宮台真司の「きみがモテれば、社会は変わる。」理論を映画に当てはめる

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榎本憲男★『サイケデリック・マウンテン』絶賛発売中!!! @chimumu

0.宮台真司の新刊「きみがモテれば、社会は変わる。」を読んだ。ミヤダイ本は低年齢層用に書かれた本がわかりやすくて面白い。この本を片手にミヤダイ理論を我田引水しまくってこれからの映画作りを語ろうと思う。連投します。

2012-05-20 22:17:22
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1.宮台は若い読者に向かって「モテてないよね」と語りかけるところから始める。ん? 読者のみんながモテてないとしたら、そして「きみがモテれば、社会は変わる。」という命題からすれば、モテてない不特定多数のせいでこの社会はクソだ、という主張になるんじゃね?

2012-05-20 22:18:20
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2.なぜクソになったのか? 経済ばかりを重視して人の幸せを支える社会を省みなかった。それが地域社会を破壊し、たかだか貧困ごときで人が自殺するような社会を作ってしまった。好景気時に依存体質が生まれ、<任せてブーたれる>悪い習慣が身についてしまったことが主な理由だ。

2012-05-20 22:19:23
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3.じゃあ、そんな社会は変えて新しい社会にシフトチェンジすればいいではないかというと、ここに日本独自の「空気」の問題が浮上する。ここの「空気」はKYのK、議論の場を支配する雰囲気である。日本ではこの「空気」という曖昧なものに逆らうことは、ものすごーく難しい。

2012-05-20 22:21:19
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4.宮台真司は社会学者だ。社会学は「社会とはなんだ」ということを考える学問らしい。この社会という考え方はフランス革命から出て来た。自由・平等・博愛を掲げたフランス革命の精神は徐々に雲行きが怪しくなり、気にいらないものを次々とギロチンにかける恐怖政治に飲み込まれてしまう。

2012-05-20 22:22:50
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5.なんでこうなるの? という疑問が「社会」という考え方を生んだ。ここで頭のいい人が“個々人の営みがめぐりめぐってもたらす、ひとりひとりの思惑を越えた「不透明な全体性」の存在” を意識し始める。これが社会だ。

2012-05-20 22:23:18
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6.で、社会学とは「この<不透明な全体性である社会>が秩序を持つ(ように見える)のは、どうしてなのか?」を探究する学問だ。で、この「この<不透明な全体性である日本社会>の秩序を支えてきたものは何かということを考えるときに、この「空気」という概念は非常に有効だと宮台はいうのである。

2012-05-20 22:24:28
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7.日本社会には「空気に逆らうな」≒「長いものには巻かれろ」という同調圧力がつねに働いている。空気に逆らわないで生きていると、空気にあわせて場当たり的に振る舞うことがすべてとなり、まともな思考ができなくなる。身内の視線ばかりを気にして集団の外からの批判が聞こえなくなる。

2012-05-20 22:26:15
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8.空気に支配され、場の雰囲気に流されて生きていると、正しいとわかっていながらも空気を読んでダンマリを決め込み、ただ状況に流されていく奴になる。こんな奴がはびこると、不合理なものがまかり通るクソ社会になるというわけだ。

2012-05-20 22:27:39
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9.原発問題は、原発の不合理さを検証することも大事だが、不合理な原発をやめられないこの社会を変えることのほうがもっと大事だと宮台はいうのである。では、どうすれば変わるか。「きみがモテれば、社会は変わる。」と宮台は喝破するのである。

2012-05-20 22:28:54
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10.つまり、本書はモテる為のハウツー本ではない。冒頭で「現状ではモテてないよね」と挑発をしつつ、このクソ社会を変えるために「お前らもっとモテろ。モテなきゃいかん」と宮台はアジテーションをとばしているのである。

2012-05-20 22:29:44
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11.うつろいやすく本質が見えにくいこの社会で、いまの若者は、その場の空気に馴染むように振る舞うことに精一杯で、理想的な人間になるにはどうしたらいいかということを考えられなくなっている。しかし、そんな奴はモテるはずがない。

