「累積100mSv以下は安全」説はいつから語られはじめるのか?(5)―『毎日新聞』の「米・原子力施設疫学調査」記事

 3.11以後、日本では「100mSv以下にはリスクがない」あるいは「100mSv以下はリスクが観察できない」とし防護や安全対策を軽視ないし無視する説が広がりました(注1)。なぜこうした説がひろまったのでしょうか。そもそも、この説はいったいいつごろから存在したのでしょうか。このまとめは、こうした関心から作成されたシリーズの五作目です。  今回は、2000年4月上旬に『毎日新聞』に掲載されたひとつの記事を取り上げます。JCO臨界事故をトピックにしたものではないため、紹介するのを控えていた記事です。しかしながら、インターネット上ではいまだに「累積100mSv以下は安全」説が妥当な説として通用しているようですので、そうした状況を憂慮しそれに一石を投じるために紹介することにしました。記事を書いた記者は斗ヶ沢秀俊氏(@hidetoga)です。 続きを読む
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『毎日新聞』2000.04.11 東京朝刊 「放射線被ばく、年限度内でもがん増加 累積により高発生率--米・原子力施設を調査」

2012-06-13 00:13:52
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『毎日新聞』2000.04.11 「【ワシントン10日斗ヶ沢秀俊】1年間の放射線被ばくが限度以下でも、累積の被ばく線量が放射線作業従事者の1年間の被ばく線量限度(50ミリシーベルト)を超えると、血液のがんの一種の発生率が高まることが、*大規模な調査で分かり」

2012-06-13 00:17:03
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『毎日新聞』2000.04.11 「米国の研究者が米疫学専門誌に発表した。限度以下の被ばく量でも健康影響が大きいことを示すデータで、被ばく限度の見直しにつながる可能性のある研究として注目を集めそうだ」

2012-06-13 00:18:46
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『毎日新聞』2000.04.11 「研究は、ノースカロライナ大のスティーブ・ウィング*らのグループが実施した。*原子力関連4施設で1979年以前に雇用された約11万人の名簿から、血液のがんの一種である多発性骨髄腫*で死亡した98人を割り出し、同施設の他の労働者391人と比較した」

2012-06-13 00:21:12
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『毎日新聞』2000.04.11 「放射線被ばくと多発性骨髄腫による死亡率の関係を調べた結果、累積した被ばく量が50ミリシーベルト以上の労働者は、同10ミリシーベルト以下の労働者に比べて、多発性骨髄腫による死亡率が約3・5倍高かった

2012-06-13 00:23:51
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『毎日新聞』2000.04.11 「累積被ばく量が同じでも、高年齢になって被ばく量が増えた労働者は、若い時期に被ばく量が多かった労働者に比べ、発生率が高い傾向があった」

2012-06-13 00:24:52
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『毎日新聞』2000.04.11 「多発性骨髄腫は、血液中のリンパ球ががん化する死亡率の高い難病。ウィング博士は『米国の原子力施設の労働者を対象とした調査では、最も規模が大きい』とデータの信頼性を強調し、「被ばくと、ほかのがんとの因果関係も研究する必要がある」と主張している」

2012-06-13 00:26:05