イェイツとダンセイニ

未谷おとさんとラスキンの犬さんの濃厚なやり取りまとめ。話をそれぞれでまとめるために、一部ツイートの順番を変えています。
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未谷おと @mitani_oto

『イェイツと日本』ダンセイニの話は出てないだろうなあ。イェイツの研究書にダンセイニが出てきたためしがない。係わりが一時的すぎたんだな、やっぱり。http://t.co/GBrz22HR

2012-06-10 21:16:36
ラスキンの犬 @DogRuskin

修士時代に読みました。記憶があいまいですが、たしか出てなかったはずです… RT @mitani_oto 『イェイツと日本』ダンセイニの話は出てないだろうなあ。イェイツの研究書にダンセイニが出てきたためしがない。係わりが一時的すぎたんだな、やっぱり。

2012-06-10 21:44:30
未谷おと @mitani_oto

@DogRuskin おお、情報提供に感謝です。やはり出ていないのですね。

2012-06-10 21:50:44
ラスキンの犬 @DogRuskin

@mitani_oto あと、1935年にできた国際PENアイルランド支部にも、ダンセイニとイェイツの両方が加入していましたね。ですが、ここでもあまり交流なかったらしい、とロイ・フォスターが書いていたりします…うぬぬ…

2012-06-10 21:53:28
未谷おと @mitani_oto

@DogRuskin ダンセイニが正会員になれたのは、アイルランドを舞台にした長編『賢女の呪い』を発表したからだと聞いたことがあります。イェイツは、ダンセイニをアイルランドに係わりのない作家だと考えていたのでしょう。

2012-06-10 21:57:35
未谷おと @mitani_oto

@DogRuskin ダンセイニは、イェイツのことを、全生涯がポーズだった、と言っています。ヒーニーに言わせると、ダンセイニはイェイツの高い筆名に嫉妬していたという話ですが。

2012-06-10 22:01:15
ラスキンの犬 @DogRuskin

「イェイツのことを、全生涯がポーズだった」おおむね同意します。嫉妬ではなく、おおむね正しい分析だと思います。同時代人ならなおさらですね @mitani_oto

2012-06-10 22:05:47
ラスキンの犬 @DogRuskin

@mitani_oto なぜ二人が疎遠になったのか、そして、アングロ=アイリッシュの貴族および貴族性の賛美に後期のイェイツは傾いていったのに、なぜダンセイニに関する言及がなくなっていったのか。その辺を考えてみて思うのは、ダンセイニが本物かつ実在の貴族だったからかもしれません

2012-06-10 22:15:36
未谷おと @mitani_oto

@DogRuskin 正しい分析なのですか。私はまたダンセイニのプライドの高さから反感があって言ったものだと思っていました。プライドは高くても、(一時的にでも)世界的な文学者とされていただけのことはありますね。

2012-06-10 22:16:50
ラスキンの犬 @DogRuskin

@mitani_oto ダンセイニの存在は、イェイツのイメージする、あるいは描こうとする、半ば想像世界の「没落してゆく悲劇的なアングロ=アイリッシュ」のイメージを打ち消しかねませんから

2012-06-10 22:18:12
ラスキンの犬 @DogRuskin

@mitani_oto あと、引け目があるとすれば、グレゴリー夫人との関係。イェイツが崇めるグレゴリー夫人よりも、階級が上ですので、ダンセイニは。クール荘園の擬似宮廷人を気取ったイェイツにしてみれば、グレゴリー夫人を立てなくてはいけない。そのためにダンセイニは立てられない、とか?

2012-06-10 22:20:19
ラスキンの犬 @DogRuskin

イェイツのことを、ただ気取り屋のポーズづくり野郎、とみなす人は、同時代人だとジョージ・ムアとかもですね。割と一般的な見方ではあったのかもしれませんが、個人的にはイェイツの「一面」を捉えているとは思うのですよ。彼のすべてを捉えているとはいいませんが @mitani_oto

2012-06-10 22:23:19
未谷おと @mitani_oto

@DogRuskin つまり、イェイツにとってのアングロ=アイリッシュ貴族は想像力の産物であって、本物が実在していてはいけなかったというわけでしょうか。

2012-06-10 22:20:33
ラスキンの犬 @DogRuskin

私はそう考えます。イェイツの言うアングロ=アイリッシュは、イェイツの「作品」でなければならない RT @mitani_oto @DogRuskin つまり、イェイツにとってのアングロ=アイリッシュ貴族は想像力の産物であって、本物が実在していてはいけなかったというわけでしょうか。

