ANIME研究者・久美薫氏の統計学からみる『アニメーター労働白書2009』

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「統計調査にあたり、母集団に対してどの程度のサンプルを取れば信頼できる結果が取れるのでしょうか。」http://t.co/q9HiV1vd

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「1億人の意見を調べようとすれば2000人の意見を調べたらもうそれで十分だかららしい。さらに言うと，10万人の意見を調べるのも2000人で十分なのである。」http://t.co/fbeEwGqZ

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「なぜ2000人でいいかと言うと，そういう計算式と言うか統計処理方法があるからである。これに基づくと，1万人の世論調査に必要なサンプリング数は1300人ほど，10万人で1500人ほどであり，それ以上はいくら母集団が増えてもサンプリング数は1500でよいと言う結果になる。」

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今日目を通してきた『アニメーター労働白書2009』によると、日本国内のアニメーターの総数は4,000人ぐらいだそうです。そのなかから728人の回答を得られたのが2009年の実態調査。（同白書p.8より）

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信頼度を95%、許容できる誤差の範囲5%に設定して計算すると（EXCELに関数を設定してぽぽんのぽん）4000人のアニメーターの実態調査には350人ぶんの回答があれば有効。JAniCAが集めたのは728人ぶんでしたねー。

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射的に喩えると「信頼度」は「100回矢を放って何回的に当たるか」で、「許容できる誤差の範囲」は「的の直径」。http://t.co/axDYRL3C　なるほど。

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なんでこんな地味な計算をするのかというと「あの調査は偏った分析結果がでるよう、わざと調査対象を選んでいる」と一部から声が聞こえたからです。

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中堅~ベテランで稼ぎのいい（つまり腕がいい）人たちをあえて外した調査ではないか？という声を聞きました。

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でもこうやって素人ながら計算すると、その恐れはないんじゃないかと思います。

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ただ、中堅~ベテランは年齢でいえば40代とそれ以上の方々です。同白書のp.22の棒グラフによると調査サンプルのうち40代が145人、50代が36人、60代が3人。（あと無回答が20人）

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この数字が母集団つまり日本国内のアニメーターの年代ごとの人口に比例すると仮定すると、日本には40代、50代、60代のアニメーターがそれぞれ796人、196人、16人。

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それぞれ必要なサンプル回答数は260人、130人、15人…れれれ私の計算ミスか？

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計算ミスではなさそうです。

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私が何か計算ミスをしている可能性は、あります。（あったら指摘してください）　でもこの計算がもし正しいとしたら、2009年のアニメーター実態調査は40代以上の方々についてはサンプル不足、すなわち分析結果は不正確だと結論せざるをえません。

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私の間違いであってほしいのですが…

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中堅~ベテラン層の一部から「実感とずれる」「わざと偏った層に調査用紙を配付してないか」の声があがったのも、あるいは故なしとは言えないのかもしれません。

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実態調査の関係者が中堅~ベテラン層についてわざとサンプル数を少なくしたのではない、と思います。とにかく手当たり次第に調査用紙を配付し手渡し声をかけ、集まった回答を回答者の年代ごとにまとめたらこうなってしまったのでしょう。

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この『白書』はざっと目を通しただけですが、年齢（正しくは年代）別の分析はあまりやっていないようです。

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分析の一部がネットで読めます。http://t.co/4nCq5CVN　年代別の分析はそんなにはなされていないのが分かります。『白書』ではもっと少なかったと思います。

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『白書』は残念ながら落第点、だと思います。

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「分析が当てにならない」と切り捨て御免してるのではなく、一部に統計数学的不備があるのを分析者は（おそらく）知っていて、それを白書のなかで触れないのは正直どーかなーの意です。