飯舘村と川俣町の住民15人の外部被ばく・内部被ばく調査 鎌田七男・広島大名誉教授ら

2011年6月24日に報道された被ばく調査の論文が出版されたので御紹介。よくよく調べ直してみたら、すごく貴重な調査だった気がしてきました。 報道 http://bit.ly/IUhWa9 (2011/6/24) 論文 http://bit.ly/IUhWa7 (有料.投稿2011/7/15,再投稿2012/1/20,公表2012/3/16) 調査対象: 飯舘村と川俣町の大人11人,子供4人 続きを読む
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Masato Ida, PhD @miakiza20100906

1/8》 論文(有料): 飯舘村と川俣町の住民15人の被ばく調査 http://t.co/ybkHAcIO 去年5-6月のこの調査の件→ http://t.co/LCRTcqc6 居住地の空間線量率と尿中のヨウ素・セシウム濃度から被ばく量を推定。鎌田七男 広島大名誉教授らによる。

2012-05-07 20:51:20
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

2/8》 外部被ばく量の評価では、モニタリングポストの測定値に加え、被験者の自宅外での線量率測定値を使用。木造家屋・コンクリート住宅・車内での遮蔽係数も測定により決定。さらに、被験者各自からの聞き取りにより、屋外・屋内・車内の滞在時間を設定。

2012-05-07 20:52:23
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

3/8》 1度目の検査で5人の尿のみからI131が検出されたことから、体内への放射性物質の取り込みは、汚染された飲食物を通じての経口摂取によるものと推定。主な取り込みは、食品の出荷制限が始まる3月20日にあったと仮定。(※出荷制限→ http://t.co/svKoVdPH

2012-05-07 20:55:11
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

4/8》 同じ15人に2度の尿検査(5/5,5/30-6/5)を行い、2度とも全員からCsを検出。 I131は1度目の検査で5人から検出されたが、2度目の検査では全員NDだった。

2012-05-07 20:56:05
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

5/8》 推定被ばく量の最大値(大人,子供 [mSv])は、 外部被ばく(事故後54日間) 11.2,5.6、 内部被ばく(Cs134+137 預託実効線量) 0.110,0.037、 内部被ばく(I131 甲状腺等価線量) 66,44。

2012-05-07 20:57:32
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

6/8》 外部被ばくの評価には高さ1mでの空間線量率を用いたが、高さ50cmでは30%ほど上昇する。また、子供は大人の3倍ほど放射線に敏感であることが知られている。これらを考慮すると、子供の外部被ばく量の最大値は22mSv程度になりうる(※5.6×1.3×3 = 約22 ?)。

2012-05-07 20:59:36
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

7/8》 うむ。 この記事 http://t.co/LCRTcqc6 と論文 http://t.co/ybkHAcIO を見比べると、I131が検出された人数が違う。記事だと6人、論文では5人。その他の数字は合ってると思う。

2012-05-07 21:00:26
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

7/8'》 これ https://t.co/mjglmZ9Z に一つ書き忘れ。Csによる内部被ばく量の最大値も記事(0.085mSv)と論文(0.110mSv)で違う。記事の公表日 6/24 から論文の再投稿日 1/20 の間のどこかで計算間違いを修正?

2012-05-08 08:55:05
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

8/8》 それから、ヨウ素による被ばく量の最大値は、記事では(きっと)実効線量で3.2mSv、論文では甲状腺等価線量で66mSv。ということは、組織荷重係数は1990年勧告の0.05にしてるのかな?

2012-05-07 21:03:50
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

↓ この調査の詳細なプレス、どこかに出てたかしら? …しかしだ、最近、自分の専門の論文を読んでる時間より、被ばく&フォールアウトの論文を読んでる時間の方が長い希ガス

2012-05-07 21:07:34
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

Kamadaほか,Radiation doses among residents living 37 km northwest of the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant http://t.co/ybkHAcIO 念のため原題もメモ

2012-05-07 21:29:36

論文出版後に公表された関連記事 》

Masato Ida, PhD @miakiza20100906

フクシマ“考”:1年の教訓/3 広島原爆被爆者援護事業団・鎌田七男理事長(毎日新聞 2012/4/26 地方版) http://t.co/IofcIrIE http://t.co/KAdvQ2OW 避難区域で線量と生活調査 内部被ばくの証拠提示―鎌田七男理事長(75)=血液内科学

2012-05-08 12:18:58
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

引用》 記者:「昨年、計画的避難区域に指定された福島県飯舘村と川俣町に行かれました。調査の結果と評価を。」

2012-05-08 12:20:15
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

引用》 当時4~77歳の15人に、何を食べたかや、事故後にどのような建物で過ごしたかなどを聞き取りし、尿を測定した。事故後54日までの外部被ばくの積算線量の平均は、大人が8.4ミリシーベルト、子どもが5.1ミリシーベルト。

2012-05-08 12:21:13
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

引用》 尿から放射性ヨウ素が検出されたのは5人、キノコや自家製野菜を食べた人だ。呼吸を通して空気中から取り込んだなら全員から出るはずだから、特に食べ物から入ったと言える。セシウムは微量だが全員から検出された。

2012-05-08 12:21:52
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

引用》 英語論文( http://t.co/ybkHAcIO )が専門雑誌に載り、内部被ばくの証拠を提示することができた。住民にただ「安全ですよ」「測定下限だった」と伝えるのは全く安心材料にならない。単に「異常ありません」と言うのでなく、15人には外部や内部の被ばく線量を伝えた。

