アニメ監督・錦織博氏、今後のアニメ制作とアニメ制作者の取り組み方について語る。

『マジックツリーハウス』『とある魔術の禁書目録』等の作品を手がけた、アニメ監督・錦織博氏のつぶやきをまとめました。
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錦織博 @nishiki_hiroshi

アニメーション演出者。アニメの監督をしています。TV「あずまんが大王」「天保異聞 妖奇士」「とある魔術の禁書目録」映画「マジック・ツリーハウス」など。「トリニティセブン」「デリコズ・ナーサリー」「劇場版アイドリッシュセブンLIVE4bit BEYOND THE PERiOD」

錦織博 @nishiki_hiroshi

アニメが、職人による工芸品か、サービス業かという線引きはしたくないのですが、少なくとも完成した作品を観客に提供する部分はサービス業だと思うので、失敗しても良いという職人論は切り離して人材育成については考える必要がありますね。

2012-06-09 07:29:25
錦織博 @nishiki_hiroshi

一方で、アニメをつくる人と売る人は別であるという考え方は既に終わっていて、制作者は作品を作り出す前から商品としての機能をプロデュースする必要があります。自ら品質管理と売り方を考えなければならなくなってきているのです。

2012-06-09 07:39:50
錦織博 @nishiki_hiroshi

アニメに限らないですが、作品の制作単位が小さくなって、作る事とプロデュースが一体化してきました。比較的作家の自由に作品を作れるのはメリットでもありますが、言わば手売りに近くなった分、失敗が許されない面もあります。

2012-06-09 07:46:30
錦織博 @nishiki_hiroshi

これからは小回りの効く制作単位での作り方が増えていくと思いますが、作る事と売る事の間に遊びがない代わりに、制作者のこだわりを活かして作れるという利点もあるので、考え方を切り替える時期なのかな、と感じています。

2012-06-09 07:55:09
錦織博 @nishiki_hiroshi

アニメ業界に入って、制作進行や動画で下積みしつつ技術を習得するという制作システムは崩れてきています。志望者が今すぐに作品制作の中心になることも可能になる反面、先輩についてフォローされつつ成長出来るというメリットは得られない。時間を稼ぐという視点では厳しくなっているのかもしれません

2012-06-09 08:11:34
錦織博 @nishiki_hiroshi

僕達の世代が、下積み時代に悩みつつ試行錯誤することが出来たのは、幸せだったと言えます。時間の流れが遅い分、焦ったさや不公平感もありましたが、技術が足りない事を周りがカバーしてくれていたのです。失敗しても構わないというのは、その時代ならではの考え方なのかもしれません。

2012-06-09 08:19:54
錦織博 @nishiki_hiroshi

ここで何度か、早いうちから作品を作ろうと呼びかけているのは、小さい単位での作品制作に責任感を持つことに慣れるとともに、試行錯誤と失敗の経験を積むというチャンスを得ることが出来る、という考えからです。大きなプロジェクトに加わるとしても、それからで良いと思います。

2012-06-09 08:30:39
錦織博 @nishiki_hiroshi

村木さん達メカアニメーターが、大工の棟梁のように若手に手本を見せつつ引っ張っていく姿は素晴らしいと思います。しかし今、自分がそこに加わるにはそれなりの素地も必要です。自作を積むなど個人での研鑽を重ねつつ、機会を逃さずそのような現場で挑戦するというのも、一つの方法かと思います。

2012-06-09 08:42:02