ザ・マン・フー・カムズ・トゥ・スラム・ザ・リジグネイション #3

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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(「ギルドの何を知っている。できるものか……できるわけが無い」ディプロマットは、やや声を荒げた。「徒労に終わるだけだ。そして終着に待つのは死か、死よりもおぞましい結末だぞ」「チャをくれ」ガンドーの目がギラリと光った。「……」ディプロマットはチャをたてた。)

2012-05-22 14:28:00
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(「実際もう始めちまった」ガンドーは言った「やめる、やめないの話じゃねェよ……なァ、それよりお前だぜ」ガンドーはチャを一息に飲んだ。「お前にとって、ギルドってのは何だ」「……」ディプロマットは黙った。ガンドーは続けた。「お前は何を見ている……お前は、何だ?お互い腹を割ろうぜ」)

2012-05-22 14:28:15
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第二部「キョート殺伐都市」より:「ザ・マン・フー・カムズ・トゥ・スラム・ザ・リジグネイション」 #3

2012-05-22 14:28:34
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「IRC盗聴が無いという私の保証が嘘だった……としたらどうする」ディプロマットは言った。ガンドーは見返した。「……マジか」「いや」ディプロマットは首を振った。ガンドーは笑った。「ああ!知ってるぜ。そんな事は。俺は最近冴えてるンだ。アトモスフィアでわかるんだ。アトモスフィアで」 1

2012-05-22 14:34:50
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「どうだかな」「マジだよ。探偵の勘だ、当てずっぽうとは違う。さっきやり合った時、どうもこいつとは腹を割れそうだなッてな。お前さんの話し方、ユーモアの感覚、何か抱えてやがる……何か」数秒の沈黙を挟み、言った。「ピンと来たのさ。ピンとな」 2

2012-05-22 14:39:40
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「要するに憶測ベースだろ。危ない橋を渡る奴だ。信用していいものかな」ディプロマットは己のチャを飲んだ。ガンドーは真顔で答えた。「いいや、危なくも何とも無いさ……俺はニンジャで……ニンジャの眼力で洞察し、動いた。安い賭けさ。さすがにこうしてチャまで飲むとは思わなかったがよ」 3

2012-05-22 14:45:33
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ディプロマットは茶器を置き、無感情にガンドーを見た。ガンドーは言った。「暗殺命令を出したのは、お前さんも当然考えているだろうが、ザイバツ・ニンジャだ。でなきゃ、こうまで易々と俺が入ってこられはしない、そうだろ」「ああ」「勿論、俺の探偵の経験にニンジャ隠密力を掛け……まあいいや」4

2012-05-22 14:51:32
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ディプロマットは呆れたように笑った。「しっかりしろよ」「昔からそう言われ続けて、結局この有様。今更直らんぜ」ガンドーは菓子をもう一つ食べた。「だが、こういうのは巧言で繕っても仕方ねェ。要するに俺という人間をだな……」「ああ、ああ」ディプロマットは遮った。「それでいい。観念した」5

2012-05-22 15:13:54
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「よし」ガンドーは莞爾と笑う。「始めようぜ。暗殺依頼者はグラッジと名乗った。偽名だ。情報は最小限。ギルドの誰だかわからん……」「ああ」ディプロマットは頷く「わからんのなら、構わんさ」「その顔だよなァ」ガンドーが言う。「お前のその、ジゴクの底でハナミを決め込んだような……」 6

2012-05-22 16:20:37
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「今度はポエットか」「教養が滲み出ちまうのさ」ガンドーは言った「お前、まるで自分の事がどうでもいいって様子でよ……」「そうだな」ディプロマットは頷く。「なかなかだ。探偵殿。勘にしては良く捉えている」「只の勘じゃねえ、観察眼だ」「親の仇を探していた」ディプロマットは直裁に言った。7

2012-05-22 16:30:34
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「仇か」「両親は私と弟の10歳の誕生日に殺された」ディプロマットは言った。「だが、私達は生き残った。命を救われたのだ。ニンジャに……ザイバツ・シャドーギルドに。ニンジャの名は、イグゾーション。グランドマスター位階のニンジャ。故人だ」……ガンドーは静かに、深く息を吸った。 8

2012-05-22 16:41:55
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「恩義があるか」「……」ディプロマットはチャを口にした。「我々にはその時既にニンジャソウルが宿っていたようだ。ギルドは我々の才能に興味を抱いた……イグゾーションは言った。訓練を積み、ニンジャとなれば、復讐など容易いと」ディプロマットは器を置いた。「明日で12年だ」 9

