ssgt_940815さんの日米地位協定の改定方針

もと海兵隊員@ssgt_940815さんのツイート
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SSGT @SSGT_940815

連続ツィート【1】最近また地位協定の改定要請が盛んに聞かれるようになってきたので、当該協定を改定するのが果たして最善の策なのかについて書こうと思う。

2012-05-11 16:45:15
SSGT @SSGT_940815

【2】地位協定で最も論点となるのが被疑者の身柄引き渡しである。地位協定17条5(c) には「[被疑者]の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行うものとする」とある。

2012-05-11 16:47:03
SSGT @SSGT_940815

【3】つまり、被疑者の身柄が米側にある場合起訴されるまで身柄は日本側に渡されないということ。改定推進者はここを指し、起訴されるまで身柄が引き渡されないと捜査が行えず、被疑者が国外逃亡する恐れがあると主張し、よって起訴前でも身柄が引き渡されるよう地位協定が改定されるべきだと言う。

2012-05-11 16:48:01
SSGT @SSGT_940815

【4】改定推進者の論点は二つに分けることが出来る: 【論点1】起訴まで身柄が引き渡されないと捜査が行えない 【論点2】起訴まで身柄が引き渡されないと被疑者が国外逃亡する恐れがある

2012-05-11 16:48:38
SSGT @SSGT_940815

【5】まず【論点2】確かに60年代や70年代には被疑者が逃亡し米国も被疑者の日本への返還に消極的で被害者が泣き寝入りを強いられたこともあったが、90年代から米も日本との関係をより重視し平成4年や5年には米国へ逃亡した被疑者が米国で拘束され日本に返還され裁判を受けている例もある。

2012-05-11 16:50:35
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【6】また、現在は60年代70年代には無かった日米犯罪者引渡し条約が締結されており、逃亡した場合もこの条約に基づいて身柄の引渡しを請求すればよい。これは日米政府間で取りまとめられ、連邦議会によって批准された条約なので、軍人であっても適用外とはならない。

2012-05-11 16:50:57
SSGT @SSGT_940815

【7】尚、上記の平成4年と5年の件に於いては日米犯罪者引渡し条約に基づいた要請がされる前に米側が被疑者を拘束し日本に戻したことからも米側が地位協定に基づいて被疑者が日本法によって裁かれることを重視していることが伺えます。

2012-05-11 16:51:28
SSGT @SSGT_940815

【8】次に【論点1】だが、被疑者がいなくとも科学捜査や証拠・証言の収集はできるので「身柄が引き渡されないと捜査が行えない」はすなわち「身柄が引き渡されないと自供が取れない」ということであるが、果たしてそうだろうか?

2012-05-11 16:51:50
SSGT @SSGT_940815

【9】裁判になるまでの流れは大きく「捜査 → 逮捕 → 起訴」であり改定推進者はこの「捜査」の時点で身柄が引き渡され捜査(自供取得)が出来るようにすべきだと主張する。しかし逮捕前であれば日本の法律でも事情聴取は「任意」であり警察にも逮捕せずに被疑者の身柄を拘束する法的権限は無い。

2012-05-11 16:53:11
SSGT @SSGT_940815

【10】よって協定を改定し「捜査」の時点でも身柄を引き渡すようにし被疑者の身柄を日本側、つまり日本の警察が拘束することは米軍人を不法拘留することであり日本国法に照らしても法外行為である。

2012-05-11 16:53:46
SSGT @SSGT_940815

【11】なので、「捜査」の時点で米軍人被疑者の身柄を日本側で拘束できるようにするにはまず日本の刑事法を改定しなければならないし、改定した場合は勿論、日本人も逮捕前拘留が可能となります。

2012-05-11 16:53:59
SSGT @SSGT_940815

【12】では逮捕状が出された後はどうだろうか?この場合は日本法でも聴取は強制となり、米軍人の被疑者でも聴取を拒否することはできません。では、身柄が引き渡されていない状態でどう聴取をするのか?

