乾式貯蔵

飯泉仁さん ‏ @aquamasa のつぶやきまとめ
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飯泉 仁 @aquamasa

0)使用済み核燃料をどう始末するか。以下に中間貯蔵法としての「乾式貯蔵」の例を紹介する。全12篇。長くなるがお許しあれ。

2012-05-05 15:01:10
飯泉 仁 @aquamasa

1)原発問題は、今や脱原発にしても減原発にしても、使用済み核燃料(以下、SF、Spent fuel の略)をどう始末するかが大きな問題として残る。各原発でのSF貯蔵プールは満杯に近いし、福一4号機が問題を露呈したように水プール貯蔵は危険がいっぱいである。以下に乾式貯蔵を紹介する。

2012-05-05 15:01:43
飯泉 仁 @aquamasa

2)SF問題をもっとも現実的に考え提案しているのが、Frank von Hippel プリンストン大教授で、彼がこの難問の解として提案しているのは、乾式キャスクによる中間貯蔵である。→「核燃料サイクルを再考する」(日経サイエンス 08年10月号)

2012-05-05 15:01:51
飯泉 仁 @aquamasa

3)教授は、素粒子物理研究者から核物質管理問題の専門家に転じ、クリントン政権下で国家安全保障担当長官補佐を務め、また核物質に関する国際パネルのとりまとめ役として、この問題に関する報告書をまとめている(後述)。

2012-05-05 15:02:07
飯泉 仁 @aquamasa

4)乾式貯蔵についての基本的考えは、SFからの崩壊熱が炉からの取り出し後約十年経過すると、空気の自然循環で冷却できるレベルに達するということだ。核燃料からの発熱量はキログラムあたり、運転中は30kW、運転停止1週間後は100W、10年後は2Wとなることだ。

2012-05-05 15:02:49
飯泉 仁 @aquamasa

5)安全を見越して、水中で20年ほど貯蔵した後、写真のキャスクに移す。キャスク2基に百万キロワット原発の一年分のSFを収めることが出来、これを集中してでなく,各原発サイトに貯蔵することが経済的だとしている。 http://t.co/oU6CLPwW

2012-05-05 15:03:34
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飯泉 仁 @aquamasa

6)キャスクは下から空気を取り入れ、崩壊熱で温められた空気は上の排気口から出て行く。空気の対流による自然循環による冷却である。同様なSF冷却貯蔵をJAEAで研究炉のSFについて行った例がある。なお教授提案のキャスクにかかる経費は1基100万ドルである。

2012-05-05 15:04:00
飯泉 仁 @aquamasa

7)米国ではすでに実用化していて、写真はコネチカット州のYankee原発(廃炉済み)のもの。じつは日本でも六ヶ所村に建設する計画がある。vH教授は、一ヵ所に集めるより各原発に置くことを推奨している。日本では地元了解が得られるかが問題。 http://t.co/GQdy87UW

2012-05-05 15:05:49
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飯泉 仁 @aquamasa

8)キャスクがテロリストに襲撃されたら,という疑問はあるが、分厚いコンクリートにおおわれていて、対戦車砲で攻撃しても、SF破損は一部であり、飛散する放射性廃棄物は僅かであって攻撃の対象とはなりにくい。大規模水中貯蔵プールが爆撃されるほうがよほど怖い。

2012-05-05 15:06:07
飯泉 仁 @aquamasa

9)乾式貯蔵の意義は、核燃料サイクルを選択することなく、SFの最終処分問題の解決までの時間稼ぎができることである。百年は貯蔵可能である。その間に技術的・経済的状況が劇的に変化すれば,取り出して再処理または消滅処理などの解決策に転じることも可能である。

2012-05-05 15:06:25
飯泉 仁 @aquamasa

10)サイクルを行うとしても、高レベル廃棄物最終処分問題は変わらず存在し、特に国土が狭く地震の多発する日本では、地層処分は実現不可能だと私は考える。核兵器廃絶が実現するような時代状況になれば、処分問題も多国間で国際的解決ができるのではないかと考えている。

2012-05-05 15:06:44
飯泉 仁 @aquamasa

11)参照した論文:前記日経サイエンスのほか、Managing SF in the US.(2007) http://t.co/GmeHfrP8 、A nuclear waste solution(LATimes 09/9/15) http://t.co/dTDQi4ml

2012-05-05 15:07:01
飯泉 仁 @aquamasa

12)参照文献、もう一つ。Managing SF from Nuclear Power Reactors: Experience and Lessons from around the World. http://t.co/Jthg36xA

2012-05-05 15:07:17
飯泉 仁 @aquamasa

13)余談。物理の世界で von Hippel というともう一人有名なArthurがいる(MIT教授)。強誘電体など材料科学の分野で顕著な貢献をし,教科書も有名(お世話になった)。Frank が核管理で出てきたとき同一人かと思った。Arthurは2003年に105歳で亡くなった。

2012-05-05 15:08:17