有料メルマガがジャーナリスト()の墓標となってしまうのはなぜか
最近、有料メルマガを持つ「元ジャーナリスト(笑)」たちが叩かれている。ジャーナリストの有料メルマガは容易にカルト化するというのは、既に常識と言えるのではないか。言い方を変えれば、「有料メルマガ」を開始した時点でジャーナリスト生命は失われると言っても過言ではない。それはなぜか。
2012-05-04 20:05:35「有料メルマガ」の特性は下記の通り ・週1回程度の配信が必要 ・購読料をもらっているため無料メルマガやブログより定期配信の要求度が高い ・編集者のチェックがないか緩い ・有料購読者のみに配信され一般公開されない ・メールなどでダイレクトに反響が来る ・購読者数の増減がわかる
2012-05-04 20:06:34ある気鋭のジャーナリストが有料メルマガを始めたとする。最初はいいだろう。関心があることも、貯めていたアイデアもたくさんある。雑誌、本、有料メルマガ、発表の場はいくつあっても足りないくらいだ。
2012-05-04 20:06:54しばらくするとネタが枯渇してくる。そこで雑誌連載も有料メルマガもスッパリ切って、充電と取材に専念する時間を取れば、また「ジャーナリスト」として活躍することができるだろう。
2012-05-04 20:07:09しかし、なかなかそれはできない。ジャーナリストといえども霞を食って生きていくわけにはいかない。毎月の定期収入となる有料メルマガや雑誌連載をやめると、生活ができなくなってしまう。
2012-05-04 20:07:26そして、残り少ないネタのうち、いいものは雑誌や本に回さざるをえない。なぜなら、そういう媒体には編集者がいて、質が落ちた場合には書き直させられたり連載打ち切りになるからだ。したがって、メルマガの記事に真っ先にしわ寄せが行く。そして記事の質が落ちた結果、購読者数が減る。
2012-05-04 20:08:14対策として考えられるのは下記の6点だ 1.身辺雑記を配信する 2.自分より有名な政治家やタレントにケンカを売って話題を作る 3.どーでもいいニュースを、さも極秘情報のように配信する 4.過去の記事を使い回す 5.他人の著作をパクる 6.未確認情報を流す→話を盛る→話を捏造する
2012-05-04 20:08:451.「ジャーナリズム」とは無縁の身辺雑記を配信する:今日食べた物とか、近所でこんな花を見つけたとか、要するにエッセイを書き始める。すると、取材をしたり裏を取ったりして苦労して原稿を書かなくても、身辺雑記だけで月に○○万円になるという「おいしさ」を味わってしまう。
2012-05-04 20:09:18そうなるともう、きちんとした取材に基づく記事を書けなくなる。そして、「ジャーナリスト○○の有料メルマガ」を期待していた読者が離れていく。このルートでは「小説を書く」とか言い出したら末期症状だ。
2012-05-04 20:09:412.自分より有名な政治家やタレントを相手にケンカを売って話題を作る:「事実」を配信しようという意思がある分まだマシ。しかし、これが通用する相手もそれほど多くないし、炎上マーケティングが何回も通用するほど世の中は甘くない。
2012-05-04 20:10:013.どーでもいいニュースを、さも極秘情報のように配信する:例えば、情報公開制度で誰でも見られる行政資料を「大スクープだ」という体で流す。この方式の利点は、簡単に行数を稼げること。「私の独自調査でこのような事実がわかった」と一言書いたあと延々引用すれば、メルマガ1本一丁あがりだ。
2012-05-04 20:10:564.過去の記事を使い回す:1回や2回なら読者も笑って許してくれるかもしれないが、何回もやるとテキメンに読者数が減少していく。
2012-05-04 20:11:135.他人の著作をパクる:絶対にやってはいけないことだが、有料メルマガというクローズドな空間ではバレにくい。あるいは、単純なパクリではなく「興味深い本の紹介」と称して、他人の本からの引用30行に対して1行コメントを添えればOK。
2012-05-04 20:11:546.未確認情報を流す→話を盛る→話を捏造する:これに手を染めるともう終わり。しかも、この3つは違うようでいてほとんど境目がないから、未確認情報を流し始めたらもう捏造開始まで一直線だ。そして、有料メルマガを始めた「ジャーナリスト」はほぼ必ずと言っていいほどここまで堕ちる。
2012-05-04 20:13:09ここで、有料メルマガの特徴の一つ、「有料購読者以外には公開されない」というのが効いてくる。「Aって、実はBなんだぜ!」と、当てずっぽうで書く。たまたまそれが当たれば、読者=信者は「やっぱり○○さん独自の情報源はすごい」と勝手に納得してくれる。
2012-05-04 20:13:32逆に、当たらなかった場合には、そういう予言を「なかったこと」にするか、あるいは「政府と大マスコミは国民を騙している。実はやっぱりAはBなんだよ!」と有料メルマガの中だけで叫べばよい。そうすれば、読者=信者は勝手に信じてくれる。
2012-05-04 20:13:471~6のいずれかの手法、あるいはその複合でメルマガの記事の質が落ちると、読者の「純化」が始まる。要するに、まともな読者が購読をやめて「信者」しかメルマガを読まなくなる。
2012-05-04 20:14:43そしてそういう「純化」は、何を言っても「○○さんはすごい」とほめてもらえるようになるという、ある意味では魅力的な副産物もついてくる。読者数が落ちたことを、「今の俺についてこられない、レベルが低い奴が脱落しただけ」と考えるようになる。裸の王様一直線だ。
2012-05-04 20:15:23最終的には、残り少なくなったメルマガ読者=信者から、いかにして搾り取るかだけを考えるようになる。日垣隆氏の「クレド」(会費10万円)なんかは典型的。そこまで行かなくても、メルマガ読者を対象とした講演会を高値で始めるようになったら末期である。
2012-05-04 20:16:02いったんそのような有料メルマガのぬるま湯につかってしまうと、いつしか表の世界=公開の場で同じような捏造やパクリに手を染めて批判を浴び、炎上する。そのあげくに、「Twitterこわい」と、さらに有料メルマガ依存に陥っていく。そのなれの果てが日垣隆であり、上杉隆だ。
2012-05-04 20:17:05有料メルマガって完璧な自己責任の世界で、最もぬるま湯とは無縁だと思いますけど…新聞や雑誌は他人のせいにできるけど、メルマガは他人のせいにはできませんよ RT @moritatsu: 有料メルマガのぬるま湯につかってしまうと…
2012-05-04 20:24:17@quine10 本来はそのような厳しい自己責任の世界であるべき有料メルマガがなぜぬるま湯と化し、ジャーナリストの生命まで奪ってしまうかを書いたつもりです。他のツイートも読んでください。完全公開の無料メルマガであれば、おっしゃるような自己責任のメディアたりうると思います。
2012-05-04 20:29:23