難民と日本人支援者のすれ違い―ビルマ難民の取材から

Aceface @Aceface4ever

95年ごろビルマ人難民を取材していたとき、高円寺にあるビルマ難民が住んでいるアパートを訪ねたことがある。驚いたのはそのアパートの住民は一人（日航のＣＡ）以外は全員ビルマ人難民だった。法務省から難民認定もされていな彼らに部屋を貸すのはどんな奇特な人物なのか。

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聞いてみると家主は戦時中ビルマ派遣軍にいて今も「ビルマ会」という軍人会に所属しているという。「ビルマ会」はネ・ウィン支持のロビー活動しているのでも有名だった。アパートの住民の多くは反ネ・ウィンであることはいうまでもない。

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そのアパートには日本で民主化運動をしているＮＬＤ党員がいたので話を聞きに行ったが、取材の最中に突然帰国。挙句の果てには政府系メディアに帰順の意思を表明してしまった。祖国ではエリートでも日本では弁当工場で働く、という落差に耐えられなかったらしい。

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しかたなく、別の民主化運動をしている若者を探して取材を続けることに。その過程で彼の難民認定を支援している弁護士に出会った。事務所にいっているとビルマ難民と並行して彼の手掛けている訴訟を知ることができた。

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この弁護士は当時はまだ左翼とみられていた小林よしのりＶＳオウムの裁判とか、中国人による民間戦時補償問題関連の訴訟にもかかわっていた。南京虐殺の被害者から重慶爆撃の被害者まで様々。ちなみに原告は童増。

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その弁護士はほとんど持ち出しでこの手の訴訟をたくさん手掛けていた。取材の途中で喫茶店に行ったら、難民認定希望のビルマ人青年のコーヒー代まで彼が払っていたことが強く印象に焼き付けられた。

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しかしこのビルマ人青年、取材の最中に、突然大使館に出頭して自分も帰国したい、と言い始めた。昨日まで転向したほかのビルマ人を罵っていた彼の変わり身の早さに驚きつつも、弁護士と相談してメディアも一緒なら彼の安全が保証されるかも、ということで品川のビルマ大使館まで同行することに。

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ビルマ人青年によれば「日本にいても未来はない。それより故郷に残してきた恋人と結婚して人生やり直したいとのこと」難民を難民として認めない法務省の姿勢を考えれば、それも致し方ない、と思いつつもなんか割り切れない思いが残った。

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ところがこのビルマ人青年、帰国後になんと日本人女性と結婚、配偶者ビザで再来日。今は新大久保でビルマ雑貨屋を開き、別のビルマ人を運転手として雇い、ベンツを運転させている。

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難民の政治というのは難しい。そもそも母国の政府とソリがあわず外国に逃げ出そうというタイプはアクが強いうえに、異郷では金や人間関係のトラブルが深刻化しやすい。まして外国人が住みにくい日本では。

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当然難民の政治活動は日本人のパトロンが必要になる。それが右翼の元軍人か左翼の弁護士かになるかはひとえに偶然だろう。向こうにしてみれば、利用できるものは利用する、ぐらいの考えでしかない。しかし、日本人の方は自分たちの思い込みや理想を彼らに仮託する。当然両者のギャップは広がるばかり。

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日本人支援者と難民サイドの政治意識と価値観がシンクロすることを期待するのは千年河清を俟つがごとし。同床異夢は避けられないと思われ。

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今回の世界ウイグル会議の東京開催と日本右派の関与についてもそうした視点から小生は見ている。別に中国崩壊を誘発させてウイグル人を独立させろ、とか在特会のロジックを是認する、などというつもりはまったくない。

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今回の世界ウイグル会議の東京開催と日本右派の関与についてもそうした視点から小生は見ている。別に中国崩壊を誘発させてウイグル人を独立させろ、とか在特会のロジックを是認する、などというつもりはまったくない。

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ただ「右翼と手を結んだからラビア・カーディルは・・」っつうのは本末転倒だと思われ。