90歳を超えたお婆さんが私の恋人

 90歳を超えたごく普通のお婆さんの驚くべき姿を目の当たりにしました。その感動をつづりました。私にとってそのシンプルな生き方はあこがれの的です。
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恥ずかしがり屋 @plant_all

「ローバの恋人:その1」私の恋人はローバである。一見華奢に見える彼女は数十年も前から、日課のように乳母車を押して家の前をトコトコと通り過ぎ、数十メートル先の畑を耕していた。

2012-06-07 21:27:44
恥ずかしがり屋 @plant_all

「ローバの恋人:その2」しかし、数年前に意を決して唐突に後ろから声をかけた途端、ローバはギョッとした面持ちで振り返った。あれこれ話している内に落ち着きを取り戻し、自分は既に93歳であると打ち明けてくれた。

2012-06-07 21:52:12
恥ずかしがり屋 @plant_all

ローバの恋人:その3」毎日、乳母車を押して歩くローバの存在を多くの人は知っていた。現在、その畑にはナスやキュウリそれにミカンの木がそれぞれ10本ほど植わっている。その他、葉物類も青々と茂っている。

2012-06-08 20:54:38
恥ずかしがり屋 @plant_all

「ローバの恋人:その4」いつ見ても畑の草はきれいにむしられている。大抵の人はローバが毎日、草取りに通っていると思っていた。何を隠そう私もそのように考えていた。

2012-06-08 21:01:10
恥ずかしがり屋 @plant_all

「ローバの恋人:その5」一週間ほど前、私が脚立に登って道路に面したアラカシの剪定をしていると下の方から「コンニチハ」という声がしたので振り返ってみたら誰もいない。少し、先の方に目をやるとローバが乳母車を押してトコトコ歩いていたので後ろから挨拶を返した。

2012-06-08 21:05:13
恥ずかしがり屋 @plant_all

「ローバの恋人:その6」その後、アラカシの剪定に2時間ほど集中して脚立の上からフト、ローバの畑を見やると側溝から柄杓で水を汲み取るローバの姿が目に入った。私にとっては、このことは衝撃以外の何ものでもなかった。

2012-06-08 21:12:24
恥ずかしがり屋 @plant_all

「ローバの恋人:その7」長い柄の柄杓で水をすくうローバの姿を見て危うく6尺の脚立から転がり落ちそうになった。私にとって長年の謎は、その畑の水やりはどのようになされているかと言うことであった。その側溝はしばしば水が枯れることがあった。

2012-06-08 21:19:52
恥ずかしがり屋 @plant_all

「ローバの恋人:その8」それにしても杖代わりに旧式の乳母車を押して歩く90歳を超えたローバが柄杓で水をすくって60坪ほどの畑に水やりをするとは!頭がクラクラしてきた。

2012-06-08 21:26:05
恥ずかしがり屋 @plant_all

「ローバの恋人:その9」今見たばかりのローバの姿は現か夢か?それを確かめるべく私はマシラのごとく脚立から飛び降りてローバの畑へと向かった。

2012-06-10 21:13:03
恥ずかしがり屋 @plant_all

「ローバの恋人:その10」驚きの面持ちでローバに話かけたところナスやキュウリなどの実物野菜はこの柄杓で水やりをしている。側溝の水が少々汚れていても吸い上げて実の中に入ったものは浄化されてきれいだからだと言った。

2012-06-10 21:33:16
恥ずかしがり屋 @plant_all

ローバの恋人:その11」しかし、チンゲンサイやホウレンソウなど葉を直接食べるものには汚れた水をかけられないので自宅からペットボトルで運んだ水道水をかけているとと話して小屋の中に何十本もあるペットボトルを見せてくれた。

2012-06-10 21:38:45
恥ずかしがり屋 @plant_all

ローバの恋人:その12」問題は、ペットボトルに入った水を自宅から畑へどのようにして運んだかと言うことだ。旧式の乳母車にはカバーが掛けられ、その中にはペットボトルが入っていたのだ。その事を知る人は私以外、誰もいない。

2012-06-10 21:45:42
恥ずかしがり屋 @plant_all

ローバの恋人:その13」それだけではない。畑には予備タンクとして直径60㎝ほどの大きな蓋付きポリバケツが3個据えられていて古くなったペットボトルの水がその中に蓄えられて いた。梅雨入りした先日、その蓋が開けられ雨を受けていた。

2012-06-10 22:00:11