クローズアップ現代「もう病院で死ねない~医療費抑制の波紋~」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

5月29日に放送されたものを文字起こししています。 進行:森本健成アナ ゲスト:結城康博(淑徳大学准教授)
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冒頭のVTR

とし @toshihiro36

<ナレーション> 心不全で入院していた80歳の男性。歩くことはできませんが、病院から「治療は終わった」と言われ自宅に戻りました。男性は一人暮らし。世話をしてくれる人がいないため、1日1回介護ヘルパーが来ることになりました。

2012-05-29 20:27:01
とし @toshihiro36

<ナレーション> 医療費抑制を推し進める国の施策。いま高齢者が退院を迫られる事態が相次いでいます。現在、病院で亡くなる方は全体の8割。しかし近い将来、およそ半数が病院以外で死を迎えるとみられています。病院を追われ、行き場を失う高齢者。

2012-05-29 20:31:39
とし @toshihiro36

<ナレーション> どこでどんな死を迎えればいいのか。超高齢社会が直面する新たな課題です。

2012-05-29 20:34:05

ここからスタジオです

とし @toshihiro36

森本:こんばんは、クローズアップ現代です。歩けないのに退院しなければならない現実。病院でなければ、私たちは人生の最後をどこでどのように迎えるのでしょうか。自分自身の将来そして見取る側の家族の問題として、今夜は考えていきます。

2012-05-29 20:38:15
とし @toshihiro36

森本:高齢者が病院から出なければならない事態、この原因は増え続ける医療費にあります。2000年には30兆円だった医療費は、毎年1兆円づつ増加して2010年には国の予算の4割に相当するようになりました。

2012-05-29 20:41:34
とし @toshihiro36

森本:この医療費を抑える手段の一つとして、国はこれまでも長期の入院患者を抱える病院の診療報酬を低くしてきました。今年4月さらに診療報酬を改訂して、その動きを加速させたのです。患者に退院を促す病院、一方とまどう患者や家族。いずれも苦しい選択を迫られています。

2012-05-29 20:48:09

VTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション> 横浜市立みなと赤十字病院です。治療を終えたと判断した患者は、速やかに退院させています。1か月前激しい下血で運び込まれた91歳の女性。寝たきりの状態が続いていますが、下血は治まったため退院することになりました。

2012-05-29 20:57:44
とし @toshihiro36

患者の家族:「腸炎は治って、あとはすることはありません」とはっきり言われちゃって。もう少し元気になって心配のない形で退院させてもらえるのが、一番ありがたいと思うんですけど。

2012-05-29 21:01:42
とし @toshihiro36

<ナレーション> みなと赤十字病院は、地域医療の中核を担う救急病院です。救急車の受け入れ回数は、年間1万2千件を超えています。入院患者のおよそ半数が65歳以上の高齢者。次々と運び込まれる患者を受け入れるため、早期の退院を促しています。

2012-05-29 21:06:53
とし @toshihiro36

<ナレーション> 退院する患者をサポートする、看護師の佐伯沙羅さんです。12人のスタッフを率いて退院後の行き先を探すなど、毎月およそ150人に対応しています。この日、82歳の母親が大腸の手術を受けた家族に、退院が迫っていると伝えました。

2012-05-29 21:11:41
とし @toshihiro36

<ナレーション> 女性は母親をこのまま入院させてほしいと訴えます。

2012-05-29 21:14:52
とし @toshihiro36

女性:介護するのが、私ひとりしかいないんです。だから私ひとりが、どっぷりつかっていくのかなとか。何よりも心配しているのは、受験期の息子がいるから。なるべく長くいさせてもらって、少しでも元気に...

2012-05-29 21:17:47
とし @toshihiro36

佐伯:現実的には難しいと思います。日本がこれだけの超高齢化社会で、医療費もどんどん膨れ上がって介護保険も破綻寸前と言われる中で…現実的に保険だけで格安の費用で、お世話が受けられるところなんかないんですね。これが現実なんです。

2012-05-29 21:22:21
とし @toshihiro36

<ナレーション> この病院では入院直後から、患者を早く退院させることを検討します。そこまで力を入れる背景にあるのが、国の医療制度改革です。国は病院が長期入院患者を抱えるほど、受け取る診療報酬を少なくしています。みなと赤十字病院の場合、年間数億円規模のの減収につながるといいます。

2012-05-29 21:28:42
とし @toshihiro36

<ナレーション> さらに退院後の受け入れ先も見つからなくなっています。受け皿となってきた病院でも、国がベッド数を削減しているからです。費用の安い老人ホームなど、公的な介護施設の数も不足したままです。病院に残された選択肢は、患者を自宅に帰すことしかありません。

2012-05-29 21:32:51
とし @toshihiro36

<ナレーション> しかし実際には自宅に戻すべきかどうか、迷うことの方が多いといいます。高岡義人さん72歳、先月上旬腎不全で入院しました。高岡さんは50年以上ずっと一人暮らし。年金もなく、わずかな貯金があるだけです。今年になってから、自力で歩けなくなったという高岡さん。

2012-05-29 21:38:39
とし @toshihiro36

<ナレーション> 佐伯さんのすすめでリハビリを始めました。しかし、退院は7日後に迫っていました。 今月初め、高岡さんは予定通り退院となりました。1日2回、食事や排せつの介助を受けることになりました。介護ヘルパーたちが帰ったあとも、高岡さんはずっと同じ場所に座り込んだままでした。

2012-05-29 21:43:24
とし @toshihiro36

<ナレーション> 佐伯さんが退院を促す高齢者のおよそ半数は、一人暮らしや夫婦二人だけの世帯です。自宅へ戻すことが困難なケースは年々増えています。

2012-05-29 21:49:23
とし @toshihiro36

佐伯:ホントに目の前で「家に帰ったら何食べよう。階段登れるかな。家までたどり着けるかな」っていう人たちと、毎日毎日接して…どうするんでしょうね…どうにもなんない、ホントに。

2012-05-29 21:54:36

スタジオに戻ります

とし @toshihiro36

森本:スタジオには社会保障制度が専門で、介護現場でも働いた経験をお持ちの淑徳大学准教授、結城康博さんにお越しいただきました。結城さん、退院を促す看護師の辛さも伝わってきたんですけれども、できるだけ早く退院させるという動きは変わらないんでしょうか?

2012-05-29 22:02:05
とし @toshihiro36

結城:基本的に国はいま在宅医療・在宅介護を推し進めていますので、この政策の流れは変わらないといえます。ただVTRにもあった通り、自己負担…毎月20万円(地方によっては15万円)のお金を支払えるのであれば次の転院先もしくは老人ホームや高齢者住宅といった選択肢がありまして。

2012-05-29 22:08:03