おながわさいがいエフエム/稲井地区中継終了

女川は山坂が多い地形のためにそもそも電波の通りが悪いという状況があります。 まして平地が足りないために、行政区域が石巻のエリアにも土地を借りて仮設住宅が作られました。 しかし、その場所は女川災害FMの電波はおろか通常の放送波の受信が困難だそうです。 その対策として、「実験」という扱いで中継のシステムが置かれていました。 その実験が終了するという話です。
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こちらが公式サイトでのリリース:
2012.05.09
石巻北部バイパス仮設住宅(稲井地区) 中継装置設置実験終了のお知らせ
http://onagawafm.jp/archives/5023

OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

【お知らせ】 女川町民の方が入居する石巻市稲井地区の仮設住宅(石巻北部バイパス仮設住宅)にて、微弱電波を使って女川さいがいFMの放送を中継する実験を行なってまいりましたが、あす5月10日を持ちまして、これを終了することになりました。

2012-05-09 16:02:27

細かくて面倒な話で恐縮ですが…


投稿には「微弱電波」と書かれていますが、ここで使われていたものは法的には「微弱」の区分ではなく「特定小電力無線局」となります。

そのため、

  • 「音声アシスト」の割当が1波なので、(時分割で)譲りあって使うことを求められる。
  • 混信防止のため、他局が送信中の時には送信できない仕組み(キャリアセンス機能の搭載)が必須。
    (特定小電力トランシーバーにも搭載されています)
  • 連続で(最大)30秒間送信した後に一時送信を止めて、その間に(待っていたであろう)他局が送信していないかどうかの確認して、使っていない場合にはじめて次の送信が許される。

これのせいで、「30秒毎に1秒ほど電波が止まる」という変則での中継が実施されていました。
実際には、この周波数はほぼ使われていません。
だとしても、微弱の定義を超える電界強度で送信する「特定小電力無線局」である以上、規定の縛りには従わなければなりません。

※なので本当に「微弱電波」であれば、周波数もFM放送バンド内に設定できるし、24時間連続送信することもできます。
しかし、障害物がない状態で100m届くかどうか…といわれる「微弱電波」では、仮設住宅の居室で聞こえることはあまり期待できません。
道沿いに細長く存在する仮設住宅の地域へ配信するためには、(たぶん)足りないわけです。

OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

女川町は起伏の激しい地形であることに加え、津波により市街地の大半が浸水してしまったため、仮設住宅もそれらの地域を避けて建設されており、中には土地が足りないため、やむなく隣接する石巻市内に建てられた仮設住宅があります。石巻北部バイパス仮設住宅もそのひとつです。

2012-05-09 16:04:02
OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

石巻北部バイパス仮設住宅については、女川方向に向けた全てを山に囲まれていることから電波状況が極めて悪く、女川さいがいエフエムはおろか、宮城県域のローカル放送もほとんど受信できない状況でした。この状況をなんとかしたいと、送信所の移設や中継局の設置などの対策を考えていました。

2012-05-09 16:06:59

地上デジタルテレビ放送が困難な地域には、衛星放送からのものを提供することが可能になっていますが、発信元は東京。
全国放送のキー局と関東地域ローカルの内容になってしまいます。

OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

しかし、送信所の移設や中継局の設置のためにかかる多額のコスト、また女川町の放送局である「おながわさいがいエフエム」が市境を超えて石巻市内に中継局を作るということに対する法律上の問題がありました。

2012-05-09 16:11:44

「さいがいエフエム」という扱いであっても「放送局」なので、サービスエリアの制限があります。
コミュニティFMとおおよそ同等の扱いですから、行政区域単位なのでそこからの越境は限りなく低減させなければなりません。

本体の放送局の設備でさえ各方面からの善意のご協力を頂いている状況です。まして中継局は、各地のコミュニティFMも設置に難儀している状況です。

OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

そんな状況のなか、独立行政法人 情報通信研究機構様 http://t.co/5tUucRdA よりお申し出をいただき、同機構の開発した免許不要の微弱電波による「音声アシストシステム」を使った簡易中継局を、ことし1月、石巻北部バイパス仮設住宅 東集会所に実験的に設置しました。

2012-05-09 16:14:42
OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

この実験により、石巻北部バイパス仮設住宅の東集会所・11~20号棟付近にいらっしゃる方に向けて、女川町からの放送をお送りしていました。 http://t.co/H8sYJTgk

2012-05-09 16:27:36
OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

今回の実験に際し、通常のFM放送よりも少し下の周波数(75.8MHz)を受信することのできるラジオが必要になり、WEBや各種メディア取材の場を通じてお知らせをさせて頂きました。この結果、全国各地のみなさまから、100台ちかくにのぼるラジオの寄贈をいただきました。

2012-05-09 16:41:25

周波数がFM放送バンドの直下というのも、アナログチューナーだと余裕を持っているので受信できる…という目論見だったようです。
しかし時代は電子チューナー化してしまい、下限76MHzで固定されているラジオがほとんどですから、アナログチューナーで余裕の大きなものが必要になりました。

OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

新品未開封のピカピカなラジオをわざわざ贈って下さった方、「家族全員でひとつずつ贈ります」と、暖かい手紙とともにラジオを贈って下さった方、番組を送り出す元気につながればと、お菓子やコーヒーを添えて下さった方・・・。幾度と無く目頭を熱くしながら、気持ちの詰まった小包を開けました。

2012-05-09 16:46:21
OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

神奈川県横浜市の有志のみなさまからは、ラジオを動作させるためにと、乾電池1000本余りもお贈り頂きました。女川町に想いを馳せ、必要としている人のもとへ必要な情報がきちんと届くようにしたい、と行動してくださった方がこんなにいらっしゃったことを、どれほど心強く感じたことでしょう。

2012-05-09 16:52:32
OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

お送り頂きましたラジオは、女川町のみなさまへお配りし、町の至る場所で、声を届けてくれています。いままでラジオをお贈りいただいたみなさまへ個別のお礼が出来ておらず、大変申し訳ございません。FM放送再開の暁には、可能な限り、これまでのお礼とご挨拶をさせていただければと存じます。

2012-05-09 16:56:38
OnagawaFM(旧女川さいがいFM) @onagawaFM

ラジオを募集するきっかけとなりました、稲井地区中継局の終了というひとつの節目を迎え、この場をお借りして、みなさまに心より御礼を申し上げます。今後とも女川さいがいFMを、よろしくお願い致します。(広報担当・天谷)

2012-05-09 16:58:02

放送の送信機等は、
NHKアイテックさんのご支援によるものです
http://onagawafm.jp/archives/3083

また、参考までに
以下のような2010年の日付の論文があります:
音声アシスト用無線規格を用いた災害時用小電力FM放送の検討
http://www.ee.kagu.tus.ac.jp/lab/mrgl/pdf/b_05_178.pdf
これの実証実験という形での協力をいただけたようです。

石巻北部バイパス仮設住宅(稲井地区)にて、中継装置設置実験を行なっています。
http://onagawafm.jp/archives/3393

私は地域居住民ですが、
ご協力に感謝します。

なお、現在おながわさいがいエフエムは、移転のために停波中です。