黒葛原歩弁護士による河本準一さんの問題を中心とした生活保護についての分析  #生活保護 #不正受給 #ナマポ #吉本興業 #河本準一 #河本 #片山さつき #世耕弘成

黒葛原歩弁護士が、お笑い芸人河本準一さんの母親の生活保護の受給が、片山さつき参議院議員や世耕弘成参議院議員、マスコミが騒ぐように不正受給であるかについて、法的に分析するとともに、生活保護を取り巻く問題について指摘した一連のツイート
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takitahiroki 14348view 1コメント
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  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 17:44:12
    河本準一の生保問題を巡り,マスコミ各所で平気で「不正受給」という用語が使われており,あろうことか政治家までもが平気で不正受給と言っている。ここらで一遍,整理してやりたい
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 17:45:10
    まず生活保護法の規定を確認しよう。生活保護法4条2項では「民法 に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」と規定されている。
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 17:46:28
    いまひとつ重要なのは,生活保護法4条3項で,「前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。」とある。ゆえに,扶養義務者が存在している場合に,生活保護を実施すること自体が禁じられる訳ではない。
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 17:49:15
    さて,では扶養義務者の扶養確認は生活保護実務でどのようになされるか。役所では,生活保護の申請の際,必ず民法上の扶養義務者の確認がなされるし,必要に応じて戸籍等による確認もなされている。その上で,扶養調査が行われる。
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 17:51:13
    扶養義務の扱いについて当局がどう解釈しているかというと「民法上の扶養義務を直ちに家庭裁判所に申し立てるなどして法律上の問題として取り運ぶことはその性質上なるべく避けることが望ましく,努めて当事者間における話合いによって解決し円満裡に履行させることが本旨である」とされる
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 17:51:44
    先の引用は「生活保護手帳別冊問答集2011」140頁より。
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 17:54:35
    ゆえに,役所としては,扶養義務者に対する扶養照会は行うが,扶養義務者による任意の扶養がなされない場合に,被保護者に対して直ちに家事調停のような法的手段を採るよう指導することはないということになる。
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 17:55:52
    民法上の扶養義務者が任意に扶養を行わない場合には,被保護者の生活水準が最低生活以下であれば,保護を開始すべきということになる
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:02:00
    これは「過去の扶養料を請求できるか」という問題として把握できる。法的に過去の扶養料を請求できないなら,そもそも過去に遡って保護費を返せということもできないということになる。
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:02:57
    これについては裁判例がある。「元来,扶養は自己の資産又は収入によってはその生活を維持できない者に経済的給付をなすものであって,扶養に関する権利,義務も時々刻々に発生,消滅するものであり,過去の生活についての扶養ということは観念できず,また不必要でもある」(続)
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:03:30
    「他方で,過去の扶養料の請求を一切否定することになれば,扶養義務者が少しでも履行を遅延させることにより義務そのものを免れるとの不当な結果を招きかねない。」(続)
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:04:39
    「それゆえ,扶養権利者(あるいは他の扶養義務者)からの請求の時を基準にして,その請求により義務者が遅滞に陥った以後の扶養料は過去のものでも請求することができると解するのが相当である。」(東京地裁平成17年2月25日判決)
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:13:49
    勘違い,法63条じゃなくて,77条の方だ
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:15:30
    しかし,そもそも被保護者自身による過去の扶養料請求が民事上認められないのに,保護実施機関による費用徴求権があるっていうのも変だわな。
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:19:02
    ただ,厚労省通達は被保護者に審判・調停をさせることについて極めて消極的である。「扶養義務に関する…調停の申立ては…保護の実施機関として誠心誠意の努力をつくしたにもかかわらず相手がこれに応ぜず…親近関係…交際状況、収入、資産等の諸事情を検討した結果,十分扶養能力があると」(続)
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:20:48
    「判断される場合に,はじめて問題とすべきものである」(問答集2011・148頁)。そもそも,近親者が扶養をしないという場合,背後に何らかの事情がある場合が多いであろうから,この通達の見解そのものは妥当というべきだろう
  • 弁護士 野田隼人 @nodahayato 2012-05-25 18:18:14
    @ATsZRA いわゆる「養育費」の場合,過去にさかのぼって不当利得構成で請求できるという裁判例があり,それと生活保護法上の返還請求は平仄はあうのですが…。
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:23:00
    @nodahayato それは,過去に請求してなくても不当利得として取れるというものですか?私は、それだと現実の扶養と切り離されすぎる上に、義務者に対する甚だしい不意打ちになるので、司法的手続でなくとも「請求」を先行させておく必要があるはずだと理解していたのですが
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:24:23
    @nodahayato なお、先ほど引用した平成17年の東京地裁判決についても、こうした見地に基づくものと理解しています
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:31:07
    これら法令通達に鑑みれば、扶養照会がなされたが諸般の事情で扶養義務が履行されない場合に保護が実施されること自体は,実務的には織込み済みの事態というべきで,この場合の被保護者の生活保護受給が不正受給というのは明らかに言い過ぎだと思う(少なくとも,どこも法規・通達に違反してはいない)
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:35:24
    明らかに扶養能力のある者が,正当な理由なくして扶養をしないという場合については,社会福祉主事が調停申立の代行をしてよいという通達もある(生保手帳2011・170頁)。河本事案ではそこまでの状態ではなかったようだが
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:37:45
    法77条2項による費用徴求(保護実施機関自身による家裁への申立)は,本当に最後の最後に抜く伝家の宝刀とされているようだ。扶養というのは家庭内のデリケートな問題だから,なるべく公的機関自ら立ち入ることのないように,という配慮なのだろう。これも正しい考え方だと思う
  • 弁護士 野田隼人 @nodahayato 2012-05-25 18:37:55
    @ATsZRA 「未成熟子に対する生活保持の義務は、請求をまつてはじめて発生するものではないから、相手方は、本件申立以前の分についても支払の義務がある。」という判断です。扶養義務者Aによる扶養の事実を知らなかった扶養義務者Bが求償を受けることとの均衡はどうなるのでしょうか?
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 18:53:51
    @nodahayatoその場合の求償は審判事項であり(最判昭42年2月17日),生活保護法77条2項において扶養料の徴求が家裁の審判事項であることとパラレルになると思います。審判の際,過去に請求の事実があったか否かは負担額の形成に当たり重要な事実となるのではないでしょうか
  • 黒葛原 歩 @ATsZRA 2012-05-25 19:00:38
    扶養照会を扶養権利者による扶養料請求と同質とみるかという問題もあるが,多分これは同質とみられ得るのだろう(裁判所はそういう判断をしそう)。ただ,保護開始時に扶養義務者に扶養能力がなかったが,後に扶養能力を得たという場合に,最初から全部徴求できるというのはやり過ぎのような気がする

コメント

  • たられば @tarareba722 2012-06-05 18:12:34
    素晴らしい。ツイート&まとめお疲れさまでした。今後「河本氏の母は不正受給ではない。詳しくはここを参照」と言えますね。こういう「知」の蓄積はwebの最も得意とするところだなあ。

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