金環日食を安全に見るために

一度目を通しておくといいかと。 こちら↓の方がおすすめ。 guicheng さんの日食網膜症経験談 http://togetter.com/li/303635
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guicheng @guicheng

日食網膜症とは日食を観測したことによる目の障害のこと。ものすげーぶっちゃけると、目の火傷だ。損傷を受けるのは、カメラで言えばフィルムやCCDに相当する「網膜」。当然、これが損傷すると視力が落ち、失明に至る可能性すらある。

2012-05-14 23:33:16
guicheng @guicheng

火傷というと皮膚が水ぶくれを起こすようなあれを思い浮かべるだろうけど、日食網膜症の場合はちょっと違う。熱的変性は実はあんまりなくて、それよりも先に光化学反応による色素の欠損が来る。具体的には、「黄斑」という色素がごっそり減る。

2012-05-14 23:37:08
guicheng @guicheng

太陽光には非常に幅広い波長の光が含まれているけど、日食網膜症を引き起こす原因とされるのは意外にも青色領域の可視光線。赤外線じゃないんだよねぇ。これ、ここ数年で判明した事実だから、ちゃんとアップデートしておいてね。

2012-05-14 23:41:05
guicheng @guicheng

可視光線に限らず、電磁波ってのは波長が短くなるほどエネルギー量が増す。つまり、赤い光よりも青い光の方がエネルギーは高い。しかも、赤外線のあたりは大気でごっそりと吸収されるので、意外と届く量が少ない。この辺を考慮すると、青色領域が一番危険という結論に至るわけだ。

2012-05-14 23:43:53
guicheng @guicheng

日食観測の文脈で「ブルーライト」という単語を聞いたことがある方も居られるだろうけど、まさに目に一番ダメージの大きい「青い光」のことを言う。

2012-05-14 23:49:01
guicheng @guicheng

さて、日食網膜症は網膜の色素が光化学反応によって欠損する症状だと述べた。てことは、世の中の黒い部分をのぞき込んだ大人の濁った目よりも、純真無垢で澄んだ子供の目の方がダメージは大きい。……いや、冗談抜きで、水晶体の透明度は子供の方が遥かに高いんだよ。あと、白内障手術の人工水晶体。

2012-05-14 23:52:26
guicheng @guicheng

てことで、子供さんに観測させる場合は、ちゃんと指導者が付いてあげてね。冗談抜きで将来の光を奪うことになるぞ。

2012-05-14 23:53:46
guicheng @guicheng

さてお待ちかね、日食網膜症にかかるとどうなるか。私は2009年7月の皆既日食で日食網膜症を患った。今は完治したけど、文字通り「痛い目」を見た。いや、ホント痛いんだって。網膜に痛覚神経はないらしいけど、実際に目の奥が熱くて痛い。

2012-05-14 23:56:53
guicheng @guicheng

まず最初に、目に違和感が来る。眼精疲労とかと同じ感じ。あと、時折目がかすんだかも。日食観測していて、こんな症状を覚えたら即観測中止!!!

2012-05-14 23:58:31
guicheng @guicheng

眼精疲労を通り越したらどうなるかは、実はよく覚えていない。何せ、皆既直前だったから。ただ、皆既を目の当たりにして「このまま失明してもかまわない」と思ったことは鮮明に覚えている。言い換えれば、その程度の自覚症状があるくらい痛かったわけだ。

2012-05-15 00:00:24
guicheng @guicheng

で、観測終了から30分後。目が痛い。熱い。涙が止まらない。濡れタオルを目に当てていると気持ちいいけど、外すとすぐにぶり返してくる。最盛時には、目をくりぬいた方が楽なんじゃないかってくらい。まぁ、それほど長時間続かなかったのは幸いだけど、それでも一時間くらいはうずくまっていた。

2012-05-15 00:03:33
guicheng @guicheng

日食の翌日は出勤したけど、ディスプレイを凝視する仕事(プログラマー)だもんで、仕事にならない。けっきょく、涙だばだば状態は丸二日続いた。さすがにまずいと思って翌々日に病院に行ったら、日食網膜症の診断を受けたわけだ。ちなみに、検査と診断しただけ。有効な治療法はない。

