- toshihiro36
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冒頭のVTR
<ナレーション> 山梨県で幼い子供たち84人が被曝していた。原因は原発ではない。医療の現場で起きていた。 去年9月、市立甲府病院で12年にわたって放射性検査薬が過剰に投与されていた事実が発覚した。検査薬の投与を任されていたのは一人の放射線技師。その量は推奨量の最大40倍にもなる。
2012-05-28 05:13:08<ナレーション> 1歳の男の子が検査を受けたのは生後4カ月。投与された薬の放射線量は、大人の基準値を3倍以上上回る600メガベクレルだった。いまは健康に異常はないが、放射線の影響は何年先に現れるかわからない。
2012-05-28 05:17:17<ナレーション> 技師は自ら命を絶った。放射医学の現場は、なぜ放射線技師一人に任せきりにされてきたのか。12年間の過剰投与はなぜ行われ、なぜ誰にも止められなかったのか。取材と証言から浮かび上がってきたのは、全国の放射線医療現場に共通する課題だった。
2012-05-28 05:22:05ここから本編です
被害者家族:何が起きるかわからないじゃないですか。それは怖いですね。しかも今じゃない。このことが大きく騒がれている今じゃなくて、何十年も先ってなった時に、親の方が先に死ぬのが普通なので…自分が生きているうちに何とかしてあげれるんならいいですけど。
2012-05-28 05:30:45被害者家族:自分がいなくなってからこの子にもし何か起こったらと考えると、だいぶ不安ですね。生活の動きはそんなに変わらないのかもしれないけど、気持ちとしては一変したと言ってもいいくらい。
2012-05-28 05:34:40<ナレーション> 子供は大人より2倍から3倍、放射線の影響を受けやすいとされる。しかし病院は「被曝量は少なく、心配はない」と説明を繰り返した。
2012-05-28 05:37:32被害者家族:被害者なのに、加害者みたいに今だに放射能が出ていると思っている方もいるという話もちょっと聞いたりもしたし。あとは検査にいった時に、「あの子が、ほら内部被曝の」と言われたという話も実際聞いてます。悪気がなくても、「被害者なんですよね」と言われるだけで傷つきますよね。
2012-05-28 05:42:41<ナレーション> 半減期が6時間と短いテクネチウム。この放射性物質とある薬品が結合した検査薬は、体内で特定の臓器に集まる。この性質を利用して臓器の状態を調べる検査が、RI(ラジオアイソトープ)と呼ばれる核医学検査だ。
2012-05-28 05:47:44山梨大学医学部・荒木教授:(検査薬を)たくさん投与すれば1秒間に検出できる放射線が多いので、短い時間で画像ができる。同じ画像だったら、短い時間でできるということです。
2012-05-28 05:50:24<ナレーション> 国は一般人の被曝線量を年間1ミリシーベルトと定めているが、医療被曝に法律の上限はない。治療や検査のための被曝は、患者の利益とみなされるためだ。必要以上の被曝を防ぐため、放射線の専門家でつくる学会も、2000年から推奨投与量を定めている。
2012-05-28 05:55:09<ナレーション> ところが84人の被害者の多くは、腎臓の検査を受けた乳児と幼児。問題の放射線技師が調合した検査薬の放射線量は、最大で推奨投与量の40倍だった。子供たちが受けた全身の被曝線量の平均は、およそ30ミリシーベルト。
2012-05-28 06:01:22<ナレーション> 中には被曝した量の合計が180ミリシーベルトに達する子も含まれていた。大人の場合、全身の被曝線量が100ミリシーベルトを超えると、ガンのリスクが0.5%高まるといわれている。事態を重く見た警察は、病院と放射線技師の自宅を家宅捜索。
2012-05-28 06:06:07<ナレーション> 医師以外の人間が薬の量を決めることを禁じた医師法に違反する疑いがあるとして、異例の強制捜査に乗り出した。 「身体を動かす子供の画像を、短時間で撮りたかった」渦中の放射線技師は、過剰投与の理由を警察にこう供述した。別の医療機関の放射線技師はこの問題をどう見たのか。
2012-05-28 06:11:29山梨大医学部・荒井:本当に投与したのかどうかも、僕らは信じられないというか信じたくはない。よく放射線の検査は天秤にかけるというんですよ。被曝をさせてまで、より有益なものが得られるかというのが一番。
2012-05-28 06:15:10<ナレーション> 放射線の影響には一度に強い放射線を浴びて起きる急性障害と、少ない量の被曝でも将来ガンなどを引き起こす晩発性障害の二つがある。今回の過剰投与問題で不安視されるのは晩発性障害だ。
2012-05-28 06:19:43<ナレーション> しかし専門家の意見は、被曝した量がどんなに低い値でも一定の率でガンのリスクが増すとする説、一定量以下なら全く影響がないという説、真っ二つに見解がわかれている。まだわかっていないことの多い放射線の領域では、放射性検査薬の扱いは専門性の高い技師に負うところが大きい。
2012-05-28 06:25:03<ナレーション> 問題の放射線技師は、増やした検査薬の量が監査で発覚しないよう少なく記録していた。3237…その数字は被害者の腎臓から出た放射線の量。過剰投与を裏付ける証拠だったが、専門の技師ではない医師が見抜くのは難しい。
2012-05-28 06:30:22市立甲府病院・小沢院長:私どもは400床の病院ということで…その規模だとRI検査が必要なんですね。山梨県内に1~2名しかいない専門の放射線技師しかわからないこともあるという状況でやっていかなければいけないのは、非常に厳しい問題を抱えている…
2012-05-28 06:38:23<ナレーション> 問題発覚の1年前に市立甲府病院の別の部から、放射線部長に着任した野方容子医師。去年4月、若い医師の会話を偶然耳にしたことが、過剰投与に気づくきっかけになった。
2012-05-28 06:43:08