【風の丘 完全版】須永紀子・金子彰子・宮尾節子 tweet連詩 pw3q
雨があがって。しんぴんの緑の風薫る丘で。あれもう、なくなっちゃった。「生前は色々お世話になりました。これからは皆さんのご健勝をこちらからお祈りします。天国にて 絹子」88歳のピースサインの笑顔が届いて。雨露しのげて、詩が書けて。ねえ他になんだか、あったっけ。(風の丘1)#pw3q
2012-05-08 09:44:34丘の上にひとは並び。蜜色の陽ざし。何も持っていない。やわらかな草。もたれてものぞきこまないルール。順番に話をしよう。誰にもしたことのないとっておきの。うなずく、あくびをする、眠る。何をしても見えない。だから声をあげて、手を鳴らして。並んで座るわたしたち。(風の丘2)#pw3q
2012-05-09 11:24:49誰も彼もの骨を呑んで/ 膨らむ瞼が佇む / 隠し持つ輝石が眺めているのは/ そよぐ衣 / 出ていかれない窓辺の影/ ウワミズザクラ ヒトツバタゴ ハリエンジュ/疎らな雲がそこに混じる (風の丘3) #pw3q
2012-05-10 06:07:14「はい」と「いいえ」のヒカゲとヒナタ。俯せて甘えるようにして、慄える草を噛んだ。少し酸っぱくて泣きそうに。でも、きっと言われちゃうんだ。「じつは、これが始めてじゃないの」みたいなこと。いいよ。構わない。地図も無い。あそこまで、と指さして走り出すビーナスの丘。(風の丘4)#pw3q
2012-05-11 07:54:18わたしたちはときおり〈誓う〉ということをする。「きみにいっとうよいものをこさえてあげる」と少年は言った。なだらかな丘の上。ほんの少し天に近い場所。幼いわたしたちはありったけのことばを集めて初めての誓いをした。背中合わせに座り、目を合わせないまま。(風の丘5)#pw3q
2012-05-12 10:04:28明け暮れにその髪を梳く お守りの代わりに編む 君はかぶりを振って ほどいてしまう 黙りこみ レンジで温めた茶碗蒸しをトレイに載せ 扉を閉める やがて丘のあちらからこちらから 「とわにあせぬ」とハミングが響く (風の丘6) #pw3q
2012-05-13 08:05:20「けっこんがしあわせじゃないですね」と隣り合わせた占い師が言った。「連れぐらいは、しあわせにしたいですが。どうすればいいかしら」「何もしなくていいですよ。愛人とか二号さんのあなたは相。愛されてるしかすることがないです。あはは。」野中の荊。思い出ぐさに、君を。(風の丘7)#pw3q
2012-05-14 08:26:59傾いだ家。悪くなりかけた穀類。浅い眠り。わたしたちはすぐに疲れて、何度も水を飲む。何かがちがってしまっているのだが、昨日とよく似た一日。蜘蛛の巣のカーテン。曇った鏡。色の悪い伴侶。(風の丘8)#pw3q
2012-05-15 10:01:42つたいあるけば クローゼットの裏から 出られない ブルーブラックの誓文は褪せて 息をするのにもせわしい 繭を纏った寝台 人の歌声で ほころんだ花に気づく (風の丘9) #pw3q
2012-05-16 09:43:56ピエール。あなたにだけ教える。わたしの名前を。飛び立つための。本当の名は「Cybele」。五月は白い花ばかりフランソワばかりで。ほら。スキップしながら、見え隠れしてる真綿色の帽子!舞い上がる翼を抑えて、ここで君を待つ悦び。ユーアーマイーシスター。人生は妹。(風の丘10)#pw3q
2012-05-17 07:30:43
****** omake ******
@sunaganoriko @000214 朝寝坊しましたが、なんとかよいしょと、あげました。須永さん、金子さん、30日間の言葉のおつきあいを、どうぞよろしくお願いします。音楽はたどたどしいけど、妙にしみる。これです。http://t.co/tZq0qq10
2012-05-08 09:50:12@sechanco雨あがりの丘、しんぴんの風薫る緑。すてきなオープニングですね。音楽と動画も。これから時間ぎりぎりまで考えます。やわらかいことばで書こうと思います。硬かったら叱ってください。
2012-05-08 11:57:47天国からの手紙(笑)。元ネタのハガキです。あんまり、素敵だったものでお裾分けを♪亡くなったお知らせなのに、みんな笑顔になったそうです。 http://t.co/iRA3I5kK
2012-05-08 10:17:04富岡多恵子さんの『丘に向ってひとは並ぶ』(中公文庫)を再読している。淡々とした語り口で描かれる流れ者一家の暮らし。すごい小説である。そのタイトルにヒントをもらって「丘」の詩を書いた。43ページまで来たけれど、それらしい場所は出てこない。全部で61ページ。
2012-05-09 19:43:48@sunaganoriko @sechanco 拝読して、現実の自分の前にも、爽やかな丘の情景がたちあらわれてきたように感じました。さて、今晩、明朝のアップにそなえます。
2012-05-09 12:42:04@000214 @sechanco 「誰も彼もの骨を呑んで」、この行を借りて一篇書きたいと思いました。「疎らの雲がそこに混じる」、いいなあ。
2012-05-10 10:05:27@sunaganoriko @sechanco ずっと前に、雑誌で眺めただけなのですが、ヴィクトル・ボリソフ・ムサートフという画家の「5月の花」という絵に溢れていた光を須永さんの詩に感じました。この狭い枠から広い世界を手渡されている気がしています。
2012-05-12 12:05:31@000214 @sechanco ご感想、うれしく読みました。ムサートフの「5月の花」をようやく見つけました。二人の少女が庭で遊んでいる絵ですね。白い花が咲く庭に降りそそぐ初夏の光。ムサートフという画家を初めて知りました。ありがとうございます。
2012-05-12 13:44:01@000214 @sechanco「君はかぶりを振ってほどいてしまう」に掴まれました。アシュベリーの「若い王子と王女」の世界につながるものがあると思います。大好きな詩です。
2012-05-13 13:22:20@sunaganoriko @000214 あげました。「詩って化学変化かな」と誰かが言いましたが。何だかのってきちゃって、私にも化学変化が始まったみたい。お化けにならないことを祈りつつ(笑)。ラストを「ヒースの丘」にするかどうかで小一時間悩みましたが。字数でこちらに。よろしく♪
2012-05-11 08:02:38@sechanco @000214「これが始めてじゃないの」、福間健二さんの「きのう生まれたわけじゃない」というフレーズを思い出しました。このあたりから書いてみようかな。草を噛んで駆け出す。かわいい娘なのですね。青春ね。
2012-05-11 10:44:23@sechanco @sunaganoriko 恋人の髪を編み、ばらの咲く丘で戯れ、というように書き上げる筈でしたが、全然違うものに。ちなみにハミングしているのは「野中のばら」です。
2012-05-13 08:58:27@000214 「手折らば 手折れ 思い出ぐさに 君をささん」紅におう。『野ばら』聞こえてきました!http://t.co/5kpIJeVc よしきた♪
2012-05-13 08:48:27