【辺 完全版】須永紀子・金子彰子・宮尾節子 tweet連詩 pw3s

新しい連詩・ツイート連詩『#pw3(ポエティック・ワンダー・スリー)』が始まりました。ルール:先頭者がタイトルを決める。1人1日1tweetを10日で1周。1周×10回分を三人で繋げていきます。文字数はtweetの枠いっぱい可。1周ごとにtogetterでまとまていきます。*3周(30日)1クールでご一緒させて頂きます。 #pw3 4回目メンバーの三人をご紹介します。五月の風渡る爽やかな新緑の季節に出発です。 須永紀子https://twitter.com/#!/sunaganoriko 金子彰子https://twitter.com/#!/000214 続きを読む
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s.kaneco @000214

皺の固まった 紙包み 滲んだ文字を篦で延ばす 書いては 流れにのせた 古い悦び 葭を掻き分け陸に上がった日 反古は残らず火にくべた この荷は 屋船の底から 還ってきた(辺1) #pw3s

2012-05-28 10:32:52
宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

キーボードにおりた指がさざ波のように動き出す。「きへいさんのきんたまのうらにできもんができて、たいへんでごわっした」さらりと言って涼しいお顔のきよこさんは、世が世ならばお姫さま。あいた口で頂いたアンビリバボーな午後の紅茶。青竹色に萩柄の絽のお着物がお似合いで。(辺2) #pw3s

2012-05-29 07:45:22
@sunaganoriko

便箋の文字は青い繊毛 ゆらゆらと幼虫のように動き 意味を喰ってしまう 砕けた文字が〈、〉になって散り 捨てるしかない 紙を折って 粉薬のように飲むと 胃の底から〈諾〉と声が響いてくる(辺3)#pw3s

2012-05-30 09:59:07
s.kaneco @000214

消灯  多くの人は床を離れ 潮に運ばれた浜木綿のように 寄り添う もう読むことのない ことどもを もつれた舌で唱える 闇に続く長汀 ささやかな足跡 (辺4) #pw3s

2012-05-31 07:17:23
宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

アビラウンケン。行き倒れたときの墓標代わりの金剛杖には、「空風火水地」の五智が刻まれている。ママゴトの庭で唱えた「なむだいしへんじょうこんごう」。妻折れの菅笠が行き交う遍路のクニで生まれ。三つ子の魂が百の手前の、八十八の辺巡る娘巡礼。ちちもははもこわくない。 (辺5) #pw3s

2012-06-01 06:57:49
@sunaganoriko

どこから入っても突然深い 森はそのようにしてあり 漆黒よりも暗い。ギイィ、ツッピィ。鳥の声がカタカナになって降ってくる。点々と咲く白い花はちぎれた紙で いつか手紙を書こうと 拾い集めているうちに さらに深くかきわけている(辺6)pw3s

2012-06-02 08:48:57
s.kaneco @000214

金星はまだ太陽の途中  木洩れ日で まだらになる 小さな 手足 公園の水浴び場 いつかの夏 こんなふうに迷子石を見た 埃だらけの道を残し 水脈は消え去った “うちへかえろうよ”どこかで鈴が鳴ったのだろうか (辺7) #pw3s

2012-06-03 10:40:55
宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

「うちはあれ、LSIチップのことや思うねん」喫茶店主のクミさんはそう言った。ランチが引けて、溜まった食器を洗いながら。2001年の宇宙に流れていた、美しき青きドナウ。モノリスを前にして始まった、猿の旅の。ココハイツダロウ。父も母もいない、セブンイレブンもない。(辺8)#pw3s

2012-06-04 06:34:55
@sunaganoriko

木の根がつくる 鎖骨のようなくぼみ。雨なら水の、晴れた日には空の、うつわになる。そこに木の実を2、3個、あるいはことばをひとつ。見たことのない<夢>や<奇跡>を落として 芽が出る日を待った。(辺9)pw3s  

2012-06-05 10:08:16
s.kaneco @000214

雲が描く文字はかすんでしまった 追いかけた先の 水を分ける嶺 舞い上がって また流れに戻り 海を目指す その永遠 ここには、始まりも終わりもある ミズバショウが教えてくれた 古くからの物語を (辺10) #pw3s

