武雄新図書館構想 歴史資料館の問題

5月4日夕方の会見

18分35秒から再生:

記者：はい。えっとですね、業務の範囲、基本的なことなんですけれども、歴史資料館と企画展示室がありますが、

市長：はい。

記者：その、貴重な文化財があるというのも知ってますけども、ああいう物管理とか含めて、どういった業務の、内容ですね、範囲っていうか、そこを教えてください。

市長：はい。基本的にはですね、図書館業務を委託をしようと思っています。そして、例えば今の企画展示室であるとか、蘭学館であるとかの部分について、私とすればね、これはこれからちょっと議会とも相談をしますけれども、私とすれば、広く市民の皆さん達に使っていただきたいと思っていますので、そういう企画展示室であるとか、蘭学館の機能というのは、新たに作りたいと思います。

記者：新たに作るんですか？

市長：いや、だから新たに箱を作るか、今庁舎、庁舎その物の検討に入ってますよね、横尾さん。

記者：はい

市長：なんで、その中に機能として入れ込むかということ。

記者：図書館に置かないって言うんですか？

市長：その可能性もあります。

記者：あー

市長：図書館に置くにしても、例えばあそこの職員の駐車場ってもの凄い広いんですね、後ろ側の。
そこに新たに美術品とか、鍋島家のね、収納の物を入れ込むということも選択肢の一つとして考えています。

記者：庁舎改築と併せて、検討するっていうこと？

市長：そうですね。
これはもう文化財の担当、あ、あの市民のね、文化大臣にはもう話をしています、この話は。
要はね、今のままだったら図書館としても、企画展示としても、保存としても中途半端なんですよ。
ですので、それはしっかりやっぱりこう分けるのが時代の要請だと思っています。
ただね、これは議会とかでも色々な意見がありますので、それはこれからちょっと、いろんな話をしていきたいと思いますけどね。

5月4日 佐賀新聞報道

武雄市立図書館、ツタヤに運営委託計画　21時まで開館/佐賀のニュース :佐賀新聞の情報サイト ひびの

図書館に併設している蘭学館と企画展示室の運営は委託しない。４日に東京と佐賀市で会見した樋渡啓祐市長は「展示室などは新設や市役所庁舎への移転なども考える」とした。

懸念の声

市長のブログ

あとね、武雄市図書館に併設の歴史資料館がどうなるかというご心配も一部いただいていますが、これは鍋島家古文書、蘭学資料等、一級の貴重な資料がありますから、勿論残します。ただ、今の図書館内の場所にあるべきか、これについては、私自身、図書館、展示、そして、保存がどれも中途半端になっていると痛感し、これは少なからずの市民の皆さんからご意見を頂いていますし、また、事務室はあれだけの広さは不要。市民に開放します。この展示、そして、保存に関しては、今、議論を開始した新しい市庁舎（現在のまま耐震、現在の場所に建て替え、新しい地に新設の3パターンで検討）に機能として入れ込むか、今の図書館の裏の広大な職員駐車場に新たに展示＆保存館等を作るかどうかは、これは、これから、議会の皆さんや文化関係者の皆さんと議論して決めていきたいと思っています。

【考察】もの凄い広い広大な職員駐車場

• Google マップ
• Yahoo! Japan 地図
• 武雄市図書館・歴史資料館の平面図 南が上

図書館の裏、南側に確かに駐車場はあります。
しかし、楕円形の蘭学館の面積の建物を新たに置こうものなら職員がクルマを駐められなくなってしまう程度の、とても「もの凄い広い」「広大」とは言えない規模にしか見えません。

5月28日の会見

22分20秒から再生:

市長: あ、それ業務の範囲は第15条に掲げてますよね。第15条に業務の範囲っていうのがあって、で、第15条第1項に、図書館・歴史資料館の利用に関することで、ただし、歴史資料に関するものは除くと、いうことに…で、ここで除く規定をしてるんで、それ以外については、利用、利用に関しては、その歴史資料を除くものについて、やっていただくと。
で。で、ただそうは言っても、括弧2で書きましたけれど、第2項に書いてありますけれども、じゃあその、そこが、置いてあるハコ、ハコですよね。ハコについてそれはいちいち分離することはできないんで、図書館・歴史資料の維持、管理に関することは一体としてやっていただくと、いうことですよね。
で、括弧3はこれ今までちょっと、一般の図書館と違ってうちは歴史資料館と併存してやっている部分がありますので、そこで決めきれない部分については、条例の範囲内でね、範囲内で、市長である私が必要と認める業務っていう風にしています。
で、この細目に従って、今度、業務提携をきちんと行いますので、それは指定管理者の議決の時に、合わせて、そこをこう詰めて行くと、いうことで出して行くということになります。

5月29日 佐賀新聞・毎日新聞報道

庁舎について

老朽化した市庁舎の対策検討へ　武雄市が市民会議設置/佐賀のニュース :佐賀新聞の情報サイト ひびの

市は内部で（１）現庁舎を耐震補強（２）現在地で建て替え（３）移転して建て替え－のいずれかで検討している。
合併特例債の期限（２０１５年度）から逆算すると、８月末までの意見集約を一つの目標にしている。

武雄市:本庁舎建て替えなど検討へ　７月に市民会議発足　／佐賀－ 毎日ｊｐ(毎日新聞)

