西暦775年、天の異変は記録されていたのか?

「775年に地球外から飛来した宇宙線が前年比で過去3千年間では最大級の増加率で急増」というニュースに、天文&科学(史)クラスタが反応。 8世紀、天の異変は果たして記録されていたのか? 江戸時代の科学史がご専門の佐藤賢一先生が『新唐書』から該当する記述を見つけてくださいました。
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→「大暦2年(767年)の7月、太陽の脇に青と赤の気が有り、長さが四丈ほど。[同月]太陽の上に赤い気があり、長さが2丈ほど。9月にも太陽に青と赤の気が。3年正月には太陽に黄色の冠のような気があり、赤と青の気もまわりにあった。。。」この前後、太陽に関する記載で目立つものはない。→

2012-06-05 20:17:13
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→この775年前後、太陽の何らかの活動に由来するものだとすると、太陽に関する記録はこれぐらいでしょうか。低緯度オーロラかと思える記録(五色の雲のような表現)があると面白いのですが無いようです。(手抜きして、原文はこちらを参照しました http://t.co/XeRUMU9D )→

2012-06-05 20:25:54
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→それから、念のため超新星爆発もあったかどうか探してみましたが、それをイメージさせる文言は「[大暦]十一年(776年)閏八月丁酉,太白晝見經天。」ぐらいでしょうか。これは「金星が昼間に現れて太陽を通過した」という表現だと思うのですが、え?金星日面通過か?。。。→

2012-06-05 20:31:58
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→過去の金星日面通過の日時を計算した情報(http://t.co/JJRvF4KO)によれば、この776年には起きていないことが分かります。そこで「太白が昼間現れた」という記載だけが正しいと考えれば「もしやこれは超新星を金星と間違えた?」という可能性もあるわけですが、実は。。。→

2012-06-05 20:39:25
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→実は「太白晝見經天」という表現は歴代の王朝の記録に頻繁に出てくる文言なので、今回の記録照合には正確さを期待できる情報としては使えないのではないかと推定します。もちろん、南半球で観測される何らかのイベントが原因だとしたら、中国の記録は最初から期待できません。→

2012-06-05 20:48:06
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→当時の中国、唐王朝の様子を振り返ると、有名な玄宗皇帝の在位期に起きた安史の乱、これによる混乱が続いている最中でした。もしこの記録が正確であったとすれば、太陽に生じた際だった異変が、当時の人々に強烈な不安を与えたのではないかと想像します。→

2012-06-05 21:01:57
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→中国の歴代王朝の天文現象の記録はこのようになされていますが、果たしてどの程度の信頼性があるものなのか、気になります。現段階では、他に参照すべきデータや記録もないので、当該事象の原因の1つであるかもしれない、という言及に留めておきたいと思います。ご教示をいただければ幸いです。了

2012-06-05 21:12:49
homkithi @homkithi

@ke_1sato ツイートに触発されて『続日本紀』に当たりましたら神護景雲元年に「雲本朱に末黄に稍五色を具へつ」(『新日本古典文学体系15 続日本紀 四』p.173)という記述がありました。註曰く六月から七月にかけて各処に瑞雲(景雲)が出現したのを受けて改号したようです。

2012-06-05 21:31:47
homkithi @homkithi

「雲本朱に末黄に稍五色を具へつ」(『新日本古典文学体系15 続日本紀 四』p.173)おお! 註曰く「天平神護三年を改めて神護景雲元年とする称徳の詔」「六月から七月にかけて各処に瑞雲が出現したことを述べ、これらは瑞書にいう景雲で」…なんと年号自体、低緯度オーロラ? #775AD

2012-06-05 21:20:46
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

ああ!まさに中国の記録と月単位で符合しますね!!これはもしかしたら。ありがとうございます! RT @homkithi ツイートに触発されて『続日本紀』に当たりましたら神護景雲元年に「雲本朱に末黄に稍五色を具へつ」(『新日本古典文学体系15 続日本紀 四』p.173)という記述が

2012-06-05 21:35:40
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

先ほど @homkithi さんに教えていただいた情報をもとに、あらためて村山修一氏の『日本陰陽道史話』(大阪書籍・1987年)を読み返しました。「神護景雲」改元(767年)は、もしかしたら低緯度オーロラを見たことによるのかもしれませんね。京都・伊勢・三河での目撃例があったと。→

2012-06-05 22:07:39
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

→そもそも「慶雲」(景雲)とは、村山氏の表現では「烟の如くして烟に非ず、雲の如くして雲に非ず」というものだそうで、オーロラだったとしたらなるほどなあ、と思ってしまいそう。この時の日本では、有名な弓削の道鏡が暗躍していた。うーむ、そういう時期と重なっていたわけですね。これも面白い。