2012-06-06 06:49:42

    ******* OMAKE *******

s.kaneco @000214

@sechanco @sunaganoriko あげました。「河辺」は近い「辺土」は遥かかなた。諸々のほとりにいながらも、流れがわからずにいる今が、顔を出したような。三周目、よろしくお願いします。

2012-05-28 10:58:28
宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@000214 @sunaganoriko ありがとうございます。『辺(ほとり)』格調高く、はじまりましたね。たのしみです!まずは、2つの読めない漢字を字引で引くとこから、ものをしらないせっちゃんは、はじめなけあなりませんが(笑)。なあに『思いの強さが詩を書かす』がんばりまっせ♪

2012-05-28 11:16:42
@sunaganoriko

@000214 @sechanco「古い悦び」、何だかぞくぞくしますね。紙にはきっと大切なことが書かれているのですね。

2012-05-28 12:06:33
s.kaneco @000214

@sechanco @sunaganoriko 十代に書いていた詩などを、29歳の引っ越しで捨ててしまった記憶が重なっています。固まった古い文書は篦(へら)で伸ばすのですが、手元にはないものに、そんなことができるのは詩の中だけですね。諦めた詩作を詩にしているというのも妙ですが。

2012-05-28 13:19:22
宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@sunaganoriko @000214 はい。姫は、ちょっとオーバーですが(笑)。太宰の斜陽(でしたよね?)に出てくるような佇まいの、風情のある婦人でした。鹿児島で覚えて今でもひとりで歌えるのが、この「茶わん虫の歌」です♪http://t.co/ODXMCbiE

2012-05-29 17:28:45
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@sunaganoriko

@sechanco @000214「茶わん虫の歌」聞きましたよ~。鹿児島にお住まいだったことがあるのですか?わたしは東京育ちで、岡山から先へは行ったことがないのです。

2012-05-29 17:36:27
s.kaneco @000214

@sechanco @sunaganoriko 浜木綿は黒潮に運ばれた熱帯の植物だと聞いたことがあります。それが、なぜか椎甲板ヘルニアで入院したかつての記憶に繋がりました。

2012-05-31 07:29:02
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@000214 @sunaganoriko おはようございます。「多くの人は床を離れ 潮に運ばれた浜木綿のように 寄り添う」黒潮に運ばれた浜木綿の話にはこころ惹かれます。「消灯」と「ささやかな足跡」のつづく「長汀」が響き合っているようで美しいです。さて、なにを頂こうかとにやり♪

2012-05-31 07:46:01
s.kaneco @000214

@sechanco @sunaganoriko入院した時に印象深かったのは、同室の先達が、昼間は、つねにまどろんで、家族を心配させるぐらいなのに、夜はとても活動的で眠りにつきたい若輩共が閉口するほどだったことです。眠りにつくまで、九十九里くらいの長汀を歩むような心境でした。

2012-05-31 22:36:53
宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@sunaganoriko @000214 「唱える」から出発して、先日手に入れた高群逸枝の『娘巡礼記』に辿り着きました。「大正7年、24歳の高群逸枝は」「家を捨て、職を捨て、恋を捨て、ただ再生を目指して」四国遍路の旅へ。頭陀袋に詩集を偲ばせての娘巡礼旅に心打たれます。よろしく♪

2012-06-01 07:19:32
@sunaganoriko

@sechanco @000214 杖は行き倒れたときの墓標代わりなのですね。巡礼のことはよくわかりませんが、すごいなあ。

2012-06-01 11:52:39
宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@sunaganoriko @000214 四国だったのでよくお遍路さんが家にやってきました。(虚無僧まできた!)大人がいない時は、米びつからお米を一握りして頭陀袋に入れさせてもらうと、子どもにも拝んでくれるのがこそばゆかったです。今思えば子どもの手の一握りは少なかったと気の毒。

2012-06-01 12:40:14
s.kaneco @000214

@sechanco 女性史完成のために机に向かい続けた人というのは、その後半人生の姿なのですね。若き日には、そうした旅もあったんですね。

2012-06-02 06:52:12
宮尾節子*新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@sunaganoriko @000214 おはようございます。「鳥の声がカタカナになって降ってくる」ほんとですね♪ギイッは尾長。ツッピィはヒヨドリかな?こちらもチョン、チョンと雀が鳴いています。「点々と咲く白い花はちぎれた紙で」『青い鳥』のチルチルとミチルの挿画を思い出します。

2012-06-02 09:08:14