生涯一学芸員(@shnchrOSAKI)氏による最初で最後の美術手帖批判
『美術手帖』の最新号が届いた。私はこの数年、歴史的資料の蓄積という意味においてのみこの雑誌を購読しており、ほとんど読むに値する記事はない。この雑誌についてはもはや何を言っても無駄だと思うが、今後も今回と同様の不快感を味わい続けることとなろうから、一度だけ批判をしておく。
2012-05-18 22:02:31「頂上バトル!日本近代美術の傑作150」というくだらない特集のタイトルについてはひとまず措く。なぜ130点の作品しか掲載されていないかもよくわからないが、そもそも編集者は150点もしくは130点の作品を選んで600字程度の解説を加えることに意味があると考えているのだろうか。
2012-05-18 22:08:18内容などはどうでもよい、後で特集の部分だけを抜き出して出版しようという意図があまりにもみえみえで情けない。いくつかの時事的なニュースと『後美術論』以外に読む必要のある記事が見当たらないのはいつものことだ。宣伝か広告か不明の記事やら「AKB美術部」やら失笑を禁じえない内容ばかりだ。
2012-05-18 22:17:53巻末に「月刊美術史」なるコラムがあるが、ここに掲載されている人事関係の記事は誤っているのではなかろうか。ジャーナリズムを標榜しながら、人事関係の案件で誤報を伝えるとは致命的だ。もっともジャーナリズムと考えるのが間違いで特定の作家やギャラリーの広報誌と考えれば特に騒ぐ必要もない。
2012-05-18 22:26:05かつて私はこの雑誌を愛読していた。70年前後の『美術手帖』には時代のカッティングエッジとしての輝きがあり、80年代のニュー・ペインティング、シミュニレーショニズムの積極的な紹介は(必ずしも私は与さないが)主体的に美術状況に関わろうとする覚悟が読みとれた。ところが今やこの体たらく。
2012-05-18 22:41:16私自身、『美術手帖』には何度か寄稿したことがある。関西地区のレビューも担当した。長い歴史をもつこの雑誌には敬意を払ってきた。しかし今やメディアの商業的堕落の典型をみる思いだ。なぜ誰も正面から批判しないのか。二度と声もかからぬだろうが、私も今後一切原稿を寄せるつもりはない。
2012-05-18 22:52:10