう雨は苦手。落ち着かない。何かが流されてなくなってしまいそうで。 #twnovel

2010-01-10 19:29:23
@clum_memo

は玲の苦手な土砂降り。その音にかき消されないように、折館ははっきり言った。お前は? なんでそこでオレ? それはお前たちふたりの話で…「玲のこと、好きなんだろ」は? それは、一年前に作戦のために吐いたただの嘘で「嘘じゃ、ないんだろ」外はオレの苦手な土砂降り。 #twnovel

2010-01-10 21:08:15
@clum_memo

が弱くならないので、覚悟を決めて傘をさして外に出る。家の前の通りはちょっとした川みたいに雨水が流れていた。うー…ん、なんだか樹のとこに行くの、邪魔されてるみたい。空を見上げてにらむ。樹、病室でひとりぼっちじゃないといいけど。あれでも寂しがり屋さんだから。 #twnovel

2010-01-10 21:11:01
@clum_memo

んで、鈍いお前に気付かれなきゃいけないんだ。…いつから? 「一年前から違和感はあった」最初からか。オレの演技力も大したことないな。玲ならだませるのに。「ごめん」お前が謝ることじゃないよ。赦されないのはオレの方。兄が妹をそんな目で見てたなんて、気持ち悪いだろ。 #twnovel

2010-01-12 16:33:31
@clum_memo

アを開けたまま玄関に腰掛けて、ぼんやりと外を眺める。庭も水溜りみたいになってる。小さい頃のこんなどしゃ降りの日を思い出して笑う。わたしも樹も泣いたの。植えたばかりの花の種が流れちゃうって。でも樹はすぐに泣き止んで、雨水と泥にまみれながら、花の種を拾い集めてた。 #twnovel

2010-01-12 16:33:55
@clum_memo

れは、よくわからない」折館が即答した。「兄妹がどういうものか、俺にはわからないから」そうか。そうだな。気持ち悪いと言われなかったことに安堵する。でも」折館が続ける。「玲を好きな気持ちはわかると思う」…そうか。一年以上かけて、やっとそこまで辿り着いたのか。 #twnovel

2010-01-12 17:51:56
@clum_memo

の花の名前、何だったかなぁ。あの翌日、樹は熱を出してお父さんに叱られた。必死で拾い集めた種はほんの少ししかなくて、植え直したけど芽は出なかった。樹はわたしに謝った。謝らなくていいのに。樹の一生懸命な姿だけで十分だったのに。あの花の名前が、思い出せない。 #twnovel

2010-01-12 17:56:33
@clum_memo

うだよ。血が繋がってないとか、そんな都合のいい話なんてあるもんか。一緒に生まれたんだ、玲とふたりで。生まれる前からずっと一緒で、先に外に出た玲のあとを追うようにオレも生まれた。それをなかったことになんてされたくない。オレが愛してるのは、双子の妹の、玲だ。 #twnovel

2010-01-13 17:25:49
@clum_memo

のとき、全部の種から芽が出るわけではないことを、お母さんから教わった。蒔いてもそのまま、土の中から芽を出せない種もあるの。種の中が空っぽなわけじゃないけどね。だから考えてしまった。芽が出ないその種の生まれてきた意味はあるのかなって。育てる意味はないのかなって。 #twnovel

2010-01-13 17:31:19
@clum_memo

の内を明け透けに話してしまったオレより、話を聞いていた折館の方が辛気くさい顔をしている。何か言い出すんじゃないかと、内心焦った(期待した)が、折館はそのあとは何も言わなかった。こんなことを話したせいなのか何なのか、ただ、今は玲に会いたかった。会いたいだけだった #twnovel

2010-01-13 23:49:09
@clum_memo

んだか落ち着かない。早く樹に会いに行かないといけない気がする。もしかして、今、痛がってたりするのかな。双子だからって相手のことが伝わってくるなんて、いつもはそんなにないんだけど。どしゃ降りの雨の中、なんとか傘をさして家を出る。樹にあの花の名前も訊いてみよう。 #twnovel

2010-01-13 23:56:08
@clum_memo

日、小雨の降る中、二人が病院にやってきた。玲はいつも通り。必要以上にオレの身体を心配しては、身の回りのことまで甲斐甲斐しく世話してくれる。折館は様子がおかしい。オレから露骨に目をそらす。後ろ髪を引かれる思いで、オレは検査のためにふたりの残る病室を後にした。 #twnovel

2010-01-14 17:19:00
@clum_memo

の着替えを片付けながら話していると、折館くんの返事が途切れた。個人病室の窓際。外側が雨で濡れて冷たくなったガラスに、背中がぶつかる。そっと、伸ばされた手が頬に触れて、引き寄せられる。視界が、一瞬奪われる。 ふたりの隙間から、彼の吐息と言葉が漏れる。「…ごめん」#twnovel

2010-01-14 17:24:01
@clum_memo

日の恥ずかしい「告白」を思う。これがカミングアウトというやつか。一番信用している人間に一番嫌な形で、一番知られたくないことを話した。一番理解を示してくれる人間でもあったことが唯一の救いだ。なんだかそれに気を取られて大事なことを忘れてる気がしてならない。 #twnovel

2010-01-14 20:04:56
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