2012年5月9日

ミイラ男とツタンカーメンの呪い

ハワード・カーター生誕138周年記念まとめ。
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森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

01:「ミイラ」が欧米で知られるようになったのは18世紀。タロットカードのエジプト起源説をぶちあげたアントワーヌ・クール・ド・ジェブランの『原始世界』(1781年)に代表される『ムー』ノリの怪しいエジプト本が盛んに刊行され、革命前夜のフランス社交界でブームになりました。

2012-03-25 22:13:24
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

02:これに便乗したカリオストロ伯爵がフリーメーソンにエジプト風のなんちゃって儀式を取り入れて評判となり、後の「黄金の夜明け団」にまで影響を与えていたりなんかします。ナポレオンのエジプト遠征にも、この折のエジプト熱の影響があるのでしょう。

2012-03-25 22:14:06
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

03:このブームで、怪しい商人がエジプトのミイラを取引し(HPLの「チャールズ・ウォード事件」にも描写あり)、各地で見世物にされたり、ショーまがいの解剖が行われました。ジェーン・C・ウェッブ・ラウドンが1821年に、ピカデリーの芝居小屋でミイラの布をはずす見世物を見たそうです。

2012-03-25 22:16:01
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

04:これに先立つ1818年に刊行されていたメアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』の影響と考えられていますが、ラウドンはこの時の体験をもとに、甦ったミイラの復讐を描く"The Mummy!"という小説を執筆しました。これが、文学史上最初の怪物「ミイラ男」のようです。

2012-03-25 22:17:13
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

05:その後、『冒険の果実』(1828年、作者不詳)などの作品にミイラ男が登場し、『若草物語』のルイザ・メイ・オルコット(=次女ジョーのモデル)にも1868年の"Lost in a Pyramid; or, The Mummy's Curse"というミイラ物の怪奇短編があります。

2012-03-25 22:18:29
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

06:なお、アーサー・コナン・ドイルもミイラものを書いておりまして、創元推理文庫の短編集『クルンバーの謎』に収録されている「トトの指輪」(1890年)、「競売ナンバー二四九」(1892年)がそれです。

2012-03-25 22:19:25
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

07:さて、18世紀の怪奇小説で横行した「ミイラの復讐」ですが、これが「ファラオの呪い」に転じたのはやはり、ツタンカーメン王の呪いにまつわる騒動が発端のようです。

2012-03-25 22:20:00
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

08:ハワード・カーター率いる調査隊が、王家の谷でツタンカーメン王の未盗掘ミイラを発見したのが1922年。王墓の入り口には、こんな碑文が刻まれていたといいます。

2012-03-25 22:20:52
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

09:"Death shall come on swift wings to him who disturbs the peace of the King(ファラオの平和を乱す者の上に、死は素早い翼で襲いかかるだろう)"。この碑文通り、関係者達に不吉な死の影が訪れ……

2012-03-25 22:21:50
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

10:た。というのが、ツタンカーメンの呪いの幕開けです。ぶっちゃけ、この碑文を含む「ツタンカーメン王の呪い」の報道は、スポンサーである第5代カーナボン伯爵ジョージ・ハーバートに締め出されたマスコミのでっちあげ記事だということで、発掘に立ち会った25人の平均死亡年齢は70歳以上。

2012-03-25 22:23:05
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

11:発掘の翌年に亡くなったカーナボン卿についての、少々、煽情的な新聞記事がNYタイムズ誌に掲載されたのは1923年4月5日。その全文がこちらです。WEBって便利。 http://t.co/6CPGx66m

2012-03-25 22:24:17
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

12:CARNARVON IS DEAD OF AN INSECT'S BITE AT PHARAOH'S TOMB; Blood Poisoning and Ensuing Pneumonia Conquer Tut-ankh-Amen Discoverer in Egypt.

2012-03-25 22:25:05
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

13:日本語訳「カーナボンはファラオの墓で昆虫に噛まれて死んだ。エジプトのツタンカーメンの発見者、敗血症と肺炎に征服さる」。カイロからの外信です。この報道を皮切りにファラオの呪いの話に尾ひれがつきまくったわけです。

2012-03-25 22:26:57
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

14:世界最初のミイラ男映画はユニヴァーサルの『ミイラ再生 The Mummy』(1932年)。演じたのはフランケンシュタインで有名なボリス・カーロフです。大英博物館の調査隊が1921年にミイラ発掘という設定なので、モロに「ツタンカーメン王の呪い」が元ネタですね。

2012-03-25 22:28:21
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

15:映画中の警告文はこんなの。"Death, eternal punishment, for anyone who opens this casket. In the name of Amon-Ra, king of the gods."

2012-03-25 22:29:14
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

16:日本語訳「誰であれこの棺を開く者には、永遠の罰、死が与えられる。神々の王、アモン・ラーの名にかけて」。ツタンカーメンの墓そのまんまですね。 ちなみに、この『ミイラ再生』をリメイクしたのが『ハムナプトラ』の第1作です。

2012-03-25 22:30:30
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

と、いうような具合です。伝奇ロマンに泥んこを投げつける作業は楽しいなあ。(悪趣味)

2012-03-25 22:33:02
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

ルイザ・メイ・オルコットの話をすると--実際、『若草物語』でも駆け出し作家のジョーが怪奇小説を書いているのですよね。

2012-03-25 22:40:36
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

マサチューセッツ州のコンコードにあるオルコット邸(マーチ邸のモデル)はハウスミュージアム"Orchard House"になっていまして、そこの売店にオルコットの怪奇小説作品集みたいな冊子がありました。 http://t.co/vSkXUYQZ

2012-03-25 22:41:35

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