「100mSv以下は安全」説はいつから語られはじめるのか?―JCO臨界事故報道を見直す:『読売新聞』

 3.11以後、日本では「100mSv以下にはリスクがない」あるいは「100mSv以下はリスクが観察できない」とし防護や安全対策を軽視ないし無視する説が広がりました(注1)。  なぜこうした説がひろまったのでしょうか。そもそも、この説はいったいいつごろから存在したのでしょうか。そのことを考えるために、JCO事故時の報道をふりかえってみることにしました。  「100mSv以下はリスクはない」や「100mSv以下ではリスクは観察できない」と語るひとは「この説は通説」だといいます。ほんとうにそうなのでしょうか。今回は、さしあたってまずは『読売新聞』の1999年10月から2000年2月までの記事を見ていくことにしました。 続きを読む
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dabitur @dabitur

「100mSv以下は安全」説を探して。/ 『読売新聞』1999.10.02「東海村のJCO臨界事故 放射線量は低下へ」「周辺の放射線量は*1日早朝になって、住民が避難している350メートル圏内の一部でも、検出下限値よりも低く、実質ゼロの地点が出てくるなど、沈静化の方向に」

2012-05-03 00:08:10
dabitur @dabitur

これか!?/「ジ社が最初の測定を行った三十日午前十一時半過ぎには、最高値だった現場西側の敷地境界で、一時間当たり八百四十マイクロ・シーベルトを記録した。しかし、一日朝六時半ごろには、この場所さえ三・八マイクロ・シーベルトと、普通に生活して問題ないレベルまで低下」(ibid.)

2012-05-03 00:08:33
dabitur @dabitur

(まあ、「100mSv以内は安全」とは言っていないわけですがね...

2012-05-03 00:10:10
dabitur @dabitur

「100mSv以下は安全」説をさがして。/ 『読売新聞』1999.10.06「東海村の臨界事故 事故直後、中性子線を2キロ先で検出」―「現場から約二キロ離れた同県那珂町の日本原子力研究所那珂研究所で、事故に伴って発生したとみられる中性子線を観測していたことが六日、分かった」

2012-05-03 00:15:10
dabitur @dabitur

「研究所によると、敷地内に二か所ある放射線モニターのうちの一か所で、事故発生から二分後の九月三十日午前十時三十七分、毎時〇・二六マイクロ・シーベルトの中性子線を検出*通常の値の十―百倍だったが、すぐに通常値に戻った。同研究所では、「ごく低いレベルで、人体への影響はない」としている

2012-05-03 00:15:53
dabitur @dabitur

「100mSv以下は安全」説を探して。/ 『読売新聞』1999.10.07「東海村の臨界事故 科技庁が「レベル5」に格上げへ 「スリーマイル島」並み」 

2012-05-03 00:24:01
dabitur @dabitur

「茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の臨界事故で、科学技術庁は六日、これまで暫定的に「レベル4」(施設外への大きな危険を伴わない事故)としていた原子力事故国際評価尺度を、「レベル5」(施設外への大きな危険を伴う事故)に一段階上げる方針を固めた」

2012-05-03 00:24:23
dabitur @dabitur

「同庁は事故翌日の一日、放射性物質の外部放出や従業員の大量被ばくなどから「4」としていたが、原子炉等規制法に違反した作業手順書の存在や、作業員がその手順書にもない作業をするなど、組織的違法行為を重ね、安全管理を軽視していた点を重視し評価見直しとなった」

2012-05-03 00:24:49
dabitur @dabitur

「国際評価尺度はIAEAなどが定め、わが国も九二年から導入。原子力施設の事故と故障について、施設内外への影響や防護施設の劣化などを基準に、最悪の「レベル7」から安全上問題のないトラブルである「レベル0」までの八段階に分類する」

2012-05-03 00:25:15
dabitur @dabitur

「さらに、安全意識の低さを示す「安全文化の欠如」の評価も加味され、それが認められた場合はランクが上げられる。同庁は「安全性無視の犯罪的行為が従業員だけでなく、付近住民まで被ばくさせるなど、市民生活に被害を与え、安全意識の欠如は明確」と判断、一レベル格上げする方針を固めた」

2012-05-03 00:25:26
dabitur @dabitur

「100mSv以下は安全」説をさがして。/ 『読売新聞』1999.10.16「東海村臨界事故 被ばく、さらに20人 水抜き作業員ら 科技庁が報告◆限度量超す119ミリ・シーベルト」

2012-05-03 12:15:24
dabitur @dabitur

「茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の臨界事故で、先月三十日の事故当日の被ばく者は、当初発表されたより二十人多い六十九人だったことが十五日わかった」(ibid.)