2012-05-22 16:55:25
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ガンドーはディプロマットの目を、瞬きせずに見ていた。彼はこめかみを掻き、言った。「イグゾーションを殺したのは、俺だ」10

2012-05-22 17:00:20
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「師父の仇!」ディプロマットは声を張り上げた。だが、すぐに床几に肘をもたせかけ、首を振った。「……とでも叫んで、私が襲いかかったらどうした?お前は余程、一か八かの綱渡りを好むようだ」「大事な事だからよ。腹を割るって話だしな」「……」 11

2012-05-22 17:09:14
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「いや、正直なとこ、言って大丈夫だという確信があったからだ。お前さんの目と、奴の名を口に出す時の……なんだ……アトモスフィアよ」「またそれか」ディプロマットは肩をすくめた。「だが、その判断は正しかった」「だろ?俺はここのところ、冴えてるんだよ」ディプロマットは鼻を鳴らした。 12

2012-05-22 17:12:09
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「しかし、なんだ……若いんじゃねえかとは思ったがよ。まさか22とは。しっかりしてるぜ実際」「驚いたと言うわけか?お前は逆に、歳の割に大概よな」「尚更お前のアトモスフィアが気になるッて事さ!キツい生い立ちはわかったが、ジゴクでハナミをするにゃ、まだ話は半分だよな……」13

2012-05-22 17:48:21
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「ポータル・ジツをマスターしたのち、私と弟はザイバツ・シャドーギルドの尖兵となった。ポータル・ジツは我々にしか用いる事ができぬジツであり、使い様によってはムーホンの種となる。ゆえに、厳重に管理された。それが例えばこの庵だ」「成る程」「不自由の無い鳥籠さ」 14

2012-05-22 17:53:15
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「鳥籠ねえ」ガンドーは言葉を探した。「で……弟が?」「ネオサイタマだ」ディプロマットは答えた。「ネオサイタマとガイオンを時間差無く繋ぐポータルは、ソウカイヤ制圧の要となった。ギルドは我々に不自由の無い地位を与えている。なおかつ、普段は引き離された互いが、互いの人質だ」「人質」15

2012-05-22 18:24:15
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「そう。人質だ」ディプロマットは言った。「ギルドは我々を信頼していない。アラクニッドのように。道具さ」「アラクニッド?」「だが、それでも構わなかった。カラテを鍛え、ジツを鍛え、師の元で力を蓄え、いずれ仇を探し出す……そう馬鹿正直に信じ、疑念を殺した12年。つくづく愚かな事だ」16

2012-05-22 18:35:08
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次第にディプロマットの瞳は熱を帯び、言葉の調子は堰を切った濁流めいた。「バカで、無邪気なガキだったのさ。やがて俺達は薄々その可能性を検討し始めた。可能性を。密かに。密かにな……俺はこの庵を殆ど離れる事が無い。なのにお前の事も知っていた。何故?わかるか?わかるんだよ」「……」17

2012-05-22 18:40:40
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「この牢獄へ思い出した頃に訪れる、猜疑心の塊のグランドマスターどもが教えてくれるか?違うさ。俺とあいつは手掛かりを探し続けた。密かに。あの日の事。ロクに残っちゃいない。大昔さ。まだガキだった頃の!しかも隠滅された記録だ!わかるか?」「オイオイ、聞いてるぜ、聞いてるがよ」 18

2012-05-22 18:49:38
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ディプロマットは笑い出した。「ハ!ハ!ハ!両親を殺ったのはザイバツ・シャドーギルド……イグゾーションだよ!俺とあいつのジツに目を付けていた!最初からな!なのに俺達は……俺達は12年、何をやっていた?強くなる?笑わせるなよ!……笑わせるな」タタミに両拳を突いた。「笑わせるな」19

2012-05-22 18:55:09
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ディプロマットはもう一度、タタミに拳を叩きつけた。下を向いた彼の表情は窺い知れぬ。背中が震え出した。「笑わせるな」「……」ガンドーは何か言いかけ、口を閉じ、頭を掻いた。「アー……まあ何つうか」彼は嗚咽するディプロマットの肩に手を置いた。「まあ、な」若者は声をあげて泣き始めた。20

2012-05-22 19:00:55
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2012年5月29日
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