「新型うつ」について~斎藤清二先生による

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斎藤清二 @SaitoSeiji

連休のNHKスペシャルと、岩田先生のブログを読んで「新型うつ」について色々考えていたが、基本的には、岩田先生の見解=「新型うつ」病気と認識すべきではない・・それは社会病理というか、医療の枠の外で扱うべき事象・・という見解には賛成だ(続)http://t.co/xr2CCsHp

2012-05-13 21:15:31
斎藤清二 @SaitoSeiji

さらに、「しかし、医療者がノータッチ、無関心でよいとも思わない・・「新型うつ」に医療者もコミットすべきだ。ただし、「病人」としてではなく、そうではない、なにかとして、である」という見解にも賛成。その上で、少し屋上屋を重ねるような議論を提起してみたい(続)。

2012-05-13 21:20:38
斎藤清二 @SaitoSeiji

もちろん岩田先生の主張は「『新型うつ』は病気か否か?」という「正解」を問う議論ではなく、「私達は『新型うつ』を”敢えて”病気と認識しないという選択をするほうが、総合的に利益が大きい」と言う主張だと私は理解する。繰り返しになるが、この主張には私は概ね賛成である。(続)

2012-05-13 21:29:01
斎藤清二 @SaitoSeiji

それは承知の上で、指摘したいのは、「『新型うつ』は病気なのか?(病気と認識すべきか?)」という問いは、実は複数の問いを含んでいるので、丁寧に考えないと、混乱したり、議論が錯綜するといういうことである。これは、NHKが、「新型うつ」という言葉をあえて使ったことにも原因がある(続)

2012-05-13 21:35:06
斎藤清二 @SaitoSeiji

私の考えでは「『新型うつ』は病気か?」という問いは少なくとも二つの異なる問いを含むと思う。一つ目は「『新型うつ病』は『うつ病』か?」であり、もうひとつは「『うつ』は(そもそも)病気か?」である。おそらくNHKは意図的に「新型うつ病」という言葉をタイトルにするのを避けたのだと思う。

2012-05-13 21:44:36
斎藤清二 @SaitoSeiji

まず「『新型うつ病』は『うつ病』か?」という問題であるが、これは元来「医療/医学」という文脈の中で論じられる問題である。ほとんどの場合、「新型うつ病」と(多くの場合非公式に)ラベルされる人は、公式には医師によって「うつ病」と診断された人である。

2012-05-13 21:55:05
斎藤清二 @SaitoSeiji

少なくとも公式の医療においては「うつ病」と診断されていない人が「新型うつ病」とラベルされることはない。ところが、非公式には「うつ病と診断されたにもかかわらず、『標準的なうつ病の治療』によっても改善しない人」(の少なくとも一部)が「新型うつ病」とラベルされる。

2012-05-13 22:02:38
斎藤清二 @SaitoSeiji

「標準的なうつ病の治療」(これは本邦では休息+薬物療法として理解されている)で良好な経過をとらない人が無視できないほど多いという現象が「うつ病(の診断と治療)の標準的なモデル」を揺るがしてしまい、これが「新型うつ病(あくまでも通称)」という概念の生成を後押ししたのだと思われる。

2012-05-13 22:22:02
斎藤清二 @SaitoSeiji

医師にとって、目の前の「自分がうつ病と診断した患者さん」が「(標準とされる)自分の治療で治らない」という事実は、通常自分(医師)が「誤診をした」か、あるいは「治療者としての能力が低い」ことを意味せざるを得ない。そのどちらも避けるために「新型うつ病」という概念は役にたつ。

2012-05-13 22:39:22
斎藤清二 @SaitoSeiji

なぜならば「新型うつ病」とは「うつ病(診断基準を満たしている)」であって同時に「(標準的な)うつ病ではない(標準的治療に反応しない」のであるから、医師は「誤診」もしていないし「治療能力不足」でもないということになる。医師の二重拘束は見事に解消される。ちょっと意地悪な見方だが・・

2012-05-13 22:49:20
斎藤清二 @SaitoSeiji

真剣に取り組むべき議論なのにおちゃらけるようで恐縮だが、私は「新型うつ病はうつ病か?」という問題は、かの有名な「カップ焼きそば現象」と非常に似ていると思う。つまり「カップ焼きそば」は「(新種の)焼きそばの一種」なのか「焼きそばと名前だけが似ている別の物」なのか?という問題である。

2012-05-13 23:01:06
斎藤清二 @SaitoSeiji

天才南千秋によれば「カップ焼きそば」を食べたい時と「焼きそば」を食べたい時は明らかに違うので、両者は似て非なるものである。「新型うつ病」と「(古典的)うつ病」は、有効な対応法が異なるのだから、似て非なるものと考えるほうがよいだろう。それでも似ている側面があることも事実ではある。

2012-05-13 23:20:39
桐田敬介🏳️‍⚧️🏳️‍🌈 @keisukekirita

カップ焼きそば現象!! RT @SaitoSeiji: 天才南千秋によれば「カップ焼きそば」を食べたい時と「焼きそば」を食べたい時は明らかに違うので、両者は似て非なるものである。「新型うつ病」と「(古典的)うつ病」は、有効な対応法が異なるのだから(略)

2012-05-14 07:51:30
斎藤清二 @SaitoSeiji

@KeisukeKirita 歴史的にみると、初期には「カップ焼きそば」は「焼きそばの一種」または「質の低い(インスタントな)代理品」と見なされたが、次第に独自のものとしての価値を認められ、市民権を獲得したということが言える。果たして「新型うつ病」も同じ歴史をたどるのだろうか?

2012-05-14 10:39:17