ところであれだ。匿名実名論議を巡って「表現の自由は表現者を守るためにある」といっていたひとがいたけれどこれは違うと思います。それだと作者不詳の作品、筆名を使用した作品は発禁にしていいという理屈がまかり通ってしまう。表現の自由は作品を受け取る側のためにも大事なんです。
2012-05-14 09:31:38コミック規制の問題に即していうならば、そこで表現の自由が大切なのは「漫画家の生活」のためではなく、「政府機関の『有害』指定によって、享受できる作品の選択肢が限られてしまう市民全て」のためなのです。
2012-05-14 09:39:24表現規制の問題については、まとまった分量の文章を書こうかとずっと思っていました。でも小出しにここに書いていこうかなあ。
2012-05-14 09:42:40まず最初に言っておかなくてはいけないのは、「表現の自由は媒体を問わず尊重されなくてはならない」という大原則です。小説ならOK、漫画だとダメ、映画ならOK、ゲームだとダメということはそもそも間違いです。そこから考えましょう。
2012-05-14 09:48:51それから、『有害コミック』については興味もないし、むしろなくなってほしいとお考えの方にも、もう少し考えて頂きたいと思います。これは最近話題の、同性間の婚姻を巡るスピーチと同じロジックで考えることが可能です。「あなたにとって必要のない権利でも、切実にそれを求める人がいる」。
2012-05-14 09:56:37次の視点。一例として石原都知事は「ナボコフならいい。表現も綺麗なところがあるし」という発言をしました。ずいぶん前の筒井康隆の断筆宣言のときに浅田彰は「筒井のような二流の作家がタブーなき言語の聖域などというな」と発言。逆に小林よしのりは「筒井さんは何を書いてもいい」と擁護。
2012-05-14 10:02:07私はこの三者の発言のどれにも賛同しません。嘆かわしい思考水準だと思います。芸術的力量という曖昧な物差しをそれぞれに当てて、「この表現は自由」「これはなし」と決めることはできないのです。一流の作家ならOKという前提そのものが間違っています。
2012-05-14 10:06:53演劇の分野でもいろいろなことが起こりました。シュニツラーの『輪舞』、ヴェデキント『春のめざめ』など、二十年近くまともに上演されなかった戯曲があります。後年正当に評価された幾つかの名作の影には、知られずに消えていった作品が山のようにあるということです。もちろん作家も。
2012-05-14 10:18:48日本で起こった悲劇は、徳川幕府が女性の演じる歌舞伎を全て禁止してしまったことでしょう。国が乱れる、と幕府が感じるほどに大人気だった芸能がどんなものだったのか、我々はもう知ることができません。損害を被ったのは女性の歌舞伎役者たちだけではなく、数百年後の我々全員でもあるのです。
2012-05-14 10:25:32さて。ドストエフスキーの『悪霊』は50年ものあいだ、完全版の出版が叶いませんでした。少女を陵辱する場面があったからです。コミック規制を主張する人は、『悪霊』を十九世紀版に戻せ、ともいうべきです。やっていることは当時のロシアの役人と同じだということを、少なくとも自覚すべきです。
2012-05-14 10:33:37一流の小説家ならいいが無名の漫画家はだめだ、というロジックが通用しないのは、述べたとおり。媒体の性質や作者のレベルをもって、表現の自由に差をつけることは誰にもできないという原則を何度でも確認する必要がある。
2012-05-14 10:41:02唐沢なをき『電脳なをさん』の722号を見てみよう。ヒトラー似のへんなおじさんが「きんもーっ」の大号令のもと、都条例改正による表現規制を推進していく。ここで「きんもーっ」が出てくるのは正しい。青少年を守ろうといいながら、実は自分が気持ち悪がってるだけだろ、という批判だ。
2012-05-14 10:55:31「自分が気持ち悪いだけじゃないの?」という指摘をしたのは、私の知る限り唐沢なをきただ一人だ。そしてこれは実のところ、正鵠を得た重要な指摘なのではないだろうか。「気持ち悪い」→「一掃したい」→「(後付け)青少年にもきっと有害だよね!」というロジックで規制論が起こるのではないか?
