ハートネットTV「シリーズ貧困拡大社会(4)“貧困の連鎖”は断ち切れるか」書き起こし・ほぼ完全版

NHK・eテレで放送されたものを文字起こししています。 進行:山田賢治アナ ゲスト:あさのあつこ(作家)     湯浅 誠(反貧困ネットワーク事務局長)
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冒頭のVTR

とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> いま日本に急速に広がりつつある貧困について考えていく、シリーズ「貧困拡大社会」。5月は子どもの貧困問題について考えていきます。きのう取材したのは、厳しい状況に追い込まれている生活保護世帯の子ども。

2012-05-22 17:25:10
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> これまで見過ごされてきた子どもを救おうと、新たに始まった支援の現場を見つめました。 2日目の今日は、貧困が親から子どもに広がるのを防ごうとする、画期的な取り組みに密着します。仕事や健康状態そして親子関係など、複雑な問題を抱える家庭環境から救うため、

2012-05-22 17:32:25
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> さまざまな分野から専門家が集結、チームで継続的な支援を行っていくというものです。親から子どもへの貧困の連鎖を断ち切ることができるのか。支援の最前線からの報告です。

2012-05-22 17:40:50

ここからスタジオです

とし @toshihiro36_sub

山田:こんばんは、シリーズ貧困拡大社会、今月は子どもの貧困についてお送りしています。ゲストは昨日に引き続き、作家のあさのあつこさんそして反貧困ネットワークの湯浅誠さんです。昨日は生活保護世帯の子どもについて見てきましたが、あさのさんどうご覧になりました?

2012-05-17 16:27:04
とし @toshihiro36_sub

あさの:本当に自分が何も知らなかったということについて、あるいは知ろうとしなかったことについて、すごいショックを受けました。それと同時に子供が前を向いて生きていこうとする力とか、それを支えようとする大人たちの取り組みに…こういうのを希望というのかなと考えています。

2012-05-17 16:30:52
とし @toshihiro36_sub

山田:湯浅さんはどうご覧になりました?

2012-05-17 16:37:26
とし @toshihiro36_sub

湯浅:残念ながら現状は、多くの人が思っているより深刻になってしまっているので。私はこれは社会の持続可能性の問題だと思っているんですけれども、日本社会がこれから何十年先にもまわっていくためには、子供がちゃんと育てられる環境…家庭だけではなく社会環境を整えなければと思いましたね。

2012-05-17 16:42:12
とし @toshihiro36_sub

山田:さて、今回は親から子への貧困の連鎖を、どう断ち切っていくかについて考えていきます。実はこれまでにない方法で成果を上げている支援活動があります。その取り組みに密着しました。

2012-05-17 16:54:02

VTRが流れます

とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 大阪府豊中市、ここに支援組織パーソナルサポートセンターがあります。パーソナルサポートとは一人一人の状況に応じた、きめ細かな支援を行う国のモデル事業で2年前に始まりました。

2012-05-17 16:58:37
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> このセンターには自治体の支援機関では解決できないような、困難なケースの相談が寄せられてきます。最近特に増えているのが、複雑な事情を抱える家庭の子どもに関する相談です。経済的な問題に加え虐待や病気など重なり、対応が難しいケースが多いといいます。

2012-05-17 17:03:13
とし @toshihiro36_sub

センター職員:状況としては母子家庭のお子さんで、生活保護受給家庭です。母親とお兄ちゃんから「働け、だらだらするな」と責められて、お兄ちゃんから暴力を受けることもあると言っています。家族問題からストレスが非常に強くて、不眠を訴えていました。

2012-05-17 17:09:19
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 子どもを救い出すためには、少しでも早く支援につなげることがカギとなります。貧困の連鎖を断ち切る有効な手立てはないか、センターでは検討を重ねてきました。

2012-05-17 17:13:40
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 子どもに関する相談が最も多く寄せられてくるのは、市内の定時制高校(府立桜塚高校・定時制)です。センターはここで新たな取り組みを始めることにしました。4月、新学期の最初の授業にスタッフが招かれました。実は学校の中に出張相談室を開くことになったのです。

2012-05-17 17:19:04
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 授業のある日は常駐し、勉強や健康上の不安さらには家庭のことまであらゆる相談に乗ろうというのです。校舎の2階にあるこの和室が活動の拠点。ここで生徒たちが来るのを待ちます。問題を抱えていても、自分から打ち明ける子どもはほとんどいません。

2012-05-17 17:24:21
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> そこで相談室ではあるものを用意していました。 放課後、さっそく生徒が相談室を訪れました。用意していたのはアルバイトの情報。実は求人の紹介も行っているのです。お金を必要とする生徒は、家庭に何か問題を抱えていることがあります。

2012-05-17 17:35:38
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 仕事の話をきっかけに、危険な兆候を見つけ出そうというのです。担任の教師に付き添われてきた17歳の少年は、父親との2人暮らし。生活はギリギリで、すぐにでも働きたいといいます。しかし、なぜか望んでいる仕事は短期のアルバイトばかり。

2012-05-17 17:40:47
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 何か事情があるのではないか。スタッフは少年にセンターの事務所を訪れるよう約束を取りつけました。 少年を出迎えたのは、長年若者の就労支援に携わってきたスタッフです。少年は2歳のとき母親を亡くして以来、家事のほとんどを一人でこなしてきたといいます。

2012-05-17 17:45:22
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 少年の父親は不況で仕事が減少、経済的な理由でより家賃の安い部屋に引っ越しをしなければならないというのです。少年は父親から学費と食費しかもらっていませんでした。大切にしていたマンガとゲームは、すべてお金に換えてしまったといいます。

2012-05-17 17:52:35
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 一度は精肉店のアルバイトもしたことがありますが、人間関係がうまく築けず長続きしませんでした。社会で働く自信を失い、将来への希望を持てなくなっているといいます。

2012-05-17 17:54:46
とし @toshihiro36_sub

少年:仕事が上達しなかったらどうしようとか、職場で人間関係が築けなったらどうしようとか…はじめてやった仕事でそうだったんで、もしかしたら次からもそうなんじゃないかなと不安になります。

2012-05-18 08:42:42