2012-06-10 22:24:25
ラスキンの犬 @DogRuskin

Edward Hirschの論文、The Imaginary Irish Peasant http://t.co/KP2cQr8Eはイェイツらの描いたアイルランド農民の虚構性を分析した論文ですが、イェイツの描いたアングロ=アイリッシュ言説の虚構性も「もっと」問われるべきかな

2012-06-10 22:29:50
ラスキンの犬 @DogRuskin

"A man who does not exist, / A man who is but a dream" The Fisherman By William Butler Yeats イェイツ自身も理解はしていたみたいですけれどね http://t.co/k9ZXrBsG

2012-06-10 22:31:34
未谷おと @mitani_oto

@DogRuskin グレゴリー夫人への遠慮や、自分の組み立てた想像の邪魔、いろいろな面が組み合わさってイェイツはダンセイニを無視せざるを得なかったという感じですね。ある意味で無邪気に執筆をしていたダンセイニと比べるとやはりポーズを取っていたと思わざるを得ないですねえ。

2012-06-10 22:33:21
ラスキンの犬 @DogRuskin

@mitani_oto ダンセイニは推敲しなかったそうですが、イェイツは初期から晩年まで推敲の鬼です。一度発表したものも、そのあと何十年も推敲していたりします。無邪気に書きたいものをただ書く、というより、その「効果」などをいろいろ考えた計算高い人ではありますね

2012-06-10 22:39:58
未谷おと @mitani_oto

@DogRuskin その「効果」を考えられるあたりの頭の良さと、「推敲」を粘り強く行える持続性がイェイツをして晩年まで高く評価される詩を書けた理由なのでしょう。残念ながらダンセイニはご指摘の通り筆先の練達で書き飛ばしてしまうので、時として駄さ……ん、窓になにかいるようだが。

2012-06-10 22:58:16
ラスキンの犬 @DogRuskin

@mitani_oto モードとの恋愛やその他、どうしようもないみっともない部分も「ある程度は」隠そうとはせず、さらけ出せる強さというものはイェイツにもありましたけれど。でもそれも、かなり計算ずくのものでもありました。様々な効果を考慮した上で、「ポーズを取る詩人」のポーズをとる

2012-06-10 22:37:25
未谷おと @mitani_oto

@DogRuskin 日本だと堀辰夫が、未亡人片山廣子に惚れたけど相手にされなかったから娘に手を出そうとしてフラれたあげくそれを小説にして発表し、片山家を出入り禁止になりましたが、堀にはそういう計算ができていませんでしたね。イェイツはポーズを取るにしてもやり手だったようですね。

2012-06-10 22:51:55
ラスキンの犬 @DogRuskin

@mitani_oto未亡人に惚れたけど相手にされなかったから娘に手を出してフラれたあげくそれを作品にして発表、イェイツも似たようなことしてますね。でも、モードの夫マクブライドが復活祭蜂起で死んで英雄となった後、そのように死んで英雄となれなかった詩人を演じることで自分も英雄となる

2012-06-10 22:59:20
ラスキンの犬 @DogRuskin

@mitani_oto 復活祭蜂起の後にイェイツはバリリー塔を購入し「孤塔の詩人」を演じることになります。死んだ革命家マクブライドのような行動する人間ではなく、自分は黙想の詩人だと。そのたえに、ミルトンの「沈思の人」などのイメージを借りてきたり。本気だけど、効果的な演技でもある

2012-06-10 23:04:00
未谷おと @mitani_oto

@DogRuskin バリリー塔といえば西アイルランドの観光名所になっているところですね。イェイツは行動的なだけあって紹介するエピソードに困らない面白い人物ですね。塔を購入してまで演じ切るとは、全生涯がポーズと言われても、そこまでやり通せば一流といえるでしょう。

2012-06-10 23:12:41
ラスキンの犬 @DogRuskin

@mitani_oto イェイツも本気でやってましたけれどね 。本気で行動すれば、それが演技にもなることを自覚していた人でもあった、というか。イェイツ語で言えば、「あるがまま」の「自我」と「あるべき」姿の仮面を常に意識し、「仮面」こそ本来の自我として、それを選び取って生きた人です

2012-06-10 23:18:20