2012-05-20 22:31:44
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12.モテる奴とは、自分の内側から沸きあがる力(内発性・徳)に従って行動する奴のことだ。こういう奴には人がついてくる(感染的模倣=ミメーシスを呼び起こす)→徳のある奴、モテる奴がどんどん増える→社会がよくなる。以上が、ものすごーく乱暴に俺が要約した宮台の主張である。

2012-05-20 22:33:01
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13.で、いまから、これから映画を作っていこうという人に向けて、このキミモテ理論を映画に応用する。「君の映画モテてるかい、モテてないよね。モテない映画がはびこっている映画界は駄目だぜ」という風に言い直してみよう。

2012-05-20 22:33:34
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14.日本映画界はクソだという意見はよく出る。しかし、変わらない。その理由の一つは、とりあえず大手の製作委員会は経済的には回っているからだ。儲かっている以上は変える必要はない。そうして経済を最優先させた結果として、映画村(映画の作り手達が集う共同体)はどんどん脆弱になっている。

2012-05-20 22:35:58
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15.「いやいや映画はまずビジネスだ、まずは当たる映画を作らねば」という同調圧力には抗いがたい。プロデューサーが企画を通すときに、社内や出資者の空気を読み、キャスト、原作、宣伝販促等において反対されないものを企画することが重要になる。こうして映画は作品ではなくネタ化する。

2012-05-20 22:37:16
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16.しかし、小さなインディーズ映画、特に自主映画の人間は作家がプロデューサーのようなものである。こういう映画ほど、「こんな映画を作ればこう褒めてもらえそうだ」という空気なぞ読まずに、自分の内側から沸きあがる力で映画を作るべきだと俺は思う。

2012-05-20 22:38:17
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17.その際に、ただ感情を吐露するだけでは駄目だ。観客を意識し観客にどのように訴えかけ、観客を揺さぶっていくか(言語的メッセージにとどまらない)という映画的な他者性を獲得すること(表出ではなく表現)が必要となってくるのではないか。

2012-05-20 22:39:40
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18.そして、そのような映画はなかなか当たらないかも知れないが、必ず観客や作家に影響を与える(感染的模倣=ミメーシスを呼び起こす)。その為には、大手の巨大システムに依存しないで、このようなインディペンデント映画を回していくシステム、宮台の言葉でいえば<共同体自治>が必要だ。

2012-05-20 22:41:15
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19.映画はビジネスである。経済である。経済が回らないと映画は止まる。経済を回しながらインディペンデントの映画村という<中間共同体>を回すには、空気に流されることのない一人一人の<自立>と、内から沸きあがる力で作られた作品がまず必要なのだ。

2012-05-20 22:42:12
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20.そして次に相互扶助(=近接性)も重要となる。いい映画をつくったのにヒットしなかったというような失敗があっても次につなげていけるような映画業界にしていかなければならない。厳しい状況だが、これからの映画の作り手は「自分さえよければいい」という考え方は禁物だ。

2012-05-20 22:43:58
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21.プロデューサーも、原作とキャスティングなどのマーケティングのスペックで映画を計測するだけではなく、観客にどんな価値を与えるのかを真剣に考えること、<他者性>も大事になってくるだろう。

2012-05-20 22:45:06
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22.批評家も、映画のコラムを「うまく」書くのではなく、その映画のどんな価値を観客に届けるのかという<他者性>をもち、内発的な力を意識しつつ書けば、インディペンデントの映画業界を好転させることに繋がるだろう。

2012-05-20 22:47:55
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23.場当たり的に空気を読んだ企画で「うまく」当てようとするよりも、内から沸きあがる力=内発性に促されて「まともな映画」を届けることこそが、「モテる映画」を作ることに繋がり、それが映画業界をまともにすることに発展する。宮台真司の「きみがモテれば、社会は変わる。」を俺はこう読んだ。

2012-05-20 22:49:07