Optical_frogさんによる英語塾”perfomativity”

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optical_frog @optical_frog

リアルタイム検索で「パフォーマティブ」を調べると,この言葉をしらふで意味不明に使っている例が次々に挙がってつらい.

2012-06-13 18:17:51
optical_frog @optical_frog

英文理解の tips として,動詞や形容詞を名詞にしたものは,ちゃんと展開できた方がいい.たとえば,"performtivity of an utterance" なら,「ある発話が行為遂行的である-こと」とか.

2012-06-13 18:30:55
optical_frog @optical_frog

えぐち先生のツイートを追ってみるに,どうも単純に学習英文法をおろそかにしているために混乱が生じているのではないかと心配になってきた.

2012-06-13 18:37:48
optical_frog @optical_frog

えぐち先生ではなくて,「パフォーマティヴィティ」を妙な意味で使っている方々の英文法理解が,です.

2012-06-13 18:40:14
optical_frog @optical_frog

「言語的実践」というのは,「言語使用」とだいたい同義でこれとパラフレーズできるのかどうか.また,そこで問題にしている事例を「それって引用だよねー」と呼べるのであれば,「すでになされた発話を引用する言語使用」とパラフレーズしていいのか.

2012-06-13 18:44:54
optical_frog @optical_frog

言語行為論である発話のことを「遂行的」(performative) といったら,「その発話で発語内行為がなされている」くらいの意味.他方,ある表現を発話したことから *意図せざるかたちで* 何かが帰結することは「発語媒介的」(perlocutionary) という.

2012-06-13 18:49:20
optical_frog @optical_frog

-ity の名詞が,個別のモノを指して使われることはある.たとえば a possibility は「可能性」というより「可能な1つのケース」だ.1つ,2つと数えられるものだから,possibilities と複数形で「様々ある可能なケース」という意味にもなる.

2012-06-13 18:53:53
optical_frog @optical_frog

performativity がそうした個別の「実践」(practice) を指しているというなら,その実践が複数あれば当然のように performativities と複数形にできるハズですわな――できるの?

2012-06-13 18:55:37
optical_frog @optical_frog

また,形容詞 probable(蓋然的な,ありそうな)から派生した名詞 probability なら,-ty は「度合い」の意味になる:「蓋然性(確率)」=「蓋然的である度合い」.

2012-06-13 18:57:35
optical_frog @optical_frog

話をもどして,practice は「言語使用と同義なのかどうかを訊ねる狙いは,個別の行為を指しているのか,それとも習慣としてある程度の期間にわたって繰り返される営みを指しているのか,はっきりさせることにある.

2012-06-13 19:05:39
optical_frog @optical_frog

コウビルドを引くと,「人々がふだん習慣的にやること」という語義がでてくる.他は「医師や弁護士が行う実務」や「練習」といった意味だから,無視していいだろう.

2012-06-13 19:10:40
optical_frog @optical_frog

ふつう,言語行為といえば,個別の場面でなされることだから,「オバマは何月何日にどこそこで ~と 約束した」と場面・文脈を特定できる.他方で,習慣的・継続的な営み(プラクティス)はそういう個別の行為が複数なされて成り立つのだから,場面・文脈は必ずしも特定できない.

2012-06-13 19:13:21
optical_frog @optical_frog

「パフォーマティヴィティ」=「プラクティス」と言っている人たちが念頭に置いてる語義に「習慣的・継続的」という部分が含まれないなら,それはたんに個別の行為(1つであれ複数であれ)のことでなければならない.――だったら,最初っから「行為」って言えばいいじゃん.

2012-06-13 19:15:16
optical_frog @optical_frog

@eguchi2012 その人たちは,なにか特別な意味で「主体」(subject) と言っているんですよね.「行為があってはじめて主体が生じるんであって,行為に先立つ主体などないのだぁ」とかなんとか.

2012-06-13 19:18:11
optical_frog @optical_frog

act や subject や agent になんか含みをもたせているんなら,その代わりの言葉を使えばいい.たとえば,「主体」の代わりに,かんたんに 「やる人」 (doer) でエエんじゃないですか.

2012-06-13 19:22:14
optical_frog @optical_frog

※いま適当にツイートしてるのは,えぐち先生に対して「そんな大人,修正してやる!」という趣旨じゃなくて,「パフォーマティヴィティ」その他の用語をなんとも理解しにくいかたちで使ってる人たちを念頭においております.

2012-06-13 19:25:40
optical_frog @optical_frog

@odg67 ありますね.その場合には,「営み」という語義をもう少し狭めて,「机上の議論に対比される意味で,*実際に* なされる営み」くらいの意味ですね.

2012-06-13 19:29:49
optical_frog @optical_frog

いちおう言うておきますが,オースティンが捨てた performative / constative の区別をサールがまた採用した,などという事実はないですよ.

2012-06-13 19:35:00
optical_frog @optical_frog

サールは発語内行為を大きく *5つに* 分類している:確言型 (assertive),拘束型 (commissive),指令型 (directive),宣言型 (declarative),表出型 (expressive).

2012-06-13 19:43:57
optical_frog @optical_frog

そうそう,さきほど「ある表現を発話したことから *意図せざるかたちで* 何かが帰結することは「発語媒介的」(perlocutionary) という」と書きましたが,発語媒介行為全般について言えば,意図的な場合もあれば意図的でない場合もありまする.

2012-06-13 19:50:13
optical_frog @optical_frog

オースティンが発語内行為の分類を「議論の土台のためであって決定的ではないが」と提示し,その弱点をサールが指摘して対案を論証によって提示しているさまは,模範的な哲学のあり方だとぼくは思っている.

2012-06-13 20:16:00
optical_frog @optical_frog

理論の体系をくみ上げていく場合には,いらん誤解をうまないように用語を整理していくべきだと思う.

2012-06-13 22:24:10
optical_frog @optical_frog

だから,ある種の人たちが performativity がプラクティスだと定義すること自体はダメじゃないけれど,その一方で performative の方を個別の発話について用いる「遂行的な」という意味で使うなら,形容詞と派生名詞が意味がくいちがいすぎていてよろしくない.

2012-06-13 22:25:48
optical_frog @optical_frog

解決の方法はとてもかんたんで,たんに performativity を「(ある発話が)行為遂行的であること」という意味でもちいることにして,他方の「プラクティス」のことは…いや,「プラクティス」って言えばいいでしょ.

2012-06-13 22:27:16
optical_frog @optical_frog

すごくかんたんだ.「プラクティス」のことを言いたいなら,「プラクティス」って言う.必要なら手頃な形容詞なり関係節なりをつければいい.おしまい.

2012-06-13 22:29:28