ドイツ、ノルトライン・ヴェストファーレン州議会の解散選挙について

怪力熊女 @M_Igashi

先日説明したNRW州議会解散選挙。議席数がまだ確定していないが、SPDの圧勝。議席数をほぼ維持した緑の党との連立継続。CDUは議席を減らし、FDPは辛くも議席を確保。前回11議席と躍進した左翼党は議席ゼロの見込みで、海賊党が8%の得票ではじめて議席を確保する。

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さて、フランス大統領選に絡んで日本の新聞でも少し触れられ始めた、今週末行われるドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州（NRW）の解散選挙についてつぶやいておこうか。国政を左右する所以は、同州が最大の人口を抱えていて、かつ多様性に富んでいるドイツの縮図のような州だからである。

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この州には著名な都市が多い。100万人の人口を抱えるメディア都市ケルン、州都で鉄鋼と商業のデュッセルドルフ、鉱工業都市ドルトムント、エッセン、化学工業のレヴァークーゼン、アーヘン。ちなみにドイツには16州あるが、ブンデスリーガ1部の18チームのうち5チームがNRW州である。

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2年前に行われた選挙でキリスト教民主同盟（CDU）と社会民主党（SPD）が同数の67議席になり、国政与党のCDU+FDP（自由民主党）の連立が成立しなくなった。SPDは議席を大幅に伸ばした緑の党との連立を組むも、総議席181中90議席という過半数に満たない少数与党となった。

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NRW州は戦後一貫してSPDが第一党で政権担当してきたが、2005年-10年はメルケル人気で第一党となったCDUとキングメーカーであるFDPが与党になる。2010年の選挙でCDU、SPDがともに得票率を落とし緑の党と左翼党が台頭したことから、従来の連立の枠組みが成立しなくなった。

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ドイツの選挙制度はナチの反省から一党で過半数が取りにくく、かつ個人名・比例代表総得票が5%以下の政党が議席を取れないようになっている。合意形成型民主主義の代表であり、選挙後の連立交渉が重要視される。5%以上の得票を取れそうなミニ政党は左翼党と海賊党で、選挙戦のカギである。

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今回の解散は過半数を取って盤石な政権運営をしたいSPD・緑の党と、議席を伸ばしたいCDU他の思惑が重なり全会一致で決定。どの政党も勝算を見込んでいるため、激戦である。左翼党と海賊党との連立はSPDもCDUも望んでいないため、その得票率によってはSPDとCDUの大連立も視野に入る。

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今時点での調査では、SPD、CDU、緑の党の順で支持率があり、FDPは5%ぎりぎりで議席を獲得できるか微妙。SPDのクラフト州代表が人気で、連立与党の政権運営もとくに悪いところがなかったことから、順当に行けばSPD第一党だが、緑の党の議席がミニ政党にまわると過半数を取れない。

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一方で、緊縮財政に対するメルケルの信任投票的な論調も目立つが、NRW州においてはSPDや緑の党も程度の差はあれ財政タカ派であるため、これは正しくない。あえていうなら左翼党の議席が減ることが信任といえる。昨年の税収が過去最高だったこの州でも、減税は望んでも支出増は支持されていない。

怪力熊女 @M_Igashi

まあ何が言いたいかというと、CDUが第一党になる可能性は低いし、これでドイツでも緊縮財政に反対する左派が優勢になった、メルケルの敗北だ、とかFTがどうせ書くので、それを真に受けたマクロ派が筋違いな電波をTwitter界隈でまき散らすだろうから、それは違うということです。