企業のイノベーション

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Naohito Okude @NaohitoOkude

1時からS社へのワークショップ。1000億円規模の会社はグローバル市場に出て行かないと生き残れない。売り上げがやはり世界市場で伸びているからだ。そこに新しい産業システムを見つけ出し、自社の強みを展開できるか?その方程式は4000億円くらいまでの多くの日本の企業に共通する。勝負だ!

2010-06-23 12:45:08
Naohito Okude @NaohitoOkude

S社ワークショップ終了。工場の生産性と製品の魅力。この二つを一致させた商品開発がグローバルを生き残る秘訣。いまさらだけど。ここはコアとモジュールの組み合わせでイノベーションをするのだが、何をつくるかとどう作るかの問題であり、メタデザインとメタエンジニアリングが必要。

2010-06-23 16:11:12
Naohito Okude @NaohitoOkude

なにをつくるかは、ブルーオーシャン戦略と直結する。これって非常に難しい。作るものが分かっていれば安く早く作ればいいからだ。ここは民族誌的手法とイノベーションが直結するところだ。だが、何を作るかが分かっても駄目だ。どのようにつくるか、つまりメタエンジニアリングが必要になる。

2010-06-23 16:15:13
Naohito Okude @NaohitoOkude

作ることが決まったときに、どう作るかがきまる。またどう作るかの方向性がみえると何を作るかが見えてくる。どう作るかの基本は誰でも作れるところをモジュールにして、自分しか作れないところをコアにする。このとき、技術的に優れているものがコアとなるわけではない。人に作らせないところがコア。

2010-06-23 16:16:58
Naohito Okude @NaohitoOkude

インテルはCPUが言うまでもなくコアだが、それをコアにした理由は利益率10%が維持できるからだ。日本のメーカーがコアとしてきた基盤自体の競争力をなくすために、CPU以外の部品をモジュールにしてしまった。誰でも作れるようにしたのだ。そこで競争が始まり価格が下落する。

2010-06-23 16:18:28
Naohito Okude @NaohitoOkude

いわゆるオープンアーキテクチャーだが、そのためにはインターフェイスを公開してモジュールを差し込めばコアであるCPUが使えるようにする。この基盤の設計は結構難しく、始めはインテルが台湾のメーカーのOEMをしていた。そのうち台湾メーカーが基盤を作るようになる。

2010-06-23 16:20:55
Naohito Okude @NaohitoOkude

次にインテルが取った戦略は「自作文化」をプロモーションすることだ。PCBIN(だったかな?)を秋葉原に作った。そこでコンピュータが自作できるというキャンペーンをうった。加えてブランド戦略を打つ。「Intel in It」というものだ。部品に過ぎないCPUを主役とした。

2010-06-23 16:22:51
Naohito Okude @NaohitoOkude

「インテル入ってる」という日本語のコピーを英語にしたものといわれているが、このキャンペーンでインテルは一気にPC市場を押さえるのだ。この動きと同時にマイクロソフトの勃興が始まる。マイクロソフトはインテルのCPU,つまりコンピュータのコアに踏み込んでOSをつくった。

2010-06-23 16:24:24
Naohito Okude @NaohitoOkude

結果としてコアにマイクロソフトは組み込み、世界制覇を成し遂げたわけだ。ここのOSやCPUは日本製にも良いものがあったが、この戦略のもとに敗れ去ったのである。ちいさな部品会社に過ぎなかったインテルが巨大企業になった。日本企業はなぜこんなことがおこったかびっくりして見ていた。

2010-06-23 16:25:44
Naohito Okude @NaohitoOkude

同じ事はGoogleにもいえる。グーグルのコアはどんどん拡張するコンピュータ、つまりクラウドコンピューティングである。この仕組みをつかってどのようなビジネスをするかの試行錯誤をしていた。一時はサーバーを売っていたりした。そのうち広告連動サービスを見つけ、巨大化した。

2010-06-23 16:28:00
Naohito Okude @NaohitoOkude

実は日本のi-Modeも同じ仕組みである。利用者が増える度にコンピュータを増設すればいいようにして、対応した。同じ技術であるが、その技術をビジネスのコアにするか、問題解決の方法に位置つけるかで大きく変わってくる。i-アプリはi-Modeのサービスだったが、普及しなかった。

2010-06-23 16:29:46
Naohito Okude @NaohitoOkude

問題は、なぜ日本の会社(というかアメリカの一部の会社以外)はこのビジネス戦略がとれないか、ということである。唯一この戦略に近いのが任天堂だ。過去20年間の歴史をみてみると、基本的に自分の手を動かして製品やサービスを作っているかいないかの違いに思える。

2010-06-23 16:31:43
Naohito Okude @NaohitoOkude

いや、日本人は手を動かしているというかもしれない。だが手を動かしているレベルと商品の企画をするレベルが違っている。何を作るかとどう作るかを同じレベルで同じグループの中で検討していないのだ。したがって、製品の設計力が低くなる。コアとモジュールの切り分けは設計力以外の何者でもない。

