横溝正史関連雑文集成2

迷宮の扉、悪魔が来りて笛を吹く、迷路の花嫁などの読書録やドラマ・映画関係のつぶやき、尼崎の横溝酒場のことなど。
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カルヴァドス @cornelius0321

カリオストロと金田一シリーズの共通点。(1)どこからともなくやって来たルパンと金田一は、「謎を解く」という役割を与えられ、そしてまたどこかへ去っていくという点。(2)音楽が大野雄二。(3)時計台とか怪しげな婚礼とか、いわくつきの屋敷とか、ケレン味たっぷりの道具立て。

2012-03-30 23:10:26
カルヴァドス @cornelius0321

(4)別れの場面の爽やかさ。(5)ルパンを追いながらも実はルパンを認めている銭形と、最後には金田一に信頼を寄せる加藤武の警部。(6)「完」の文字で終わる。

2012-03-30 23:10:14
カルヴァドス @cornelius0321

薬で正気を失ったまま婚礼に臨むクラリスと、 薬で首が据わらないまま婚礼に臨む法眼由香里。

2012-03-30 22:36:21
カルヴァドス @cornelius0321

@mokugyo_note へー、犯人が違うんですか。死んだはずの佐兵衛が実は生きていて、天井裏から…ってことはないですね、さすがに。もしかして、初稿お持ちなんですか?

2012-03-30 03:15:50
カルヴァドス @cornelius0321

@mokugyo_note なるほど。でも、つのだ版で他の横溝「改変」コミック見たかったな。エクトプラズムを吐き出す妙海尼、恐怖新聞の配達アルバイトをする新宮一彦、やっぱりセクシー歌手になってる鬼頭家の三姉妹とか、実現していたら今なお語り継がれる「奇書」になっていたでしょう。

2012-03-30 03:08:19
カルヴァドス @cornelius0321

@mokugyo_note 映画の「犬神家の一族」の初稿はオカルト色が強かったので、市川監督がその部分を削って脚本を書き直したという話は聞いたことがあります。角川春樹は後年、天川神社に帰依したり、オカルト志向になりましたが、1976年頃の時点でその傾向が見られていたのでしょうか…

2012-03-30 02:54:22
カルヴァドス @cornelius0321

@mokugyo_note 富士見版の巻末には「獄門島」「病院坂」「悪魔が来りて笛を吹く」「本陣殺人事件」などの他の作品もコミックになるとの告知がありましたが、結局実現しませんでした。やはり、つのだじろうの作風や、みなみこうせつ風味の金田一だったからですかね?

2012-03-30 02:41:03
カルヴァドス @cornelius0321

①最近ブックオフで、結構状態のいいものを手に入れて片っ端から読んでいる。というわけで、『迷宮の扉』(角川文庫緑三〇四-80)再読。

2012-03-25 22:33:07
カルヴァドス @cornelius0321

②竜神館、海神館、双玉荘といういわくありげな屋敷、日奈児(ひなこ)、月奈児(つきなこ)という双子の兄弟、犬神家の一族にも似た遺産相続争い、猿蔵を思わせる虎若虎蔵など、おもしろい題材が揃っている。

2012-03-25 22:32:55
カルヴァドス @cornelius0321

③しかし、折角の題材が生かし切れていないように見える。終盤の謎解きに難がある。死んだとされる人物が実は生きていたというオチは、「片岡知恵蔵の『獄門島』か」とツッコミそうになる。

2012-03-25 22:32:41
カルヴァドス @cornelius0321

④日奈児と月奈児はシャム双生児として生まれたが、皮膚だけが癒着していたので、分離手術に成功し、その後は元気に暮らしているという設定だ。

2012-03-25 22:32:26
カルヴァドス @cornelius0321

⑤ところが、双子の父である東海林竜太郎の心理がわかりにくい。「自分の子供をかわいいとは思わないのか」という金田一の問いかけに対して、竜太郎は「ああいう子どもは生きていないほうがしあわせ」と言い放ち、「知能の遅れた子ども」だと思っている(p.194)。

