第13回早稲田大学心理学会 教養講座 『なぜ構造構成主義は復興支援活動に役立ったのか?』西條剛央
西條剛央講演「なぜ構造構成主義は復興支援活動に役立ったのか?」 傍聴中。 早稲田大学心理学会主催なのですね。 リプがあったら実況します。
2012-05-19 16:04:44「『方法の原理』"方法"は"特定の状況"において"何らかの目的"を達成するための"手段"」特定の状況や目的が変われば方法も変わる。 2011年4月当初、物資は足りないのに滞留して必要な所に届かなかった。つまり方法が間違っていたということ。方法を変えるしかない。
2012-05-19 16:29:06もともと復興支援に役立つことなんて想像もしてなかった。科学的で建設的な議論をするための原理を模索していた。その思考が未曾有の状況に役に立った。 例えば、「正しい、正しくない」ではなく「この状況で有効か有効じゃないか」という議論をすると建設的な議論ができるようになる。
2012-05-19 16:33:03去年4月に民主党本部の災害対策本部に行った時の話。パソコンがズラっと並んでいたが、人が1人しかいなかった。避難所マップを作ろうとしていたが、毎日増えたり閉じたりしていた。リストを作ってから配るというやり方は通用しないとすぐに思った。
2012-05-19 16:35:28未来のことはわからないが、確かなことがある。 それは「変化のスピードが速くなる」ということ。「従来の方法っを踏襲する」という志向がどんどん通用しなくなる。 方法ではなく方法の使い方を知識としてもっている会社や組織はこれから強くなる。
2012-05-19 16:36:57本には書ききれなかったが、被災地では信じられない事態がたくさんあった。 石巻では公平性を担保するために、避難所での生活が犠牲になっていた。配ろうとしたら制止されたこともある。 方法(公平な手続き)を守るために目的(市民の生活を向上すること)が阻害されている。平時とは"状況"が違う
2012-05-19 16:41:14避難所の生活水準はリーダー次第だったりもした。そこで避難所のリーダーに ふんばろうの電話を教えた。電話すれば物資要請をして届く。全ての避難所に連絡はできないので、「このやり方を真似してください」という「自己増殖モデル」で拡散力を担保した。
2012-05-19 16:44:20自治体に「避難所にふんばろうの電話番号を通知してください」とお願いしたが、聞き届けられなかった。その理由は今でもわからない。
2012-05-19 16:45:07信念対立に陥りやすい個人的要因 ①豊富な経験や多くの成功体験 ②専門コミュニティ内部でうまくやってきた ③絶対的な真理や正しい理論はあると思う ④最近一番重要なことは○○することだと悟った ⑤正しいことをするのが好き このほか、「関心の強い分野」では信念対立になりやすい。
2012-05-19 16:47:17関心があるとちょっとした違いが気になる。専門的だとちょっとした違いに気づいてしまう。 組織は人間の集まり。同じ目的なのに対立すると、削りあって消耗してしまう。 養老先生も言っているが「話せばわかる はウソだ」とおっしゃっているが、ただ話し合っても解決しない。
2012-05-19 16:48:54人間科学における基礎研究派と臨床派の対立、方法論における 数量的研究と質的研究の対立。 全ての対立が悪いわけではない。対立から生まれるものもある。 が、ボランティアのような急を要する現場で、対立はエネルギーの無駄になってしまう。
2012-05-19 16:51:31つまり、正しいものがどこかに転がっているわけではない ということ。ところが、存在の認識と価値の認識を分けることは難しい。関心に応じて存在を認識していると思ってしまう。相手の価値を自分が評価すると、それが客観的な存在だと思い込んでしまう。つまり信念対立のもとになる。そうではない。
2012-05-19 16:58:19当たり前なことを当たり前だと思い込んでいる人にこそ、関心相関性のことをわかって欲しい。が、思い込んでいる人は「そんなこと当たり前だ=そんな考え方は価値がない となって聞き入れてくれない。 柔軟な考え方の人は受け入れてくれるが、実は言われなくてもできている。
2012-05-19 17:01:59が、関心相関性をわかってもらおうとすることには意味がある。正規分布の山を少しズラすだけで、世の中を変えることができる。 全員の考え方を柔軟にすることはできないが、柔軟な考えの人を多数派にすればよい。 ふんばろう に参加している人は少なくとも柔軟な人が多数派になっている。
2012-05-19 17:03:52契機相関性:きっかけによって関心が異なるので、価値判断は異なる。価値判断だけの是非をぶつけあってしまうと対立してしまう。 例えば原発。止めるべきか稼働すべきかの議論はそもそも関心(安全性か電気の安定供給か)が異なる。
2012-05-19 17:07:37そうした場合、価値判断の是非ではなく関心の妥当性を比較すべき。安全性と電気の安定供給のどちらが妥当か。原発が2/54しか稼働していないのにあれだけ寒い冬を危なげなく乗り切った今、となっては電気の安定供給は、空論だったとわかってきているのではないか。
2012-05-19 17:10:27ちなみに、どっちが正しいかという議論は(必要だけど)問題を解決しないのではないか。例えば利権があって物事が進まないなら、利権のある層に原発が無くなった後にも何かしら恩恵があるようなプロセスを考えればよいのではないか。
2012-05-19 17:12:16同じボランティア団体なのに、内部でもめごとはたくさんあった。 なぜか? そもそも同じだと思っていたのに実は違ったから。 「異文化交流」のようにもともと違うとわかっていればもめない。 一番もめるのは親戚。同じだと思っているから。
2012-05-19 17:14:50ふんばろう でも、同じボランティアをしていても、違うきっかけ、違う関心をもつので価値観がズレてくる。避難所担当は避難所の声を、お金を集めている人は支援者の声を、そうして接しているきっかけが違ううちに、「誰も悪くないのに」もめごとが発生してしまう。 どこにも悪い人はいないのに。
2012-05-19 17:16:34ボランティアのやっかいな前提として、参加者はみんな「自分は正しいことをしようとしている」という意識がある。そこで価値観が違うと、「相手が間違っている」というところからスタートしてしまう。関心の構造を知っていると、そうしたもめごとを回避することができる。
2012-05-19 17:18:21世界の認識の仕方は、行動を決めてしまう。 壁は通り抜けられないと知っているから誰も壁に突進しない。構造構成的心理学を知ることで、組織や他人との関係をスムーズにすることができる。 なぜ感謝が必要か? 感謝している時、自分も相手も肯定している。全ての人は肯定されたい。
2012-05-19 17:20:39感謝の気持ちを忘れていないボランティア団体は存続する。方法論の衝突がはじまると存続しない。感謝を忘れてしまうと、やらない人を否定するようになってしまう。否定されるためにやっていない。 議論する際に、まず肯定からはじめる「抱えてから揺さぶる」が大事。
2012-05-19 17:22:10