2012-06-05 22:11:09
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

今までの話からいくと、弓削の道鏡や和気清麻呂といった当時の人々は、日本史上最大級に宇宙線を浴びていたことになるわけですか。。。 あらら~

2012-06-05 22:19:30
九野丹 @Cuno_vonTandel

@ke_1sato 村山氏の説の典拠は、恐らく『漢書』天文志「若煙非煙、若雲非雲、郁郁紛紛、蕭索輪囷、是謂慶雲 。 慶雲見、喜氣也。若霧非霧、衣冠不濡、見則其城被甲而趨。」か『宋書』符瑞志下・『晉書』天文志中の同様の記事かと。

2012-06-05 22:45:25
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

度々のご教示、ありがとうございます!不勉強を露呈してしまいましたが、新しい興味関心を関心を開いていけそうです。 RT @Cuno_vonTandel 村山氏の説の典拠は、恐らく『漢書』天文志「若煙非煙、若雲非雲、郁郁紛紛、蕭索輪囷、是謂慶雲 。……

2012-06-05 22:53:05

--太白についての解釈など、ディスカッションも

西天リコピン @Juan_deArizonac

@ke_1sato ほぼ同じ内容ですが念のため『旧唐書』志十六、天文下、災異編年「大曆二年七月……丙寅申時、有青赤氣長四十餘尺、見日旁、久之乃散。壬申(十二月)、赤氣長二丈亙日上。甲戌酉時、白氣亙天。……九月……乙亥、青赤氣亙于日旁。……三年正月……丁巳巳時、日有黃冠、青赤珥。」

2012-06-05 20:37:31
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

ありがとうございます!今日は両唐書の並記を手抜してしまいましたm(_ _)m RT @Juan_deArizonac ほぼ同じ内容ですが念のため『旧唐書』志十六、天文下、災異編年「大曆二年七月……丙寅申時、有青赤氣長四十餘尺、見日旁、久之乃散。壬申(十二月)、赤氣長二丈亙日上……

2012-06-05 20:42:32
西天リコピン @Juan_deArizonac

@ke_1sato 「太白晝見經天」は「太白が白昼に見え、天を通過した」程度の意味で、日面通過とは無関係かと。当該現象は、斉藤国治氏『中国古代の天文記録の検証』p418によれば、「西方最大離角に近」く、(-4等近くなるので)見えただろうと。

2012-06-05 20:54:39
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

おお、ご教示多謝です! @Juan_deArizonac 「太白晝見經天」は「太白が白昼に見え、天を通過した」程度の意味で、日面通過とは無関係かと。当該現象は、斉藤国治氏『中国古代の天文記録の検証』p418によれば、「西方最大離角に近」く、(-4等近くなるので)見えただろうと。

2012-06-05 21:04:15
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

としますと、よくある現象なのでとり立てて注意する必要はなさそうですね。 RT @Juan_deArizonac 「太白晝見經天」は「太白が白昼に見え、天を通過した」程度の意味で、日面通過とは無関係かと。当該現象は、斉藤国治氏『中国古代の天文記録の検証』p418によれば、。。。

2012-06-05 21:06:02
九野丹 @Cuno_vonTandel

@ke_1sato 大して関係無いかも知れませんが、旧唐書の代宗紀、大曆元年に「是冬無雪。」と有り、翌二年正月癸酉には、天文儀器(?)や天文書の私蔵を禁じる詔勅が出ています。どちらも史書に散見する内容ですが、念のため。

2012-06-05 21:37:22
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

ありがとうございます!こちらも天文に対する意識を考える上では貴重な情報だと思います。 RT @Cuno_vonTandel 大して関係無いかも知れませんが、旧唐書の代宗紀、大曆元年に「是冬無雪。」と有り、翌二年正月癸酉には、天文儀器(?)や天文書の私蔵を禁じる詔勅が出ています。

2012-06-05 21:43:30
Haruhiko Okumura @h_okumura

スーパーフレア?! RT @ke_1sato: →「大暦2年(767年)の7月、太陽の脇に青と赤の気が有り、長さが四丈ほど。[同月]太陽の上に赤い気があり、長さが2丈ほど。9月にも太陽に青と赤の気が。3年正月には太陽に黄色の冠のような気があり、赤と青の気もまわりにあった。。。」…

2012-06-05 20:27:29
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

@h_okumura 書かれていることだけをそのまま信頼するとスーパーフレアのようにも思えるのですが、いかんせん、どの程度の信憑性があるものかが見極められないのが残念です。

2012-06-05 20:51:28
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