内田樹先生の怒りに関するエトセトラ

怒りと身体、そして身体を伴わない「脳化」したweb上で闊歩する「呪いの言葉」。『呪いの時代』を書いた先生の中では一貫しているのだろうか?
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内田樹 @levinassien

だんだん心配になってきたのは、ゆうべ安田浩一『ネットと愛国』を読んだせいもあります。怖い話でした。「怒り」という感情は実は身体性をともなわない。怒りが激烈であるためには「身体をもっている」ことがむしろ邪魔になるからです。ネットで憎悪や呪詛が増幅するのは、たぶんそのせいです。

2012-06-07 15:46:21
内田樹 @levinassien

気鬱なときに、人間は「怒りっぽく」なりますでしょう。気鬱なときに、空腹を感じたり、眠気を感じたり、エロティックな欲望を感じたりすることはあまりありません。つまり、生命力が衰えているときに、身体資源が乏しくなっているときに、それでも作動する感情が怒りなんだと思います。

2012-06-07 15:48:45
内田樹 @levinassien

たぶん怒りはいちばん「安い」身体資源で物質化できる感情なんです。身体資源の貧しい人間にはそれを燃料にして作動できる感情が「怒り」しかない。「悲しみ」や「喜び」でさえ、もっと身体資源の供出を要求しますから。日本人は身体の豊穣性を失いつつあるということなのでしょう。

2012-06-07 15:52:36
Lun Uchida🍉 @lovelove_kikaku

ところで、日本中の人間が原発再稼動に対し、全てを投げ出して怒り狂って都市中枢部へなだれ込み「遂に日本で暴動が起きた」と世界中に報道されるようにするにはどういう手段があるかな…。怒りが無気力にしか変換されなくて困る。自分が。なんとかせなにゃあ…。

2012-06-09 10:04:29
内田樹 @levinassien

あのね、るんちゃん、怒りが簡単に無気力に転化してしまうのは、怒りが「身体に悪い」からなんだと思います。戦うためには怒り続けているわけにはゆきません。過去の成功した革命家たちは総じて楽天家でロマンチストで、怒りより虐げられた人々への共感に突き動かされていたように見えます。

2012-06-09 10:24:47