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ラブコメまとめ。垂れ流し。
otukai 7224view 1コメント
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  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-24 23:34:40
    @sousakuTL 轟音と火柱と絶叫と。耳と瞳に馴染み深いそれらの要素の全てを、忠臣は眉を僅かにも顰めることなく見送った。(マァたヤるこトニ容赦がネエ)仕える主の背を眺め、たったそれだけをぼやく。魔王の後に遺るは無残な肉塊……とも言えないばらけた炭と、辛うじて息のある男が一つ。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-24 23:35:19
    @sousakuTL 主は半生半死の男を爪先で蹴り、ごろりと仰向けに転がした。背後を護る忠臣から主の顔は伺えない。ただなんとなく、途轍もなく不愉快げに、つまらなさそうに、眉を寄せているのだろうと思われた。今は亡き先代が、丁度よく浮かべていたあの顔である。忠臣は主のそんな顔を、
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-24 23:38:21
    @sousakuTL 確かめてしまいたくはなかった。嫌なものを思い出してしまう。忠臣がぼんやりと苦虫を噛み潰すのに忙しい、その隙に「気が済んだか、人間」主は冷えた声で男に吐き捨てる。その瞬間、濁り始めていた、死体間近の男の瞳に光が宿る。地底の奥底、渦巻く溶岩のような膿んだ炎の色
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-24 23:45:04
    @sousakuTL である。男は唇を震わせる。罵りも呪詛もそこから生まれることはなく、ただ風が虚しく通り抜けるだけだった。主はぐるり、と王の間に散らばる炭と炎と刃の轍を見渡して一つの哄笑らしき溜息をもらす。「貴様らの理想。それに僅かでも近付けたことに感謝するといい」
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-24 23:51:52
    @sousakuTL と、主は男の首を無造作に切り裂いた。忠臣はほう、と感嘆の声を上げる。もう少し時間をかけて、嬲るものと思っていた。何しろ主はこの人間達を、わざとこの城奥深くまで誘い入れ、手加減してまで自身を追い詰めさせるという無駄な遊びに興じていた。その幕にしては随分と
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-24 23:59:27
    @sousakuTL 清々しい。しかしまあ、主の中身は捻じ曲がり醜悪だが、飽きやすく幼い一面もある。なので忠臣はいつものこと、と気を取り直し静々と主の元に歩み寄る。「ゴ苦労さン」軽い調子を心がけ、主の肩をぽんと叩いて労ってみる。主は振り返り、小首を傾げるのだ。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 00:05:46
    @sousakuTL 「何が?」「仕事」「えと……これ?」主は足元に転がる、こと切れた男を無感動に見下ろし、そうして上げた顔には色濃く戸惑いがにじんでいる。「お仕事に入るのかな」「そリャまア、刃向カウ者の始末ハお前ノ仕事ダロう」「……うーん」こんなのが仕事かあ……と主は
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 00:14:04
    @sousakuTL 浮かない顔である。「不服カ?」「うん」主は迷いなく頷く。「楽しくない……何にも、全部、嫌い」「ウーん」忠臣は主の頭をぐしゃりと撫でる。気の向くままに、その黒ずんだ血に塗れた金の髪を梳いた。「オレも嫌イか?」「ううん」「じゃアいい。他ハ好きニ嫌ッてろ」
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 20:21:21
    @sousakuTL 主はこくりと頷いた。自慢の金の髪だけでなく、青白い肌も黒の召し物もべたりと血で汚れている。そんな主を、忠臣は何の躊躇いもなく抱き寄せる。忠臣は自身の胸に顔を埋める主のことを見下ろすばかりであった。かけるべき言葉は最早とうに擦り切れた。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 20:29:52
    @sousakuTL 忠臣はこの主と共にした年月を想う。魔物が辛酸を舐めたあの大戦。かつての魔王が、そして友達が呆気なく散った。遺されたのは自分と、その魔王の忘れ形見である主だけだ。かつては世界を覆うと思われていた魔物の数も、あの頃と比べ随分と少なくなった。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 20:35:34
    @sousakuTL 忠臣は主を支え、宥め、生き延びた。かつての魔王が治めた廃城を寝ぐらとし、主が魔物を率い栄光を取り戻す日を夢見ている。忠臣は主が王となることだけを望んでいる。しかし主はといえば「ねえ」「何ダ?」「まだ逢えないのかなあ……」「あア……」
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 20:40:26
    @sousakuTL 主はぼんやりと、忠臣の肩越しに虚空を見上げるばかりである。忠臣は背中に嫌な気配らしきものを感じ、しかし振り返ることはしなかった。どうせ何もいない。主が見ているのは、かつての日々の思い出だ。父と、兄と、姉と。彼女が慕っていた、かつての魔王とその配下である。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 20:45:45