2012-05-03 12:15:36
dabitur @dabitur

「同日開かれた原子力安全委員会のウラン加工工場臨界事故調査委員会(委員長・吉川弘之日本学術会議会長)で、科学技術庁が報告した。二十人は当時、事業所内にいた社員で、今後さらに増える可能性もあるという」(ibid.)

2012-05-03 12:16:00
dabitur @dabitur

「また同庁は、現場に突入し臨界状態を終息させる水抜き作業をした社員の中に、放射線障害防止法などで定める緊急時限度線量の一〇〇ミリ・シーベルトを超える一一九・七九ミリ・シーベルトの被ばく者がいたことも報告した」(ibid.)

2012-05-03 12:16:20
dabitur @dabitur

「100mSv」が緊急時の限度量だとは書いてあるので、それ以内だったら「容認できる perissible」リスク、低リスク、そして「安全」と読めないこともない。が、そうやってすごい深読みしないと読めないよね(笑 

2012-05-03 12:17:45
dabitur @dabitur

余談になるが、ICRPが注意している「限度量」を「それ以上浴びたら健康に影響がでる数値」だと解釈することは報道ではふつうに行われているね。こういうのが後に「JCOの事故報道では過剰に危険を煽る不正確な記事が多かった」みたいに批判されたのかしら。以下に一例を引用しておこう。

2012-05-03 12:21:41
dabitur @dabitur

『読売新聞』1999.10.21「東海村臨界事故 「過度の不安、不必要」 専門家が放射線データ解析=茨城」

2012-05-03 12:22:52
dabitur @dabitur

「◆健康への影響否定 *核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所での臨界事故で、現場から放出された放射線が周辺住民の健康を損なう可能性は低いことが、村内で調査にあたってきた専門家の報告から分かりはじめている。いずれも「過度に不安になる必要はない」と話している」

2012-05-03 12:23:24
dabitur @dabitur

「放射線防護学が専門の野口邦和・日大歯学部講師は臨界事故が起きた転換試験棟から二十五メートル―二キロの範囲の累積放射線量を求めるため、科技庁が公表した現場から五百メートル以内にある十三地点の放射線(ガンマ線と中性子線)データを解析し、推定値を得た」(ibid.)

2012-05-03 12:23:51
dabitur @dabitur

「その結果、四百メートル地点が一・〇八ミリシーベルトと、一般の成人が一年間に浴びても影響がないとされる放射線量の限度(一ミリシーベルト)をわずかに上回った程度。百五十メートル地点は、白血球減少といった急性障害の起こる二百五十ミリシーベルトの約十分の一」(ibid.)

2012-05-03 12:24:36
dabitur @dabitur

「一ミリシーベルトを超えたとみられる地区は発生から時間が経過するとともに拡大し、一時間後は一番遠くて二百二十メートルだったのが、五時間後には三百四十メートル、十時間後には三百八十メートルとなっている」(ibid.)

2012-05-03 12:24:54
dabitur @dabitur

「野口講師は「推定値からみて、周辺住民への健康への影響はほとんどないだろう。ただ放射能災害時の避難は時間との勝負ということが改めて分かった」と話している」(ibid.)

2012-05-03 12:26:11
dabitur @dabitur

誰がどう読んでも「100mSv以下は安全」なんて言っている記事じゃないよね。むしろ「1mSv以下は安全」ということを暗示している記事である。

2012-05-03 12:26:49
dabitur @dabitur

というか、多くの記事で公衆の被曝限度(1mSv)が明記されてることに感動するわ....

2012-05-03 12:29:42
dabitur @dabitur

「100mSv以下は安全」説を探して。 / 『読売新聞』1999.11.01「東海村のJCO臨界事故 被ばく量特定が焦点 人体への影響を調査」

2012-05-03 12:33:47
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