2012-05-08 12:22:56
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

引用》 記者:「『広島の知見』は実際に生かせたか。」

2012-05-08 12:23:50
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

引用》 個人の被ばく線量の推定、手帳の付与、健康診断、最後に疫学的研究という四つのステップを踏まなければならないという方法論を教えることは可能だ。ただ、広島で起きたことが役立ったかというと、低線量レベルの放射線被ばくの研究がなされていないから、それは何らアドバイスできていない。

2012-05-08 12:24:32
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

最近のこの記事では、各数値は論文と同じ。 「呼吸を通して空気中から取り込んだなら全員から出るはずだから、特に食べ物から入ったと言える」については各所から異論が出そうだけれど、鎌田さんは今でもこう解釈していると。

2012-05-08 12:27:27

 
詳細情報 》

■ いち早く公表された尿検査結果?
 原発事故後の早期に公表された尿検査結果を記憶の限り列挙してみると:

 6月24日 鎌田名誉教授らが15人調査の結果を公表
 6月30日 FoE Japan、グリーンピース・ジャパンらが10人調査の結果を公表
   http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/pr20110630/
 7月24日 福島県が県民健康管理調査109人分の結果を公表
   http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/230724shiryou.pdf

結果を最も早く公にしたのは鎌田さん達のグループだった?
 さらに、これら3件の内、I131 を捉えたのは鎌田さん達の調査のみ。実は相当に貴重な調査結果だったのかも。

■ その他の主な内部被ばく調査
 5月12日~翌年2月21日 原子力安全委員会が福島県の小児1080人の調査結果を公表
   http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/anzen/shidai/genan2011/genan031/siryo4-3.pdf
   http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/ad/pdf/hyouka.pdf
   http://www.asahi.com/special/10005/TKY201202210684.html
   甲状腺のI131被ばくが対象。シンチレーションサーベイメータによる。
 5月16日 寺坂信昭・保安院長が、福島に立ち寄った原発作業員の調査結果について発言(06:02~)
   http://www.youtube.com/watch?v=QugKuSIvJ_w
   http://kuromacyo.livedoor.biz/archives/1521704.html
   ホールボディカウンターによる。7月5日の政府・東電合同会見で、
    「甲状腺にヨウ素が溜まっているのが特徴的に見えております(東電・松本氏)」
   の発言あり http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/pdf/godokaiken_110705.pdf
 6月5日 長崎大が福島県への派遣者173人の調査結果を公表
   http://kodomo-kenkou.com/shinsai/info/show/961
   http://www.ncc.go.jp/jp/shinsai/pdf/20110622_slide_08.pdf
   I131とCs137。ホールボディカウンターによる。
 2012年3月9日(!!) 床次眞司・弘前大教授らが福島県東部住民65人の調査結果を公表
   http://www.asahi.com/national/update/0309/TKY201203090004.html
   甲状腺のI131被ばくが対象。シンチレーションスペクトロメータによる。

これら4件の調査では、いずれもI131が検出されている。
 

鎌田名誉教授らの調査結果の詳細 》

■ 外部被ばく量(事故後54日間の累積実効線量)の推定値[mSv]
 大人 6.6~11.2 平均 8.4
 子供 3.9~5.6 平均 5.1

■ 尿検査での検出濃度[Bq/L]
 I131  1度目 ND~1.80, 2度目 ND (検出下限は 0.33)
 Cs134 1度目 0.32~9.14, 2度目 0.24~9.44
 Cs137 1度目 0.13~7.17, 2度目 0.45~7.18

■ I131 による甲状腺等価線量の推定値[mSv]
 大人 27~66 平均 50 (検出のあった4人分)
 子供 44 平均 44 (検出は1人)

■ Cs134+137 による預託実効線量の推定値[mSv]
 大人 0.018~0.110 平均 0.055
 子供 0.007~0.037 平均 0.029

■ 「高さ50cmでは30%ほど上昇」の根拠資料について
 論文中で引用されているのは
 Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT), 2011b.
   http://www.pref.fukushima.jp/j/schoolmonitamatome.pdf (accessed 01.07.11.)
しかし、この資料には高さ50cmでの測定値は示されていない。誤引用?
 高さ50cmと1mの測定値を比較した資料は、例えば:
 福島県環境放射線モニタリング・学校等調査結果について
   http://www.pref.fukushima.jp/j/monitaring.school0707.pdf
 福島県内における学校等のモニタリング結果等について
   http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/anzen/shidai/genan2011/genan055/siryo3.pdf の別添1や6

■ 「子供は大人の3倍ほど放射線に敏感」の根拠論文
 D. L. Prestonら, Studies of Mortality of Atomic Bomb Survivors. Report 13: Solid Cancer and Noncancer Disease Mortality: 1950-1997, Radiat. Res. 160, 381-407 (2003)
   http://www.rrjournal.org/doi/abs/10.1667/RR3049?journalCode=rare
 ただし、この論文で扱われているのは「原爆による瞬時被ばく」の影響。そのため、著者らは「子供の外部被ばく量の最大値は22mSv…」の前に「線量率効果(もし有るとするならば)を無視すると」と補足している。

■ 福島での「疫学的研究」計画
 計画案が既に論文として公表されている:
 S. Akiba, Epidemiological studies of Fukushima residents exposed to ionising radiation from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant prefecture - a preliminary review of current plans, J. Radiol. Prot. 32, 1-10 (2012)
   http://iopscience.iop.org/0952-4746/32/1/1/
 みーさんと読む「福島県民の被ばくに関する疫学調査計画(秋葉澄伯 鹿児島大)」
   http://togetter.com/li/264724