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冒頭のVTR
<ナレーション> 去年、津波で大きな被害を受けた東北沿岸部の農地。突如巨大なドームが出現しました。最新鋭の技術を投入した植物工場です。海水をかぶった土を使わない水耕栽培。年間140万株のレタスを生産する計画です。
2012-06-12 22:23:40<ナレーション> こちらは大手外食チェーンが建てたトマト工場、働いているのは被災した農家です。いま被災地ではピンチをチャンスととらえ、儲かる農業を目指す動きが始まっています。一方、米作りの現場では震災を機に農業を諦め、田んぼを貸し出す農家が急増。
2012-06-12 22:27:18<ナレーション> その田んぼを一手に引き受けることとなった地域の中核農家は、いかに経営を安定させるか模索しています。儲かる農業を目指して、立ちあがった被災地の農家たち。その挑戦を追います。
2012-06-12 22:30:19ここからスタジオです
国谷:こんばんは、クローズアップ現代です。東日本大震災で大きな被害を受けた東北の農業。津波の被害を受けた農地は、山手線の内側の面積の3倍以上・2万1000ヘクタールに上り...さらに放射性物資に汚染され耕作できない、あるいは自粛せざるをえない農地も少なくありません。
2012-06-12 22:36:21国谷:津波被害を受けた農地のうち、これまでに復旧を終えたのは3割。国はおおむね3年間で、復旧を完了させることを目指していますけれども。大きな被害を受け、営農を諦める農家も少なくありません。収益性が低く、高齢化などで担い手不足に直面するなど、さまざまな課題に直面している日本の農業。
2012-06-12 22:41:51国谷:大震災の前からどうすれば競争力のある、持続可能な産業へと変革できるか問われていました。いま被災地では逆境の中で意欲のある農家に耕作を依頼するケースが増え、農業の大規模化に向けたいわば転機が訪れています。そしてこれまでよりも収益性の高い、儲かる農業を目指す動きも活発です。
2012-06-12 22:47:47国谷:こうした農業の現場で進む模索は、日本の農業の未来を切り開く試金石となる可能性もあります。まずご覧いただきますのが、植物工場です。現在、岩手・宮城・福島の沿岸部の自治体のうち、12の市町村で建設中あるいは建設の検討が進められています。
2012-06-12 22:52:45VTRが流れます
<ナレーション> 宮城県名取市、農地の半分以上が津波の被害を受けました。今月、海水をかぶった農地に広さ1800坪の植物工場が完成しました。この日植えていたのはチンゲンサイの苗。土を使わず水で育てるため、塩害の心配はありません。
2012-06-12 23:01:13<ナレーション> 水の温度をコントロールすることで、1年を通じた生産が可能です。総工費3億5千万円のこの工場、作ったのは震災で被災した3人の農家でした。代表を務める瀬戸誠一さんです。震災前は会社勤めをしながら、小さな田んぼで米を作る兼業農家でした。
2012-06-12 23:05:50<ナレーション> 津波は自宅と田んぼを襲い、勤め先も流してしまいました。瀬戸さんにとって生計を立てていく術は、農業の経験しか残されていませんでした。考え抜いた末、ほとんど設けがなかった以前の米作りに戻るのではなく、安定した収入が見込める植物工場に挑戦しようと決意したのです。
2012-06-12 23:10:50<ナレーション> しかし課題は工場の建設費でした。被災農家を支援する補助金で8割までは賄えるものの、8000万円の借り入れが必要。さらに作った野菜が売れるかどうかも不安でした。迷う瀬戸さんを後押ししたのが、植物工場を手掛けるコンサルティング会社でした。
2012-06-12 23:18:04<ナレーション> この会社の仲介で全国チェーンのレストランなどに、1年を通じて直接販売できるメドが立ちました。あらかじめ生産量や単価がわかるため、計画的な経営が可能です。借金は7年で返済できると見込んでいます。
2012-06-12 23:21:38瀬戸:今までの農業ですと苦労が大きい。その割には収入がない、生活が不安定だと。そういう不安定な要素がいっぱいありますので、それを1つでも2つでも除いて「よし、俺もやろう」という人が、1人でも2人でも出てくればいいなと思っていますね。
2012-06-12 23:26:37<ナレーション> 自治体が先頭に立って、植物工場に取り組んでいる地域もあります。福島県南相馬市、2か月前に新設された農林放射線対策課です。植物が土の中の放射性物質を吸収する心配がない植物工場。市が補助金を使って建設し、希望する農家に経営を任せたいと考えています。
2012-06-13 05:56:53農林放射線対策課・門馬:放射性物質に勝てる野菜を作れるのは、どういう施設か考えたときに…やっぱり、たどり着いたのが植物工場なのかなということ。
2012-06-13 06:00:11<ナレーション>植物工場の経営に手を挙げている農家の、佐藤幸信さんです。市内の農家はおよそ3000戸、原発事故の影響で2年続けて米の作付けを自粛しています。佐藤さんは今年、試験的に麦を植えています。
2012-06-13 06:06:47<ナレーション> しかし放射性物質が検出されないか、たとえ検出されなくても消費者が受け入れてくれないのではないかと不安を抱えています。
2012-06-13 06:08:12佐藤:「売れない・作れない」そういう中では、農家はやはりどうしようもない。とりあえず、いま風評被害を打破しないとね…それが第一歩だから。
2012-06-13 06:11:07