2012-05-14 11:03:38(承前)だから、「実際の性犯罪を誘発しているか」の議論が無視されてしまう。「気持ち悪い」「青少年に悪影響を与えないはずがない」のほうが彼らにとって百万倍も大事だから。しかし、そこで立ち止まらなくてはならないのだ。本当に「有害」なのか。有害と無害の境界線を引くことはできるのか。
2012-05-14 11:37:53表現そのものに「有害性」はない、という内田樹氏の明確な指摘も参照されたい。 http://t.co/KkIrEW0W
2012-05-14 11:43:46チョムスキーのいうとおり、ヴォルテールは「自分にはヘドがでそうな思想であってもその表現の自由は徹底的に擁護する」と述べた。200年も前のことだ。不快で、広い共感を得られにくい表現こそを守っていくことが必要なのだ。青少年保護を楯に自分の清潔感を守ることをしてはいけない。
2012-05-14 11:54:22児童ポルノの単純所持禁止、についても疑問提示。例えば、全裸の少年少女たちが登場する寺山修司の短編映画をビデオで所持していたら逮捕されたりするんでしょうか? されないとしたら根拠はなんでしょう? 芸術作品とポルノ作品とは誰が区別してくれるのか。
2012-05-14 12:03:59『頭文字D』は明らかに公道での暴走を助長してる。あれにしびれたバカが自分の家族を跳ね飛ばすかもしれない。でも、そんなことがあっても俺は漫画を恨まないし、規制すべきだとは思わない。憎むべきは漫画に影響を受けたバカのほうだ。そこは間違えちゃだめだ。
2012-05-15 13:44:53言葉狩りのときも「筒井さんは何書いてもいい」といってましたね。才能次第というのは愚かしいと私は思います。 QT @walkinonthinice マンガにおける性描写が社会問題になった時、小林よしのりが「セックスを描いていいのは山本直樹と岡崎京子だけ」みたいなことを訴えていた。
2012-09-06 01:55:51石原慎太郎「ナボコフなんかはいい」 猪瀬直樹「手塚治虫ならいい」 浅田彰「筒井ごときが表現の聖域などというな」 小林よしのり「筒井さんは何書いてもいい」 こういう発想って本当に、ダメ。個人の価値観は勝手だが、法はもっと客観的でないといけない。表現は水準と無関係に守られるべき。
2012-09-06 02:02:32「しずかちゃんの入浴シーンが児童ポルノにあたるか」っていう議論はちょっと的を外している。山本直樹や駕篭真太郎の漫画が読めなくなってもいいというのか、そこのところだろう。みんなしっかりしようぜ!
2013-05-31 01:39:44いや、誰が見てもポルノじゃないものまでポルノと拡大解釈されるっていう危険性を喚起するのは大事かもしれない。それはわかってる。でも、100人が100人見てポルノだっていう漫画なら単純所持jを禁止して抹殺していいのかよっていう、そっちですよ。
2013-05-31 01:41:48エロ漫画っていうものが好きなひと、必要なひとっていうのが成人の何%くらいなのか俺はしらない。でも、それが成人男性の0.01%だったとしてもかなりの人数なんだ。何の実害もないのに不当に彼らの権利を奪う資格はないよ。不道徳なフィクションを愉しむ権利を誰からも奪ってはならん!
2013-05-31 01:47:43しずかちゃんがどうとかいってないで、ハッキリいいませんか? 小学生女子をレイプしたり惨殺したりする漫画なら規制していいと本当はどっかで思ってるんじゃないですかあなたたち? そういう表現も絶対に守らなくてはいけない、となぜいえないんですか。
2013-05-31 01:52:46これでも貼っておくか。「ヘドが出るような思想に対しても表現の自由が保障されなければ本当の自由とは言えない」チョムスキー http://t.co/pmwbimjhVa
2013-05-31 02:05:50