これまでに（１）耐震補強工事だけをする（２）現在地に建て替える（３）移転新築する−−の３案が浮かんでいるという。
市は合併特例債で工費を賄う方針。そのためには遅くとも２０１６年度内に工事を終えなければならない。

条例改正案について

武雄市、条例改正へ　市図書館をツタヤに運営委託/佐賀のニュース :佐賀新聞の情報サイト ひびの

改正案によると、管理については、市長が指定する法人・その他の団体に行わせることができるとし、業務の範囲は（１）歴史資料に関するものを除く図書館の利用（２）図書館の維持管理（３）管理運営に関して市長が必要と認める業務－となっている。

【考察】県指定文化財

武雄市の文化財－文化財一覧

県指定(30件)のうち、1、4、6、10、12、13、15、22、26、29の10件の所在地が武雄市図書館・歴史資料館となっています。

県指定であろうとなかろうと貴重な文化財を武雄市長が好きにしてよいわけではないことに変わりはありませんが、いずれにせよ市外の人間が口を出すなと凄めることではありません。

【考察】文化財の維持・管理

28日の会見では建物が一緒なのだからと歴史資料館の運営を委託しないはずのCCCに、歴史資料も管理・維持をさせると言い出しました。

貴重な文化財を実績のない企業、CCCに委ねてもよいのでしょうか。

公立の美術館・歴史博物館（登録博物館・博物館相当施設）における指定管理者制度の導入館の一覧(PDF)

精査はしていませんが、ほとんどがそれらしい財団法人です。「NTT北海道グループ共同事業体」が異彩を放っているようにも見えますが、調べてみると他に数々の施設の指定管理者を任されており、選定理由からも現在では実績に裏打ちされた評価がなされていることがうかがえました。

北海道立釧路芸術館の指定管理者の候補者の選定について (PDF)

図書館を運営した実績のないCCCを選んだのは市民価値のためと市長は言います。それでは、文化財の管理をCCCに委ねるのはいったい何のためなのでしょうか。建物が分離できないからという理由はあまりにも場当たり的に過ぎるでしょう。

【考察】「決まってない」のではなく「考えてない」

4日の会見や6日のブログの段階では、歴史資料館は分離すると言っていました。候補に挙げられた庁舎が形になるまでには、この先3年も4年もかかりそうな勢いです。一方、もの凄い広い、広大と称された図書館裏の職員駐車場は、残念ながらもの凄く広くも広大にも見えはしません。

28日の会見では分離を断念したのか、建物が一緒なのだから運営を委託しないはずのCCCに管理・維持をさせると言い出したのは前述の通りです。その分CCCには、当初言われていた1億4500万円の1割削減よりも余計に支払うことになるのではないかと予想もされますが、その点については何も説明はありません。

市長らは繰り返し「決まってない」「決まってない」と繰り返し、決まってないことに文句を言うなとしています。しかしこと歴史資料館については、新図書館構想で掲げられた数々の市民価値や図書館の改装イメージの域ほどには「考えてない」ようにしか見えません。

市長らはまた、「対案無き文句は愚痴でしかない」と壊れた機械のように繰り返し、礼賛しない人々を中傷してきました。しかしながら、対案以前にそもそもまともな案をまず示していただかないことには話になりません。案無き構想は思いつきでしかありません。

TBS「がっちりマンデー!!」(7月8日追記)

推定収録日は5月終わり頃。

ナレーション: こちら、武雄市図書館は、蔵書数19万冊の立派な施設なんですが、なぜか市長さんお怒りモード！

画面でも「武雄市図書館」。

市長: 雑誌とか、本とかCDとかDVDの――売り場とかレンタル所も作りますから。こっちの方とか

http://twitpic.com/a59kma/full
情報センター脇で「こっちの方」と手振りするその先には、エントランスの向こうに、カフェコーナーを挟んで、蘭学館と企画展示室、つまり歴史資料館相当部分があります。

ナレーション: 来年4月からスタート予定の、新武雄市図書館。

歴史資料館は既になかったことにされているばかりか、来年4月からは名称からもなくされようとしています。

6月議会(7月8日追記)

武雄の人たちがどんな思いで歴史資料館を実現させたのかを語る谷口議員の思いを、市長はまともに答弁しようともせず、踏みにじります。

市長はまた蘭学館について、「多い時で週に10人ですよ！そのために、莫大な維持費をね、かける必要性がどこにあるんでしょうか」と軽視のほどを隠しません。

蘭学館は取り壊し(7月8日追記)

那須町長が武雄市図書館・歴史資料館を視察しました。
http://www.facebook.com/photo.php?fbid=384021928329162

写真の（蘭学館」は取り壊し、CDなどの視聴覚室にするという。
また、このスペースの隣には、新たに「コミュニティＦＭ」を開設するという。
その手筈も既に済んでいる。

何だかんだ言って結局、こういうことでした。

7月12日 佐賀新聞報道

武雄市図書館、５年委託料５億５千万円を提案へ/佐賀のニュース :佐賀新聞の情報サイト ひびの

図書館内にある企画展示室は残すが、蘭学館はこれから検討する。

那須町長への説明と矛盾していますね。
本当にこれから検討されるのでしょうか。
がっちりマンデーでは既に「こっちの方」とまで言っているというのに。