ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図(6)川で何がおきているのか」書き起こし #nhk

6月10日に放送されたものを文字起こししています。
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冒頭のVTR

とし @toshihiro36

<ナレーション> 去年3月11日に起きた福島第一原発事故。大気中には大量の放射性物質が放出されました。放射性物質は風に運ばれ、雨や雪に付着して大地に降り注ぎました。原発事故から7カ月後の汚染状況を示した地図です。

2012-06-11 10:50:37
とし @toshihiro36

<ナレーション> 原発から80キロほど離れた福島県西部の会津地方は、空間線量率が毎時0.1~0.5マイクロシーベルトと、汚染の比較的低い場所です。しかし、ここである異変が起こっていました。去年12月会津坂下町です。町の中を(車で)走っていると突然線量計の値が倍近くに上がりました。

2012-06-11 10:54:24
とし @toshihiro36

<ナレーション> 住宅街の中の橋です。原因を探ろうと川べりに近づくと、空間線量はさらに上がりました。阿賀野川の支流、旧宮川です。区間線量が高い場所で土を採取し、汚染を調べました。放射性セシウムが1kgあたり8790ベクレル。国が管理する放射性廃棄物の基準8000を超える値でした。

2012-06-11 11:01:26
とし @toshihiro36

<ナレーション> それから5カ月同じ場所でふたたび調査しました。17000ベクレル、以前の2倍近い値です。事故から1年経って、川沿いで新たなホットスポットが生まれているようです。私たちは去年11月から福島県を源流として日本海に流れる阿賀野川と太平洋にそそぐ阿武隈川を調査しました。

2012-06-11 11:08:53
とし @toshihiro36

<ナレーション> 専門家とともに地元の協力を得て、上流から下流まで215か所で水と土壌を採取、汚染を分析しました。川沿いの放射能汚染は、なぜ生まれるのか。そして、そこで何が起こっているのでしょうか。川と放射能汚染の関係を探った、半年間の調査報告です。

2012-06-11 11:13:38

ここから本編です

とし @toshihiro36

<ナレーション> 福島県から宮城県に流れる一級河川・阿武隈川。原発からおよそ60キロ離れた中通り地方を通ります。福島県との県境にある宮城県丸森町、阿武隈川の下流域です。丸森は天然アユの漁場。町中を流れる阿武隈川には、アユの産卵場所があります。

2012-06-11 11:21:06
とし @toshihiro36

<ナレーション> 阿武隈川漁協の組合員は川の清掃や不法投棄の回収を行い、漁場を守ってきました。しかし昨シーズンは、アユ漁が全くできませんでした。事故直後の去年6月、アユから1kgあたり227ベクレルの放射性セシウムが検出されたからです。

2012-06-11 11:24:46
とし @toshihiro36

阿武隈川漁協・佐藤:これ相当…立ち直るのには、大変なエネルギーを使わないと。戻ってこないでしょうねぇ…

2012-06-11 11:27:38
とし @toshihiro36

<ナレーション> 佐藤さんは(去年のアユを)捨てられずに、冷凍保存していました。 アユは春から夏にかけて、阿武隈川の支流で成長します。7月1日の漁の解禁を前に、佐藤さんは不安を募らせていました。

2012-06-11 11:31:09
とし @toshihiro36

佐藤:この辺はね天然のアユと天然のヤマメ、それが生息している場所なんですよ。

2012-06-11 11:32:22
とし @toshihiro36

<ナレーション> 今年もヤマメから、食品の基準値100ベクレルを超えるセシウムが相次いで検出されています。

2012-06-11 11:34:02
とし @toshihiro36

佐藤:魚を検査しながらよくなるのか…何年経ったら、食べられる魚になってくるのか。それが心配ですね、いちばん。

2012-06-11 11:36:22
とし @toshihiro36

<ナレーション> アユが棲む川は、どのくらい汚染されているのでしょうか。長年、阿武隈川の水質を調査してきた、木内豪さんです。木内さんは阿武隈川の本流と支流、4か所で調査を行いました。その結果、採取した水はすべての地点で放射性セシウムはN・D、検出限界以下でした。

2012-06-11 11:42:52
とし @toshihiro36

<ナレーション> 木内さんは川底の土も調べました。その結果、アユの産卵場がある阿武隈川本流で1kgあたり2050ベクレル、縄張りがある支流で1840ベクレル、の放射性セシウムが検出されました。アユは川底の藻や泥を摂取します。この時セシウムを体内に取り込むと考えられています。

2012-06-11 11:51:54
とし @toshihiro36

<ナレーション> 阿武隈川漁協は総会を開き、今後の対応を話し合っています。今年もアユ漁ができなかったら、どうなるのか。明治から続く歴史ある組合の存続を、危ぶむ声が相次ぎました。 なぜ川の汚染が続くのか、その理由がわかりません。

2012-06-11 11:56:48
とし @toshihiro36

<ナレーション> 私たちは丸森の上流の福島市でも調査を行いました。ここでも水からは汚染が検出されませんでしたが、川底の土から1kgあたり1395ベクレルが検出されました。採取したサンプルの放射能測定は、東邦大学名誉教授の桂川秀嗣さんが行いました。

2012-06-11 12:30:50
とし @toshihiro36

<ナレーション> 放射能測定の第一人者、岡野眞治博士も加わりました。川底の土に含まれる放射性物質の核種には、半減期2年の放射性セシウム134と、30年のセシウム137がありました。

2012-06-11 12:36:55
とし @toshihiro36

<ナレーション> 阿武隈川全体の汚染はどうなっているのでしょうか。私たちは上流から河口まで189地点でサンプルを取り汚染地図を作りました。その結果ほとんどの場所で川の水に含まれるセシウムは検出限界以下でした。しかし流域の土からは、ほぼすべての場所で放射性セシウムが検出されました。

2012-06-11 12:43:36
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