2012-03-25 22:32:13
カルヴァドス @cornelius0321

⑥人権問題を扱った論文ではなく、ただの娯楽小説なのだから、竜太郎が結合双生児への差別や偏見を持つ人物であるという設定なら、それはそれで構わない。だったら、最初から日奈児と月奈児も、親の愛情を受けずに邪魔者にされているという設定にしておかなければ違和感がある。

2012-03-25 22:32:01
カルヴァドス @cornelius0321

⑦なぜなら、日奈児は「髪を左わけにして、半ズボンながらも、おとなのような背広を着て、ワイシャツにひもネクタイをしめているのがかわいい。色白の、いかにもりこうそうな少年」(p.17)であり、

2012-03-25 22:31:47
カルヴァドス @cornelius0321

⑧月奈児に関しては家庭教師の口から、成績優秀でスポーツもよくできる少年であることが語られている(pp.61~62)からである。つまり、どこをどう読んでも日奈児と月奈児は、利発な美少年という印象しか受けないのだ。

2012-03-25 22:31:32
カルヴァドス @cornelius0321

⑨中学生対象の雑誌に連載しているのだから、読者である中学生は、同世代の日奈児や月奈児に感情移入して読むだろう。それなのに、利発で可愛い二人の美少年が、父からみれば知能の遅れた厄介者にされているので、読者はおそらく戸惑ってしまうだろう。

2012-03-25 22:31:18
カルヴァドス @cornelius0321

⑩二つの家を建て、日奈児と月奈児を平等に扱い、遺言以前におそらく相当な財産を渡して降矢木夫妻に養育させているので、竜太郎がわが子を邪険にしていたとは思えない。

2012-03-25 22:31:03
カルヴァドス @cornelius0321

⑪この他にも、郷田啓三が持っていたトランプの謎が放置されているといった、未回収の伏線がある。2つに切り取られたこのトランプが、日奈児と月奈児の存在を暗示するものであることはわかる。

2012-03-25 22:30:47
カルヴァドス @cornelius0321

⑫でもそれは、作者が読者に与えるヒントにはなり得ても、この小説の中の人物たちに何かのヒントを与えるという機能は果たしていないのだ。

2012-03-25 22:30:33
カルヴァドス @cornelius0321

⑬やや難点が目立つが、擁護するとすれば、先日『迷路の花嫁』は昼のドラマに向いていると言ったが、『迷宮の扉』はゲームソフトに向いた素材であると思う。<この話題終わり>

2012-03-25 22:30:17
カルヴァドス @cornelius0321

①『迷路の花嫁』(角川文庫緑三〇四‐41)再読。これを推理小説といってよいかどうかは、読者の判断が分かれるかもしれない。事件の犯人や謎解きが中心テーマではなく、金田一も100ページあたりでようやく出てくるからだ。しかも、金田一が事件の調査を行うのも、申し訳程度しかない。

2012-03-24 01:44:04
カルヴァドス @cornelius0321

②この小説は、宇賀神薬子殺害事件が発端となって、建部多門と関係のある女たちの悲しい人生や、松原浩三、本堂千代吉らの活躍が絡んでくる。この中で、好色な霊媒師建部多門が、女たちに「霊的エマナチオン」を注入するという描写がある。

2012-03-24 01:39:38
カルヴァドス @cornelius0321

③このエマナチオン(emanation)がどんなものか調べてみたら、マグマによって放出された放射性物質で、ラドンの同位体らしい。昭和初期の日本では、放射線が健康に良いとの触れ込みで、エマナチオンの発生装置が販売されていたという。

2012-03-24 01:39:28
カルヴァドス @cornelius0321

④建部多門は、さしずめ「歩くラドン温泉」「リアルなマグマ大使」だろう。好色な霊媒師は、『女怪』の跡部通泰と似たキャラクターである。

2012-03-24 01:39:11
カルヴァドス @cornelius0321

⑤『迷路の花嫁』というタイトルの意味が分かるのは、180ページ以降の「迷路をいく花々」という部分だ。滝川恭子が上野駅の近くで、「温泉マークの入った旅館がずらりと軒をならべて迷路のような一画を形作っている」横町に向かって歩いていくという描写がある(p.183)。

2012-03-24 01:39:03
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