2012-05-11 16:54:19
SSGT @SSGT_940815

【13】地位協定17条6(a)には「日本国の当局及び合衆国の軍当局は、犯罪についてのすべての必要な捜査の実施並びに証拠の収集及び提出(犯罪に関連する物件の押収及び相当な場合にはその引渡しを含む。)について、相互に援助しなければならない」と取り決められており、

2012-05-11 16:54:58
SSGT @SSGT_940815

【14】これに従い逮捕後は身柄を引き渡さないものの17条6(a)に指定されている通り捜査の実施を援助すべく、被疑者は米軍当局によって毎日聴取のため警察署に連れて行かれます。

2012-05-11 16:55:14
SSGT @SSGT_940815

【15】つまり逮捕状が出た後は被疑者自身も米軍も被疑者の聴取を拒否することができないため、身柄の引渡しが無くとも捜査は可能なのです。

2012-05-11 16:55:36
SSGT @SSGT_940815

【16】「逮捕後は聴取が強制なら逮捕状が出た時点で身柄を引き渡すよう改定すればいいじゃないか」と言われるかもしれませんが、ドイツとの地位協定であるボン補足協定では判決執行時であり、

2012-05-11 16:56:21
SSGT @SSGT_940815

【17】米韓地位協定でも12種の凶悪犯罪は起訴時だが、それ以外の場合は原則判決執行時と、現時点でも米国が他国と結んでいる地位協定と比べてもでも日本に於ける身柄引き渡しは一番早期なのに、それを更に早めることに米国が快く応じるとは考え難い。

2012-05-11 16:56:45
SSGT @SSGT_940815

【18】では、米側の反応は別として、もし改定するとしたら改定はどのように行われるのか?

2012-05-11 16:57:09
SSGT @SSGT_940815

【19】これについて地位協定27条には「いずれの政府も、この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請することができる。その場合には、両政府は、適当な経路を通じて交渉するものとする」とあり、よって改定(改正)をしたいのであればいつでもその旨米側に通知し、交渉すればいいのだ。

2012-05-11 16:57:25
SSGT @SSGT_940815

【20】しかし、交渉の神髄は譲歩にあります。地位協定の改定を交渉するのであれば交渉は譲歩の積み重ねであることを留意しなければならない。それに、日本が身柄引き渡しの早期化の改正を行いたいと米側に通知したところで米側が単に「はい。そうですか。」で終わるほど現実は甘くない。

2012-05-11 16:58:21
SSGT @SSGT_940815

【21】従って、改定を交渉するのであれば、それと引き換えに日本は何を譲る用意があるのかをまず特定しなければならず、身柄引き渡しの早期化と引き換えに米側は相当の譲歩を日本に要請することは目に見えているので、日本が譲らなければならないものは日本が快く譲れるものとは限らない。

2012-05-11 16:59:36
SSGT @SSGT_940815

【22】いや、日本の改定に対する渇望に対して米側は必ずやそれなりに厳しい譲与を要求をしてくることだろう。

2012-05-11 16:59:53
SSGT @SSGT_940815

【23】私は政策の専門家ではないので具体的に米側が何を要請してくるか明言できないが、凡そ考えられるのはグアムへの移転経費の日本側負担増額か、在日米軍駐留経費の日本側負担の増額及び法令化だろう。というのも日本が譲与できる非金銭的なもので米側が満足しそうなものが考えられないからです。

2012-05-11 17:00:55
SSGT @SSGT_940815

【24】既に地位協定の運用を取り決める日米合同委員会で起訴前でも身柄を引き渡せれるよう運用改善が行われており、実際これに基づいて起訴前に身柄が引き渡された件が複数あります。(【25】参照)よって、きちんと手順を踏めば起訴前にも日本側に身柄を引き渡すは現在でも可能なのです

2012-05-11 17:02:27