2012-05-15 00:07:30
guicheng @guicheng

手元に残っているのが断片的な記録しかないもんで記憶を頼りに書くことになるけど、一週間ほどで今度は左目も痛くなってきた。観測は主に右目で行ったけど、固く目を閉じていたはずの左目もかなりのダメージを食らっていたらしい。そらそうだ、まぶたなんて1mmもない薄い皮膚でしかないんだから。

2012-05-15 00:11:20
guicheng @guicheng

幸いにして2~3週間ほどで痛みはほぼ消え、5週間ほどで違和感もなくなった。眼科の先生からは「痛みは一過性で、ほとんどのケースで視力も元に戻る」と聞いていたけど、さすがに気が気ではなかった。この辺の恐怖が関係しているのか、3年経った今でも強い光には少々過敏に反応する。

2012-05-15 00:14:32
guicheng @guicheng

で、3年経った現在。先述の通り、車のヘッドライトのような強い光を見ると反射的に目を背ける。また、目の奥がうずく。疲労や脱水症状を起こしても同様。視力は元に戻ったけど、完全に元通りってワケではない。まぁ、なんの支障もないけど。

2012-05-15 00:16:57
guicheng @guicheng

私の場合は日食網膜症の中でも軽いケースだったので完治に至ったけど、ひどければ恒久的な障害が残るケースもある。視界がぼやける、視力が低下する、視覚が欠損する、最悪の場合は失明する。まぁ、幸いにして失明したケースはないそうだけど。

2012-05-15 00:19:16
guicheng @guicheng

そんでも、視覚が欠損する場合は視界のど真ん中が消えるわけだ。人間は本能的に他人の顔を視界の真ん中に入れようとするけど、その部分が消えていたら人の顔を認識できないってことだよね。

2012-05-15 00:21:29
guicheng @guicheng

んじゃ、どんな器具だったら安全に観測できるんだろう。「2012年金環日食日本委員会( http://t.co/oIhnlwkh )」によると、可視光線で0.003%以下、赤外線で3%以下がガイドライン。赤外線領域が高くてもかまわないのは、大気の減衰があるから。

2012-05-15 00:25:56
guicheng @guicheng

ところが、この条件をクリアしていれば絶対安全というわけではない。長時間見ていれば、かなりのダメージになる。目安は、子供で1分、大人でもせいぜい数分ってとこかな。これは、連続ではなく、累積値での話。

2012-05-15 00:28:03
guicheng @guicheng

というのは、網膜を痛める光化学反応ってのは、刺激を取り去っても進行するという性質がある。つまり目を休めれば回復するのではなく、そのまま徐々に進行する。もちろん長時間休めれば回復するけど、どれだけインターバルを置けばいいのかというエビデンスはない。

2012-05-15 00:30:43
guicheng @guicheng

ちなみに、私の網膜の色素は3ヶ月後にはもとの量に戻っていた。もっとダメージ食らってたら、どれだけかかったかはわからない。

2012-05-15 00:32:59
guicheng @guicheng

言い忘れてた。日食なんてのは年に2、3回、理想的には5回発生する。全地球的にはそんなに珍しい現象じゃないんだよ。目をつぶしてまで見るもんじゃない。次は今年の12月にオーストラリアで皆既食だ。目に障害を負うリスクと海外に飛ぶ手間、どっちを選ぶ?

2012-05-15 00:41:43
guicheng @guicheng

浜松聖隷病院眼科の尾花先生による日食網膜症の解説記事。私なんかの話よりも絶対確実なので一読を。つーか、私のは尾花先生の聞きかじりだ。 http://t.co/ZN9Csbms

2012-05-15 01:02:15
すばる @SubaruTakeshima

"残念ながら、有効性の認められた治療法はありません" か…… RT @guicheng: 浜松聖隷病院眼科の尾花先生による日食網膜症の解説記事。私なんかの話よりも絶対確実なので一読を。つーか、私のは尾花先生の聞きかじりだ。 http://t.co/p5UxI5yI

2012-05-15 01:03:20