山本七平botまとめ/『ニセ物に固執する精神』~憲法改正がタブー視される理由とは~

山本七平と岸田秀の対談集:『日本人と「日本病」について』より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①【山本七平:以下[山本]】…憲法というのは、主権である国民と政府との間の一種の授権契約ですよね。…そういう発想が、憲法という言葉を口にする時、皆にあるかどうかという事になると…。 【岸田秀:以下[岸田]】それがないんだな。<岸田秀との対談集『日本人と「日本病」について』より

2012-05-02 08:26:22
山本七平bot @yamamoto7hei

②【山本】ないでしょうね。 【岸田】これも精神分析の例に引きつけていいますと本当に本人の行動を決定している動機を本人が知らない場合があるでしょう。そういう場合意識的には別の理由を持っているもんです。人間というのは自分の行動を説明しないといけないから、いわばニセの説明を持ってくる

2012-05-02 08:56:26
山本七平bot @yamamoto7hei

③【岸田】日本の場合の法律とか、憲法とかを考える時、ぼくはいつもそういう神経症患者のニセの説明を思い出すんですがね。法律の条文で行動してないんだけれども、説明を求められるとそれをやるわけです。

2012-05-02 09:26:21
山本七平bot @yamamoto7hei

④【山本】同時に #憲法改正 絶対反対なんていう場合、その反対の理由がどこにあるかという説明は、だいぶニセの説明ですね。精神分析からいったら、その反対の理由というのはおもしろいんじゃないですか。契約を変えちゃいけないしかし、実際に履行しなくてもよろしい

2012-05-02 09:56:26
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤【岸田】日本人にとって、なぜ #憲法改正 はタブーなんでしょうかね。【山本】これはもう精神分析の問題ですな。【岸田】精神分析から言えば、それを変えることがタブーであるという、その事が、ニセ物である証拠なんですよ。

2012-05-02 10:26:15
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥【岸田】神経症の患者の場合、意識的には偽りの理由を持っているので、その理由に断固として固執するんですね。つまり、ニセ物であるがゆえに、変えられないんです。また、現実にそれを守り、それにもとづいて行動しなくてもいいんですから、変える必要もないわけです。

2012-05-02 10:56:18
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦【山本】なるほど、なるほど。そうすると #日本国憲法 はニセ物。【岸田】ニセ物という意味は、憲法が理念や原理として間違っているとかいないとかいう事ではなくて、日本人の行動を決定している本当の法じゃないという事です。【山本】その意味じゃ確かにそうだ…。

2012-05-02 11:26:29
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧【岸田】そうです。固執するのは、いわば強迫観念と同じで、ニセ物でなければ固執する必要はないんですから。 【山本】現実として #日本国憲法機能していないがゆえに、逆に固執するということですね。

2012-05-02 11:56:48
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨【岸田】そういう事は、神経症とか精神病のような極端な例を持ってこなくても、日常の普通の人間の行動を見ればわかる事で、例えば、恋愛関係においても、どれほど好きな女でも、嫌なところがあるし、常に一緒にいたいわけじゃなく、あっちへ行ってほしいと思う時がある。

2012-05-02 12:26:18
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩【岸田】その愛情が本物だと、嫌な時は嫌だとはっきり言えるわけです。お前のここが嫌いだとはっきり言えるわけです。ところが、本当は愛していないにもかかわらず、愛を偽った場合には、嫌な時も嫌と言えなくなります。愛情表現にフレクシビリティがなくなるわけです。

2012-05-02 12:56:15
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪【岸田】愛しているという事に非常に固執し、常に愛情を証明しようとする。誰かに「彼女のこれこれの欠点が気に入らないんじゃないか」とでも言われようものなら、ヒステリックに否定し、彼女の絶対性を強調する。日本の憲法を絶対化しているのも、全く同じ事で本当は尊重していないからですよ。

2012-05-02 13:26:21