2010-06-23 16:33:04
Naohito Okude @NaohitoOkude

台湾にフォックスコンという会社がある。3兆円以上売り上げている会社だ。中国に工場がある。最近労働者の自殺が相次ぎ新聞記事になった。アップルも任天堂もここで製品をつくっている。一見、ものつくりが海外に出て空洞化している例のように見える。またそう言われてきた。

2010-06-23 16:40:47
Naohito Okude @NaohitoOkude

だが、どのレベルをものつくりとするかである。日本の企業の多くは本社で設計が出来ない。仕様書をつくって外注である。そこから孫請けに出て行く。そして出来上がったものを本社工場で生産する。工場設備の生産性で勝負するわけだ。その方法が通用しなくなっている。

2010-06-23 16:42:30
Naohito Okude @NaohitoOkude

設計を終了して、生産だけを委託する。これがEMSといわれる形だ。日本の企業もEMSを使うが、多くの場合は、EMSがわに提案をさせている。アップルは言うまでもなく社内でプロトタイプを繰り返し、設計が終了してからEMSに出す。知財はすべてアップル社が持つ。ここがポイントだ。

2010-06-23 16:43:44
Naohito Okude @NaohitoOkude

設計が済んでいるので、部品をどう調達するか、どこで組み立てるのかは外部に委託しても利益率を高く保てる。この設計力が徹底的に欠如しているのが多くの日本の会社である。したがって、利益も出なければイノベーションもおこらない。設計力という上流でものつくり(プロトタイプ作り)がない。

2010-06-23 16:45:56
Naohito Okude @NaohitoOkude

考えたり戦略をたてたりするのではなく、ものつくりにこだわって設計に夢中になると、日本の家電メーカーでは子会社に出向させられる。全体を設計している人あるいはグループがどこにあるのかもはっきりしない。この体質から抜け出さない限り、日本企業ではイノベーションは無理である。

2010-06-23 16:47:25
Naohito Okude @NaohitoOkude

実は日本だけではない。韓国も台湾もシンガポールもメタデザインとメタエンジニアリングが出来ない。儒教的な手作業蔑視の文化ではないかと勘ぐりたくなるほどだ。あっけんからんと自分で作っていく精神が必要なのだ。戦後の日本を支えたのはこの精神だ。どこで消えたのだろうか。

2010-06-23 16:49:12
Naohito Okude @NaohitoOkude

パナソニックの唐津一、東芝の西堀栄三郎、ソニーの盛田昭夫、そうそうたるイノベーションの大家だ。つくってみなくてはわからない、出来たら人にみせる、できるようになったら協力工場にだして、また出来ないことに挑戦する。この精神が戦後の経済発展を生んだ。まったく跡形もない。

2010-06-23 16:51:00
Naohito Okude @NaohitoOkude

こうしたイノベーションは世に出るまで7年くらいかかるという。そのあいだ、日本の大企業は中央研究所の片隅でイノベーションの実験を続けてきたのだ。この仕組みがこわれるのは、国際会計標準が導入されたためだ。説明の出来ないわけのわからないことをやってはいけないというわけだ。

2010-06-23 16:52:24
Naohito Okude @NaohitoOkude

この仕組みで日本は一気に大企業内のイノベーションのリソースを失う。国際といってもアメリカ標準だ。ではなぜアメリカではイノベーションが生じるのに日本では駄目なのだろう。アメリカは、これはアングロサクソン的資本主義の特徴なのだが、二つの基準の使い分けをしていたのだ。

2010-06-23 16:54:16
Naohito Okude @NaohitoOkude

きちんとした会社の株式市場(NYSE)とリスクに挑戦するイノベーションの会社のための株式市場(NASDAQ)の二本立てだ。この方式で長い間イノベーションを実行してきた。リスク市場の立ち上げを日本は怠った。だがこれは20年くらい前の出来事だ。ここ数年情勢はさらに変わっている。

2010-06-23 19:51:24
Naohito Okude @NaohitoOkude

P&GとかGEがイノベーションに乗り出しているのだ。このあたりは僕の『デザイン思考の道具箱』にすこし書いた。詳しくな『ゲームの変革者—イノベーションで収益を伸ばす』 でP&Gの会長A.G. ラフリー が分かりやすく述べている。大企業もイノベーションを考えなくてはいけないのだ。

2010-06-23 20:00:17
Naohito Okude @NaohitoOkude

ベンチャーと彼らのための株式市場であるNASDAQに依存しないで、大企業がイノベーションを行うためにラフリーが提案しているのは、企業の会計制度の中にリスクをとるイノベーションの予算を組むことである。極論すればこれだけのことだ。だがここに踏み込んでいる日本企業はあるだろうか。

2010-06-23 20:02:16