    @sousakuTL 『あいつらは死んだじゃないか』忠臣は言葉を飲み込んだ。それを言ったところで、主を無駄に落涙させるだけである。主はそのことを知っているし、受け入れてもいる。覆せないことと理解している。彼らは全て主が看取ったのだから。「アノな、魔王様ヨ」「うん」
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 20:53:54
    @sousakuTL ならば何故主は諦めることをしないのかと言えば。「何度モ言うヨうに……あノ三匹ガ生マれ変ワっテクるのハ、当分先ダと思ウぞ」「どうして?」「魂ガ強固過ぎルから、融通ガ効かナいンダ。元ガスゲえ分カなりの年月、魂ノ練成がされナきゃなんねエ」「わかんない」
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:03:00
    @sousakuTL 「上等な鋼ガあレバ、鍛エ上げテ名刀を作リたクナるダろ。そレト同じ」「私は鍛治なんかしないもの。切れれば何だって構わない」ぼんやりと言う主のことを、忠臣は溜息混じりに強く抱き締める。「我儘言っタッて、オレの言エルこトは変わンねエゾ。待テ
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:08:51
    @sousakuTL ソンで力を蓄エろ」「全部待つのはもう疲れたよ……ねえ、まだダメなの?人間を、本気で滅ぼす算段」「マダ駄目だ。お前ガイタっテ魔物側ノ戦力はまだ微々タるモんだ」「……はあ」お父さん達が帰ってくればなあ、と主は何度目かも分からない台詞を吐いた。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:13:45
    @sousakuTL しかしそれは主がひとまず忠臣の言葉を聞き入れ諦めたことを示している。主はその昔、先代が滅ぶ要因となった人間達を根絶やしにして、理由となった自身の命を絶つつもりでいた。そのためには力が足りないと諭す忠臣の甲斐もあってか、主の理想は『再び彼等と出会い生きること』
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:18:03
    @sousakuTL と、真っ当に変わっていった。主はそのために死なないし、彼等がいつ帰ってきてもいいようにと城を守るためここから一歩も出ようとしない。何かにつけて忠臣に文句を零しながらも。「ねえねえ」「何ダ?」「昔……すっごく昔。私がまだ小さかった頃のこと、覚えてる?」
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:24:21
    @sousakuTL 眉を顰める忠臣だ。忘れたわけではない。単にその情報量があまりに多過ぎるが故である。「ずっと死なないで……一緒にいる、って約束してくれたよね」「アあ」「ありがとう……」貴方だけでも残ってくれて、と主は啜り泣きを始めるのだった。忠臣はそれを無感動に見つめる。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:29:15
    @sousakuTL 主の側に不死で在る。それは彼の生きる意味であり、当然のことだった。だから忠臣は主が泣き止むまでそこに立ち尽くし、主を寝所に詰めて眠りに落ちるのを確かめるまで手を握ってやっていた。寝台に広がる金の髪の波紋をなぞり、忠臣は不格好に笑ってみせた。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:35:14
    @sousakuTL 主は年月を経てもなお美しさを失わない。瑞々しい肌に、小花のようにささやかな唇、涙で濡れた目元にそっと陰を落とす長い睫毛。全てが全て忠臣が愛した頃と何一つとして変わらない。しかし忠臣は主を女として愛するような、実直な想いなどついぞ抱けなくなってしまっていた。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:38:32
    @sousakuTL 主の頬を撫でる。冷たくて、白磁のような、作り物めいた手触りだ。忠臣はそれだけで満足だった。主の側に在るただそれだけで良かった。だから忠臣は城を密かに抜け出して、またも暗躍に励むこととした。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:44:47
    @sousakuTL 闇に沈んだ森である。獣の遠吠えが微かに届き、虫が喚く、木々の間を縫って蒸し暑い空気の舌がぞろりと這う。人里から離れ、日中ですら通る者などほぼ皆無の、深い森である。そこで人間が三人、密かに夜を明かしていた。身を横たえた女の側で、二人の男が薪を囲んでいる。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-05-25 21:51:28
    @sousakuTL 不機嫌そうに眉を寄せた黒髪の男と、何がそんなに楽しいのか、軽薄げに笑い続ける男である。二人は会話もなく、ただ爆ぜる牧の音に耳を澄ませるばかりだった。黒髪の男が、何かに耐えかねたように口を開いた。まず零れたのは溜息で、それから苦い台詞がついて出た。
  • 霜野おつかい@役職発売 @otukai 2012-06-07 21:28:28
    @sousakuTL 「いいから寝ろ」「あ?やなこった」黒髪の男の詰るかのような呟きに、隣の男は片眉だけを持ち上げてわずかな不服を示すのだった。しかし笑みは崩さない。「知ってんだぞ、お前最近ろくに寝れてねえだろ」「知っているなら繰り返す。放っておいてくれ」

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