若者の離職率に関するNHKの事実誤認とそれに関する解説 by 上西充子・法政大学准教授
NHK及び河合薫氏の事実誤認について
nhk「日本新生」6/2のテーマは「働き方」.http://t.co/R6Oj9txA ここに「一昨年、大学を卒業した人の52%が就職できない、または離職」とあるが、これは河合薫氏(@日経ビジネスオンライン)と同じ事実誤認!
2012-05-29 08:23:48前にも書いたのだが、この52%の出所は、雇用戦略対話WG第1回資料4の最初のページ。http://t.co/AjDwEewg ここに書かれてある離職状況は、3年後の「推計値」であって、一昨年から現在までの2年間の調査結果ではない。
2012-05-29 08:26:37河合氏にしてもNHKにしても、発信力は大きいのだから、意見は多様であってもせめて事実誤認はやめてほしい。日経ビジネスオンラインhttp://t.co/83GEHz1B にはコメントで事実誤認を指摘したが無視されている。お問いあわせにも改めて問い合わせてみるかな。NHKにも。
2012-05-29 08:31:13↓ 「内閣府の推計によりますと、おととしの春、大学や専門学校を卒業した人などのうち、52%は就職できなかったり就職しても早期に自分の都合で勤め先を辞めたりしています。」・・・若者雇用戦略を伝えるニュースで事実誤認してどうするの!!
2012-05-29 08:45:35どちらのニュースにも「古川経済財政担当大臣は・・」とありますが、中継を見ていた人にわかるかどうかはわからないけれど、古川大臣が入室されたのは会議の終了時であり、昨日の会議の議論には同席されていません。批判としてではなく、事実関係として。
2012-05-29 08:54:31あ、本当だ! 私は「おととしの春」というところに事実誤認を認めたのですが、「自分の都合で」も大きな、そして悪質な、事実誤認ですね。ご指摘ありがとうございます。これからNHKに電話します。 @kwmr_posse
2012-05-29 09:08:00どのような事実誤認をしているのか、実態はどうなのか
1:「事実誤認だ」という件、整理して再投。昨日のNHKニュース「政府が若者雇用戦略の原案」 http://t.co/PKVu71fe ここには2つの事実誤認がある。
2012-05-29 10:22:372:問題の箇所はここ【内閣府の推計によりますと、おととしの春、大学や専門学校を卒業した人などのうち、52%は就職できなかったり就職しても早期に自分の都合で勤め先を辞めたりしています。】
2012-05-29 10:22:474:この「内閣府の推計」とは、雇用戦略対話WG(若者雇用)第1回http://t.co/GpHfnVok 資料4の本文1ページ目の推計をさしているものと考える(以下、それを前提に述べる)。
2012-05-29 10:23:095:この推計で52%の根拠となっているのは、「大学・専門学校卒 40.6万人/77.6万人(52%)という、図解右下の計算」。77.6万人がどこから出ているか正確には把握できないが、卒業者85万人から進学者7万人と死亡・不詳の者を除いているのではないかと推測。
2012-05-29 10:23:286:40.6万人は「早期離職(3年以内)」19.9万人+「無業・一時的な仕事についた者」14.0万人+「中退者」6.7万人の合計。先程の母数で中退者はどう扱っているのかは不明。本来は中退者は母数に含めるべき(そうすると52%ではなく48%になる)。
2012-05-29 10:23:417:図解の左上には「平成22年3月卒業生の進学・就職状況」とある。ぱっと見ると、「おととしの春」の平成22年3月に卒業した人やその前に中退した人の52%が、困難に陥っていると見える。しかし、前述の通り、離職については「早期離職(3年以内)」の推計値。
2012-05-29 10:25:168:「3年以内」であって「2年以内」ではない。なのに【おととしの春・・卒業した人などのうち、52%は・・たりしています。】というニュース原稿は、明らかに「2年以内」の推計だと誤認させる。これが第1の問題。
2012-05-29 10:25:269:第2の問題は【就職できなかったり就職しても早期に自分の都合で勤め先を辞めたりしています】という表現。就職した人のうち、あたかも自己都合退職だけを計算に含んで52%という推計値が出てきたかのように読める。
2012-05-29 10:25:3610:しかし、「早期離職(3年以内)」の根拠となっているのは、雇用保険の業務データから計算された3年以内離職率のはず。よく示されるこれ(PDFのp.128)http://t.co/IpJrhbc7
2012-05-29 10:25:4912:「早期に自分の都合で勤め先を辞めたりしています」の「たり」は素直に読めば、「就職できなかったり就職しても早期に自分の都合で勤め先を辞めたり」の「たり」。自己都合以外も含んだ「たり」とは読めない。
2012-05-29 10:26:2113:以上2つの事実誤認を含んだ先程のNHKニュース原稿が受け止め手にもたらす印象は、「2年で52%もの若者が就職できなかったり自己都合で辞めたりしている」というものにならざるを得ない。
2012-05-29 10:26:3514:そしておそらく「就職できなかったり」も「大企業志向の選り好み」などと解釈されて、「2年で52%もの若者が自分勝手な理由でまともに働き続けることができていない」と曲解されていく。
2012-05-29 10:26:49